大きく見ろ 元祖「証券女子」鍛えたスタンフォード鳥海智絵・野村信託銀行社長に聞く(上)

後になってある教授が言っていたのですが、学校側はわざと、読み切れない量の課題を出していたのです。実際、米国人ですら、全部読むのは不可能だと言っていました。無理だとわかっていてやるのは、それまでの人生であまり挫折を味わったことのないであろう生徒たちに、あえて苦闘する経験や挫折感を味あわせるためだったそうです。

でも、それはあくまで後から知ったことで、その時は必死の思いで毎日、課題に取り組みました。睡眠時間も平均3~4時間ぐらいだったと思います。

辛いながらも何とかなったのは、仲間に助けてもらったから。スタンフォードでは、多くの授業で生徒がグループを作り、グループ単位で各授業の課題に取り組みます。グループ内でわからないところを教え合ったり、役割分担したり、時には侃々諤々(かんかんがくがく)議論したりしながら、課題をこなしていきます。

最初の学期は、誰と組むかは学校が決めます。私のグループは、私以外に、米国人が3人、チリ人と韓国人が1人ずつ。また、女性は私と米国人が1人。この米国人の女性には特にいろいろと助けてもらい、今でもメールのやり取りをする仲です。

6人でいつも誰かの家や図書館に集まり、夜遅くまで議論していました。まさにこれが、競争より協調を重んじるスタンフォードの校風だと実感しました。今思えば、こうした多様な価値観を持った人たちと同じ目標に向かって努力していく経験をしたことで、ダイバーシティーの重要性が肌感覚で理解できるようになったのだと思います。

授業では、物事を大きくとらえるよう、教授から口酸っぱく言われた。

はじめは、職場復帰に備え、金融関係を中心に専門知識を磨きたいと考えていましたが、徐々に考えが変わりました。ここはファイナンス大学院ではない。経営全般について幅広く学ぶ場所だということに気付き、専門にこだわらず、いろいろな分野の授業をとることにしました。

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