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劇団四季を飛び出した異才、中井智彦プレミアムショー

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NIKKEI STYLE

昨年末に劇団四季を退団した中井智彦(32)が歌と芝居の経験を昇華した「表現者」として新たな活動を始めた。7月2日に東京・品川のクラブeXで開いた「中井智彦プレミアムショー vol.1」は、自らの目指す表現の幅広さを2部構成のステージで示し、上々のデビューショーになった。

第1部は中原中也の詩に自ら曲を付け、歌い、演じる独り舞台「詩人・中原中也の世界~在りし日の歌~」。第2部は「慕情」「追憶」といったスタンダードナンバーを歌う音楽ショー「ゴールデンヒットセレクション~愛のかたち~」。東京芸術大学声楽科でドイツ歌曲を学び、劇団四季「オペラ座の怪人」のラウル役をはじめ、ミュージカルの最前線で活躍してきた経験を深化させ、言葉の一つ一つを情熱的に歌い上げた。

第1部は静かに始まった。円形ホールの中央に円形のステージがあり、客席がぐるりとステージを取り囲んでいる。セットは小さな文机だけ。黒い帽子をかぶり、黒いマントを羽織って中也にふんした中井が登場する。「幾時代かがありまして 茶色い戦争ありました」――。ステージの脇にあるピアノの伴奏に乗せて、中也の有名な詩「サーカス」を軽やかに歌い始めた。

中井はこの詩を初めて読んだときから、「歌」が聞こえ、頭にメロディーが流れたという。中井の紡いだ旋律と中也の心の叫びともいえる詩句が切なく響き合う。

中井が中也の詩と本格的に出合ったのは29歳のとき、劇団四季の図書館で「中原中也全集」を借りたのがきっかけだった。中也の生き方や芸術論に感銘を受け、一人の表現者として生きていくように「背中を押された」という。

「詩人・中原中也の世界~在りし日の歌~」はピアノソロ1曲を含めて「盲目の秋」「湖上」「幻影」「夏の夜の博覧会はかなしからずや」など全11曲。中也の心の動きをセリフにした芝居を交えながら、一気に歌いきった。

同じ旋律を他の曲にも再登場させて印象づけたり、次々と転調して気持ちの高ぶりを表現したりと、音楽的な工夫が随所に凝らされていた。東京芸大とミュージカルの現場で鍛えてきたバリトンボイスも、中也の詩を「歌」として表現するための基礎体力を十分に備え、この試みにぴったりと合っていた。

第2部は「慕情」から始まり、「百万本のバラ」「好きにならずにいられない」といったおなじみの曲を朗々と歌い上げた。好きな曲、歌いたかった曲を選んだという。ミュージカルにおける歌唱は役のキャラクターや楽曲の魅力を伝えることが優先され、俳優が自分の個性を前面に出すことはできない。中井が第2部で目指したのは、そうしたミュージカルの在り方から一転、自分の好きな歌詞とメロディーを、自分の解釈で自分の色に染めて歌い上げることだった。

中井は自身のツボといえる一定の音域では、張りのあるバリトンボイスを堂々と聴かせる。この情熱的な美声こそ、彼の個性であり、最大の武器といえるだろう。幾つかの曲では、その魅力がよく発揮されていた。

ただ、それ以外の音域においては、まだ自分ならではの発声をつかみ切れていないような印象もあった。軽やかな曲調のポップスでは、むしろ武器であるバリトンが重く感じてしまう場面もあった。しかし、こうした点はステージを重ねれば変わっていくだろう。

何はともあれ、まだ船出したばかり。「既存からの脱却と創造への挑戦」が自らのテーマであると観客に語りかけた。頼もしい言葉だ。この夜は第1部の完成度の高さが際立ち、収穫はこちらにあったという印象だが、日本には名曲を歌い継ぐスタンダード歌手は少ないだけに、第2部の路線にも大いに期待したい。

(編集委員 吉田俊宏)

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