配車アプリや民泊、シニア層にもじわり拡大過疎地の生活の足/部屋貸しで副収入

配車依頼するウーバーのアプリが入った端末を持つ女性(左)と「ささえ合い交通」の自家用車(京都府京丹後市)
配車依頼するウーバーのアプリが入った端末を持つ女性(左)と「ささえ合い交通」の自家用車(京都府京丹後市)

インターネットを使って車や部屋などを貸し借りする「シェアリングエコノミー」が高齢者にも広がっている。配車アプリ大手の米ウーバーテクノロジーズ日本法人は京都府で高齢者を中心とする交通弱者向けの運行事業に対応。民泊仲介の世界最大手、米エアビーアンドビーも部屋の貸し手として期待する。東京五輪・パラリンピックでシニアの観光客が増えるとみられ、使いやすいシステム作りが焦点となる。

5月下旬、京都府北部の京丹後市で自家用車を活用して有償で乗客を運ぶサービス「ささえ合い交通」が始まった。日本では公共交通機関が行き届かない地域で地元との合意を基に特例として自家用車による有償運行が認められる。

京丹後市では地元のNPO法人「気張る!ふるさと丹後町」がウーバーのシステムを採用した。ウーバーのスマートフォン(スマホ)向け配車アプリを起動すると、住民が運転する自家用車を呼べる。乗車は同市北部の丹後町に限定されている。

丹後町の人口は4月末時点で約5500人で4割を65歳以上が占める。同市は予約制のオンデマンドバスなどを運行しているが、なお高齢者を中心に交通弱者は多い。タクシー事業者はすでに撤退しており、ほかの地域のタクシーを呼ぶと片道30分以上かかる。乗りたい時間に車を呼べるウーバーに対する期待は高い。初乗り料金が480円で総額はタクシーの半額程度になる。

地元住民の東美好さん(84)は畑での作業を楽しみにしている。しかし畑は自宅から車で数分の距離。「今は自分で運転したり家族を頼ったりできるが、今のうちにこのようなサービスを使いこなせるようになりたい」と利用に前向きだ。

ささえ合い交通では保険を用意するなど安全確保に向けた注意を払ってきた。しかし普及に向けた課題は多い。

ウーバーの料金支払いはクレジットカード決済のみだが、運営するNPO法人の東和彦専務理事は「高齢者が新たにカードを作ろうとしても、想像以上に審査に時間がかかる」とこぼす。スマホを持つ住民も少ないといい、高齢者向けに端末操作の指導を含めた対応策が求められている。

民泊でもシニアを意識した動きがみられる。米エアビーアンドビーの創設者の1人であるジョー・ゲビア氏は日本で注目する領域として高齢者市場を挙げる。「民泊の貸し手になれば高齢者は新しい収入源を得られる」(ゲビア氏)

エアビーアンドビーは空き部屋を提供する「ホスト」と宿泊先を求める「ゲスト」を仲介する。ゲストは同社を通じて宿泊料をホストに支払う。同社は6月、日本におけるホストの平均年齢は37歳だったと発表。「特に増加が著しいのがシニア層」(同社)で、すでに50代以上が14%という。今後は日本における規制の動向をにらみながら、先日提携を発表したカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)とともにサービスの認知度拡大を急ぐ。

[日経MJ2016年7月15日付]