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配当重視も選択肢 優待込み「利回り」に注目 市場急変に学ぶ(4)

2016/7/26

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 マイナス金利で貯蓄に限界を感じ、株式投資を考えた途端に英国の欧州連合(EU)離脱が決まり、波乱相場に手を出せずにいます。こんな時、何か有効な投資手法はないでしょうか。

 英のEU離脱交渉プロセスなどはなお不透明感が強く、秋には米大統領選もある。予期せぬ海外要因で日本株相場が大きく揺れる展開はまだ続きそうだ。値上がり益(キャピタルゲイン)が見込みにくい情勢下では配当(インカムゲイン)重視の投資を考えるのが伝統的なセオリーの一つだ。

 SMBC日興証券の香川伸一投資情報部長は「リーマン・ショックなど過去の波乱局面を分析すると、高配当株が物色される傾向が見て取れる」と話す。

 ただ、配当狙いの投資にも近年は様々な環境変化が起きている。かつての電力株のように高配当で、株価に安定感がある業種は容易に見つからなくなった。

 「配当に加えて業績の安定度、株価純資産倍率(PBR)から見た割安感を吟味したい」と香川氏。配当で目先の収益を確保しつつ、次の相場上昇にも乗ることができる期待が持てる銘柄が理想的だ。

 一方、インカム投資に好都合な変化もある。ここ数年、自己資本利益率(ROE)向上策の一環として株主還元を積極化する企業が増え、年間配当金は全体に増えている。SMBC日興証券によれば、主要企業の年間配当総額は既に6兆円を突破している。

 増加する配当に加えて「配当に株主優待も計算した『利回り』に着眼するのも一つの手」(ファイナンシャルプランナーの深野康彦氏)。年間配当額に株主優待の割引券などを単純に金額換算した額を合計して株価で割れば、優待込みの「利回り」が試算できる。

 近年、優待制度を拡充した銘柄でこの「利回り」を試算すると、家電量販のヤマダ電機は最低でも約8%、外食のクリエイト・レストランツ・ホールディングスも同約7%(株価は19日時点)。

 「ざっくり、10年程度保有すれば投資金額と同等のリターンを配当と優待で得られる」(深野氏)。優待は現金ではないものの、長期投資をしつつ、家計の足しにもなる可能性がある点は魅力的だ。

 乱調相場の中では配当を狙う投資でも分散が重要。個別株への投資だけでは分散が難しいが、最近は選択肢も増えてきた。例えば、東京金融取引所が2010年に上場した株価指数連動の証拠金取引だ。

 日経225などを投資対象とするので分散効果は高く「配当相当額も得られるので長期保有にも向く」(同取引所の伊藤渡専務)。

 特に6月末に新規上場された米ダウ平均に連動する商品の場合、取引単位(1枚)を1年保有して得られる「配当」は約4万3千円に上る(15年実績に基づく試算)。投信と異なり、保有コストが不要なこともインカム狙いの投資家には利点だ。ただ、レバレッジを使うため、預けたお金以上の損失が出る可能性があることには注意したい。

[日本経済新聞朝刊2016年7月20日付]

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