片桐仁「99.9」の演技で注目 俳優・粘土作家と多才ラーメンズ、BSで復活

日曜劇場『99.9―刑事専門弁護士―』(TBS系、6月19日最終回)での演技が評判となった片桐仁。ふんする明石は、松本潤演じる若手弁護士・深山の補佐役だ。小生意気な“年下上司”に振り回されるさまをコミカルに難なく演じる演技力と圧倒的な存在感が話題となり、ツイッターのフォロワー数が激増したという。「いやぁ~、おいそれと更新できなくなりましたよ」とテレビの影響力を口にする。

片桐仁さん
かたぎり・じん 1973年11月27日生まれ、埼玉県出身。96年に小林賢太郎とラーメンズを結成。今年公開の映画では『アイアムアヒーロー』『TOO YOUNG TO DIE! 若くして死ぬ』に出演。カレイPhoneは目の部分がカメラレンズになっており、待ち受けは魚の骨のレントゲン写真(円内)。『99.9』ほか、『シャキーン』(Eテレ)、『エレ片のコント太郎』(TBSラジオ)に出演。トゥインクル・コーポレーション所属。

土下座よりもハイレベルの“土下寝”をはじめ、ドラマの起爆剤にもなっている明石の動き。アドリブも多く、周囲からは「まんま仁さんじゃん!」と言われるそうだ。「イメージ上の“片桐仁っぽい役”ということだったんですけど、脚本の力ってすごい」と笑う。

近年は俳優活動が多いイメージだが、基盤は小林賢太郎とのコントグループ・ラーメンズ。2006年からはエレキコミックともユニット・エレ片を組んでおり、コント芸人としての顔は健在だ。「やっていることはそんなに変わらない」と前置きしつつ、「ドラマはあとから編集してくれる分、いろいろチャレンジできるのが面白い」と語る。

ラーメンズは活動開始から今年で20年。増え続ける俳優の仕事については「僕が行く道はそこしかないと思う。バラエティ番組のひな壇トークは技術を培ってきていないし、一朝一夕でできるものでもないし」と謙遜するが、美大出身で粘土作家としての顔も持つ彼は、ドラマ現場で思わぬ貢献をすることも。『99.9』ではリアルな魚型の自作スマホケース(写真)が名物小道具として活躍した。

「ドラマの本読みの時に香川(照之)さんが“何それ?”と食いついたのが始まり。説明すると“これ出そうよ!”と言って、そのまま採用になりました(笑)」

サイズ・質感ともにリアルすぎるこのケースの名称は「カレイPhone」。粘土細工は雑誌の連載でスタートし、17年間で約160作品に到達。現在は個展『不条理アート粘土作品展「ギリ展」』が全国のイオンモールで巡回中だ。

片桐仁さん

「自分が勝手に始めたのに、さも昔からあるアートジャンルのように面白おかしくやれている。これもひとつの“芸”だと考えれば自分も芸人だと胸を張れるので、ライフワークとして続けていきたいです」

6月は、ラーメンズとしても大きな動きがあった。6月26日放送の『小林賢太郎テレビ8』(BSプレミアム)では2人そろってコントを演じた。

この収録で7年ぶりに手合わせした相方について、「純粋にストイックに面白さを追求している印象でした。僕なんか1回舞台に出てうまくいかなかったらすぐにブレていくタイプなんですけど、軸が真っすぐ。お坊さんみたいというか…頭が下がります」(片桐)。リハーサルでは、いつになく緊張したという。「久しぶりですからね。でも2人だけのシーンになったとき、気持ちいい空気感を感じました。いいものができると思います」

それはきっと『99.9』の明石ロスを埋めてくれるに違いない。

(「日経エンタテインメント!」7月号の記事を再構成。敬称略、文・遠藤敏文 写真・中村嘉昭)

[日経MJ2016年7月8日付]

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