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消えないマッチ、たき火で発電… 高機能防災グッズ

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日経トレンディネット

日本に住んでいる限り、残念ながら地震とは切っても切れない関係だ。熊本地震をきっかけに、再び防災意識が高まった人も多いだろうと思う。

しかし、万が一の災害に備えていくら防災グッズをそろえていても、必要なときにすぐ使えなければ意味がない。でも、災害はいつどこで起こるか分からない。仕事中かもしれないし、帰宅途中かもしれない。ということは、本来、常時携帯しているのが一番いいということになる。

そこで、「通勤時にも携帯できる」「A4サイズのバッグに収まる大きさ」「簡単に使える」をキーワードとし、いざというとき「本当にあってよかった!」と思えるエマージェンシー対応のコンパクトグッズを厳選して紹介しよう。

強風でも、水に突っ込んでも消えない最強防水マッチ

「防水マッチ」というと、マッチ自体にロウでコーティング等を施し、雨などにぬれても湿気ないように加工されたものを指す。でも「防水」なのは着火前の話で、火をつけてしまえば防水ではなくなってしまうのが一般的な防水マッチだ。

しかし、UCO(ユーコ、日本代理店モチヅキ)の「タイタン ストームプルーフマッチキット」は他とまったく違う。なぜなら、水中に突っ込んでも消えず、さらに強風にさらされても火は燃え続け、消えることがないからだ。

では、なぜ消えないのか。残念ながら、詳しい仕組みに関しては企業ヒミツとのことだったが、「火種が消えないよう、特殊加工をしています」と広報担当者。どんな状況でも頼りになる、まるで魔法のようなマッチだ。

たき火の熱で発電、スマホの充電もOK

木を燃料とし、安全でクリーンな調理器具の開発と生産を行う「バイオライト」は、2011年に米国ニューヨークで創業。燃焼の熱エネルギーを利用して発電するという、画期的でユニークなアイテムを生み出しているブランドだ。

この「キャンプストーブ ウィズ フレックスライト」(日本代理店モンベル)はガスを使わず、小枝や松ぼっくりなどを燃やすことで、繰り返し電気を生み出せる。起こした炎で調理しながら発電し、スマートフォン等の電子機器の充電もOK。まさに無駄がない。

たき火によって充電された電気でファンが稼働して燃焼効率を上げ、さらに強力で安定したたき火を可能にする。そして余剰となった電気を、スマートフォン等にチャージできる仕組み。さらに、調光機能もつき、向きを好みの角度に変えられるLEDライトを標準装備。手元を照らすことができ、停電時にも光源として大活躍するだろう。

重量は934gと少々重さはあるが、ステンレス製の燃焼室のなかにオレンジ色の部分をすっぽり収納できる。携帯時は1リットルサイズのウオーターボトルとほぼ同じ大きさになるので思いのほかかさばらない点もポイントだ。

エマージェンシーシートの最高峰

SOL(日本代理店スター商事)は、米国のアドベンチャーメディカルキットが立ち上げたブランドで、サバイバルグッズを専門に多数展開している。このシートは、一見、数百円で売られているものと大差ないように見えるかもしれないが、まったくの別物と言っていい。

まず素材は、体熱の90%を反射させて体温を維持する「ヒートシート」と呼ばれる特殊な素材だ。それを寝袋型にすることで密閉性を高め、熱を外に逃がさない仕組みになっている。

また、抜群の保温性を持つだけでなく、静音性も特徴のひとつ。市販されている他製品は、広げたり寝返りを打ったりするたびに大きなガサガサ音を立てるが、これはしなやかさにたけており、包まれている自分はもちろんのこと、周りへのストレスも軽減できる。

さらに、キズができても裂けにくい丈夫さも兼ね備えているのだから、まさに「エマージェンシーシートの最高峰」と呼ぶにふさわしい製品だろう。

開いて押すだけ、折りたたみ式チェアの進化形

4本脚でも、パイプ脚でもない。これまでありそうでなかった、新発想の折りたたみ式チェアがこのソルシオンの「パタットミニ」だ。折りたたみ時はたった10mmほどの超薄型で、A4サイズほどの大きさ。通勤バッグにもすっぽり入り、スペースを取らない。では、肝心の座り心地はどうだろうか。

組み立てて座ってみると、しっかりとした安定感があり、耐荷重は100kgまでOK。ゆるやかに弧を描く座面がミソで、長時間座っても疲れにくい座り心地のよさを生み出している。

災害時、座って体力を温存できるというのはとても重要なこと。もちろん、キャンプや野外フェスなどのアウトドアシーンでも便利だろうし、汚れても簡単に洗えるため、屋内外で兼用するのもいい。幅広い場面で活躍すること間違いなしのチェアだ。

河川の水や雨水を、素早くきれいな飲料水に

万一の災害時、水の確保は必要不可欠。しかし、何リットルもの水を持ち歩くというのは現実的な話ではない。そんなとき、携帯できる浄水器がとても役に立つ。

この「スーパーデリオス」は、細菌やカビはもちろん、顕微鏡でも見えにくいほどの細かい粒子もきれいに除去できるという。そのため、川や湖、プールの水でも飲料水に変えられる。実際、筆者がスーパーデリオスを使って、沢の水やお風呂の残り湯をろ過して飲んでみたことがあるが、普通の飲料水と何ら変わりは感じられなかった。これはスゴイ!と思った。

容器はポリエチレン素材のソフトボトルのため、フニャっとコンパクトに折りたたみOK。重量はたった58gで、簡単にきれいな飲み水をゲットできてしまうのだ。ライフラインが止まってしまった場合に備えて、用意しておきたいアイテムといえる。

雨具、防寒着としても有効な「シェルター」

製品のほぼすべてがメイド・イン・ジャパンのアウトドアメーカー「ファイントラック」は、国内工場で、品質の高い製品を数多く生み出している。

そもそも「シェルター」とは、避難所という意味で、この「ピコシェルター」は下記のイラストのようにロープを通して木などに結び、雨風を防げる簡易スペースを確保できるというもの。このほか、頭からかぶればレインポンチョにもなるし、防寒着として寒さから身を守る効果も期待できる。ときには、シート代わりとして使ってもいい。

重量はたった120g。およそ卵2個分の重さで、多用途に使える道具を携行できるのは本当に驚きだ。非常時に心強い存在となってくれるだろう。

単4電池3本で、最大200時間の明かりを手に入れる

どんなときも、視界を確保しなければ身動きすら取れない。"明かり"は、人が行動するうえでとても大事な存在だ。

頭に付けて使用するヘッドライトは、両手をふさぐことなく明かりが手に入る。そのため、災害時だけではなく夜間の歩行時や、自転車へ乗る際もとても役立つ。

ブラックダイヤモンドの「スポット」は最大で200ルーメン、およそ80m先まで照らせる。照度の増減は無段階に調整可能で、状況に応じて好みの明るさにできるし、暗所に慣れた目にまぶしくないレッドライトも搭載している。さらに、バッテリーの残量が一目でわかる仕様になっており、電池の替え時も把握しやすい。ここまでかゆいところに手が届くライトはそうない。

サイズは手のひらに収まるコンパクト感。バッグはもちろんのこと、ポケットにも入る携行性のよさもポイントだ。

体力のないときにも有効的な電気式ホイッスル

自分の居場所を広範囲に知らせたいとき、ホイッスルは有効な道具だ。しかし、自分の息で吹ける状態になかった場合、それは意味をなさない。そのデメリットをカバーするのが、この電気式ホイッスル、FOX40「エレクトロニックホイッスル」。

使い方は、ただ丸いボタンを押すだけ。押している間は125デシベルの大音量の音が鳴り響き、離すと鳴りやむ。車のクラクションの音が110デシベルといわれていることを踏まえると、これがどれほど大きい音を出すのか想像しやすいだろう。

本体のサイドについているスイッチを切り替えることで、異なる3種類の音を選ぶことも可能。電源をオフにできるため、カバンのなかで誤って押してしまう心配もない。非常事態に備え、常時忍ばせておきたいアイテムだ。

(ライター 山畑理絵)

[日経トレンディネット 2016年5月31日付の記事を再構成]

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