作業員や乳幼児を見守り 熱中症予防、目配りグッズで
周りの人が目配りする熱中症対策を――。子育て中の親向けのアプリや工事現場で熱中症の危険度を管理者に通知するウエアラブル端末など、これまでとは視点を変えた対策グッズが次々と開発されている。暑さから守る必要があるのは自分だけではないと、熱中症予防のグッズ商戦も熱を帯びてきた。
地面に近いベビーカー、アプリが温度計測
NTTドコモは熱中症対策の無料アプリを5月にリニューアルした。地面の温度を知らせる機能を追加したのが特徴。地面に近づくほど、気温は高くなる。熱い地面を歩くペットの散歩に使うことが想定された機能だが、地面に近いベビーカー周囲の温度を計ることによって、乳幼児の熱中症対策にも使える。
アプリで家や学校などの場所を設定すると、各地域の気温のほか、熱中症のリスクを4段階で通知。家族や友人に熱中症の危険度を知らせる機能もある。これまでに約10万件がダウンロードされた。「アプリで熱中症を未然に防いでいきたい」(同社)
危険度、イラストとブザーで知らせる
健康器具メーカーのタニタ(東京・板橋)は、熱中症の危険度をイラストで表示する機器の最新モデルを5月に発売した。温度計や湿度計で熱中症の危険度を測定し、5段階でイラスト表示とブザー音によって知らせる。「小さい子供でも分かるイラストにした」(同社)
小型で持ち運びに邪魔にならないサイズ。子供は遊びやスポーツに夢中になると、水を飲んだり休憩を取ったりはなかなかしない。危険を知らせることで発症を未然に防ぐ狙いだ。都内の家電量販店で5000円前後で売られており、年間で2万5千台の販売を計画する。
作業員の危険度、ウエアラブル端末が通知
富士通は農地や工場などの作業員の健康状態をウエアラブル端末で見守る実証実験を首都圏で5~8月に行っている。腕時計型の端末を作業員が装着し、熱中症の危険度が高まると管理者に通知する。例えば、農作業は1人ですることが多く、倒れても気がつかれないまま重症化するケースもある。転倒したことを検知、通知する機能を使えば、離れた場所にいる家族などがすぐに対応できる。
今年の夏は猛暑が予想される。一昔前は、暑さをものともせずに遊んだり、働いたりすることは夏の思い出にもなった。ただ、近年の厳しい暑さではそうもいかない。最新グッズの力を借りて夏をうまく乗り切りたい。
(商品部 金尾久志)
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