マンション高騰、東京五輪まで? 選手村放出も転機に

高層部に高級賃貸マンションが入る3月竣工の「新宿ガーデン」(東京・新宿)
高層部に高級賃貸マンションが入る3月竣工の「新宿ガーデン」(東京・新宿)

都心部のマンションで販売価格がほぼ上限に近づいているようだ。日本不動産研究所(東京・港)がまとめた東京23区の新築マンション価格の中期予測によると、東京五輪・パラリンピックが行われる2020年ごろまで小幅に伸びた後、21年以降は下落に転じる見通し。五輪の選手村に使われたマンションの放出などが転機とみられる。

低金利の住宅ローンや人口増に支えられてマンション価格が伸びる構図は他の大都市にも共通しており、都心部の価格下落が始まれば全国的に波及する可能性がある。

中期予測は25年までの新築マンションの価格と賃料について、不動産の分譲や賃貸サービスを手掛けるケン・コーポレーション(東京・港)とアットホーム(東京・大田)の協力を得て、今年6月時点のデータをもとに算出した。

16年のマンション価格は15年比2.5%増で、1平方メートルあたり95.9万円を見込む。19年までは0.2~1.2%の微増が続くとみている。14、15年はそれぞれ6.1%増、8.9%増だった。

一般的な世帯収入などからみて「価格は高値の限界に近づいている」(手島健治主任研究員)。ただ、マイナス金利下で低水準の住宅ローン金利が続くほか、消費税率引き上げが再延期された19年10月が近づくと、駆け込み需要による価格上昇も起こりやすい。

15年のマンション発売戸数が全国最多だった住友不動産は、「(販売価格に影響する)建設費は高止まりしている」という。デベロッパー自身も価格の高止まりを警戒している。「ライオンズマンション」を展開する大京は「販売価格をこれ以上引き上げると、需要がついてこないのでは」とみる。

21年以降は価格が頭打ちになるとみられる。25年には1平方メートルあたり95.5万円と、16年と同水準に戻る見込みだ。低い経済成長率を前提に、大都市でも生産年齢人口の減少などで需要が徐々に減ると推測した。湾岸部で東京五輪・パラリンピックの選手村として利用されたマンションが放出されることで、価格下落につながる可能性もあるという。

マンションの賃料は微増傾向が続くとみる。16年は1平方メートルあたり月3264円で15年より0.5%増える見通し。25年時点では同3370円を見込む。

販売価格の上昇に比べて、賃料は依然として「08年のピークと比べるとまだまだ低い水準」(手島氏)。リーマン・ショック後に下がった分だけ、上がる余地は残されている。共働きの増加などで、世帯収入を伸ばした家族層などの需要が見込めそうだ。

都心部では個人が低金利で調達した資金でマンションを住み替えながら売買益を狙ったり、海外富裕層や地方の資産家が投資目的で買ったりするケースもみられる。

英国の欧州連合(EU)離脱などで金融市場が不安定になるなか、投資資金の動きによっては、都心マンションの価格が20年より早い時期に下げる局面もありうる。

(寺井浩介)

[日経MJ2016年7月15日付]