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逆の値動きをする商品 短期保有で損失軽減 市場急変に学ぶ(3)

2016/7/20

 英国の欧州連合(EU)離脱決定で株式相場が急落し、大きな損失を被りました。株式相場が下落したり、先行き不透明になったりすると価格が上昇する金融商品があると聞きました。短期的なリスク軽減のために活用したいのですが、どのような商品なのでしょうか。

 EU離脱の是非を問う英国の国民投票の結果が明らかになった6月24日。円高や景気悪化への懸念から、日経平均株価は8%近く下落、約16年ぶりの値下がり幅を記録した。そんななか値が上昇し、売買が活況だった上場商品がある。

 一つは「インバース型」と呼ばれる上場投資信託(ETF)だ。代表格は野村アセットマネジメントの「日経平均ダブルインバース・インデックス連動型上場投信」(日経Dインバース)。一時前日比17%高となり、売買高は同7倍の3138万口に達した。

 インバースは英語で「逆の」や「反対の」という意味。対象とする株価指数の前日終値と比べた騰落率と逆の値動きをする。日経平均のインバース型ETFの場合、日経平均が前日比5%下落すると、反対に5%値上がりする。日経Dインバースは値上がり率が2倍の10%になる。

 相場に逆行したもう一つの商品は、価格変動の大きさを示す「ボラティリティー指数(VI)」に関連したETFや上場投資証券(ETN)だ。三菱UFJ国際投信の「VIX短期先物指数」(国際VX短先)は前日比20%高、売買高は同2倍に膨らんだ。

 VIは市場が今後の株価の変動幅をどう見ているのかという「体温」を表す。予想変動率が高まるとVIは上昇し、低下すると下落する。代表的なのは米国のS&P500種株価指数の予想変動率を示すVIX指数で、国際VX短先はこの指数に関連した商品だ。

 金融危機や自然災害などで市場の警戒感が強まると上昇しやすくなるため、別名「恐怖指数」という。英国のEU離脱決定の衝撃は世界の株式市場に波及し、VIX指数は前日比8ポイント高の25に急伸した。リーマン・ショック後の2008年10月には80超まで急騰し、話題になった。

 日本にも日経平均の予想変動率を示す日経平均VIがあり、6月24日は前日比6ポイント高の40に上昇した。

 このように株式相場と逆の値動きをする商品は、重要なイベントの直前に購入しておくことで、「長期保有している銘柄の短期的な値下がりによる損失を軽減できる」と野村アセットマネジメントの吉川龍也氏は指摘する。

 インバース型もVI関連も相場急変のタイミングをピンポイントで捉える商品であり、長期保有には向かない点に注意が必要だ。

 インバース型は指数が上昇下落を繰り返すとズレが生じ、例えば日経平均が2日間で12%下落したからといって、日経平均インバースが2日間で12%上昇するとは限らない。VI指数は相場が膠着すると徐々に値下がりする傾向にある。

 商品を十分に理解したうえで、短期的なリスクヘッジに使うのが有効だろう。

[日本経済新聞朝刊2016年7月13日付]

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