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ホール・劇場不足、「2016年問題」はなぜ起きた?

編集委員 小林明

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NIKKEI STYLE

首都圏でコンサートホールや劇場などの不足が深刻化しているのをご存じだろうか? 特に昨年から今年にかけて渋谷公会堂、日本青年館、五反田ゆうぽうと、日比谷公会堂のほか、さいたまスーパーアリーナや横浜アリーナなど2万~4万人規模の大型施設の建て替えや改修工事が続出。業界関係者がエンタメ各分野のコンサートやショーを開くのに会場探しに苦慮する「2016年問題」に直面しているという。

どうして「2016年問題」が起きてしまったのか?

背景を探ると消費者の嗜好や社会構想、政治経済情勢などの様々な変化が見えてくる。

音楽ソフト生産は半減、「音楽+ステージ」の市場規模は倍増

「モノからコトへ」――。ぴあ総研(東京・渋谷)主任研究員の笹井裕子さんは、日本のエンタメ市場の現状をこんなキーワードで表現する。

グラフを見てほしい。CDなど音楽ソフトの生産額(日本レコード協会調べ)が2000年の5398億円から2015年の2544億円へとほぼ半減する一方、音楽(ポップス・クラシック・演歌・ジャズ・純邦楽など)+ステージ(ミュージカル・演劇・歌舞伎・能・狂言・お笑い・寄席・演芸・バレエ・ダンス・パフォーマンスなど)の公演回数、動員数は基本的に拡大基調を維持し、市場規模が2000年の2467億円から2015年の5030億円(速報値)へとほぼ倍増するという対照的な現象が見て取れる。

モノ消費→コト消費、景気に左右されないライブ・エンタメ市場

何が起きているのだろうか?

可処分所得や可処分時間が限られているなか、いかにお金や時間を有効に使うかが消費者にとっては重要になってきた。『モノを所有する価値』から、『コトを経験する価値』を重視する傾向が強まっている」。笹井さんは最近の消費動向の変化をこう読み解く。

通常、堅実な消費行動を取っている人でも、気分のハレを求めて、非日常のつかの間の楽しみや癒やしを経験することには積極的にお金や時間を費やそうとする。さらに定年を経た団塊の世代には、時間とお金をかけてもっと人生の価値を体験したいと考える消費層がかなり多い。

「2014年の消費税率8%への引き上げに際しても、消費全体が低迷したのに、ライブやエンタメなどコトを経験する消費自体はマイナスの影響をあまり受けなかった。ライブ・エンタメ市場は景気動向の影響を受けにくい安定した分野だといえる」と笹井さんは指摘する。

需要高いのになぜホール不足? 「絶好のビジネスチャンスなのに……」

需要が高まっているのに、どうして会場となる施設が次々と減っているのか?

「絶好のビジネスチャンスなのに実にもったいないこと」。日本芸能実演家団体協議会(芸団協)実演芸術政策推進室長の米屋尚子さんは歯がゆさを隠せない。

一覧表を見れば、一目瞭然だ。首都圏で名だたる文化施設の建て替え・改修・閉鎖が相次ぎ、コンサートやショーなどの会場不足が急速に深刻化している。

関係者によると、施設の建て替え・改修・閉鎖のラッシュが始まったのは2010年ごろとされる。きっかけとなったのは民主党政権が2009年に導入した「事業仕分け」。

きっかけは民主党の事業仕分け、震災・バブル・東京五輪なども原因

天下り先となっている独立行政法人の基金を中心に文化施設の見直しが検討され、「年金保険料の無駄遣い」と批判された東京厚生年金会館(東京・新宿)も閉鎖・売却(ヨドバシカメラが120億円で落札)に追い込まれた。東京厚生年金会館は新宿地区では数少ない貴重な大型ホールだっただけに、新宿コマ劇場(東京・新宿)に続く文化施設の閉鎖に音楽・芸能関係者の間では大きなショックが走った。

その後も、(1)2011年3月11日の東日本大震災の発生を受けて耐震構造強化のための改修・建て替え計画が相次いだこと(2)1980年代後半からのバブル経済期の企業メセナや文化振興策を背景に建設された文化施設が相次いで建て替え時期に差し掛かったこと(3)2020年の東京五輪に向けた文化・スポーツ施設の増改築計画が増えたこと――などが重なり、「需要が高まっているのに会場の絶対数が急減するという不合理な状態に陥ってしまった」(米屋さん)というわけ。

吹奏楽の甲子園・バレエの拠点・音楽の聖地……、2000人規模のホール不足が深刻に

普門館大ホール(東京・杉並)は中学・高校の吹奏楽の全国大会の会場で「吹奏楽の甲子園」とも呼ばれていたが、震災後に耐震強度が不足していることが分かり、ホールとして使えなくなった(耐震改修や建て替えを検討したが、法律上の制約などから断念)。

2015年にともに閉鎖した五反田ゆうぽうと(東京・品川)や青山劇場(東京・渋谷)は「バレエの拠点」としても知られており、劇場を探し求める"バレエ難民"が増えるという問題も表面化している。

東京厚生年金会館、日本青年館(東京・新宿)、渋谷公会堂(東京・渋谷)、日比谷公会堂(東京・千代田)、中野サンプラザ(東京・中野)などポップスやロック、歌謡曲のコンサート会場としておなじみの各施設も建て替え・閉鎖・解体されてしまった。「2000人規模は会場として最も使い勝手が良い施設。こうした会場の不足状態が続けば興行に深刻な打撃を与えかねない」。米屋さんは顔を曇らせる。

首都圏で稼ぐモデルが崩壊、文化行政にもっと調整機能を

「輸送費が少なく、動員客数が多い首都圏で全体の収益を稼ぐのが音楽の全国ツアーの典型的なビジネスモデル。このままでは地方で公演をする余裕がなくなってしまう」「海外の大物ミュージシャンを迎えるのにも支障が生じる恐れがある」――。業界関係者の心配の種は尽きない。

「各施設の運営計画がバラバラなままなのが問題。どこにどんな特徴のあるホールがあり、全体としてどう運用すればよいのかという調整機能が現状の文化行政ではまだ十分に発揮できていない。ライブ・エンタメは海外からの観光客やインバウンド消費を促す強力なソフトパワーでもある。文化立国を目指すのならば、長期的な視点に立った国家戦略が欠かせないのではないか」。芸団協や日本音楽制作者連盟など10の芸術団体はこう問題提起している。

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