幸せになるならハワイ 前に進む力を授かる
「何もしない」リセットの旅も人気
夫を見送ったハワイに暮らす
オアフ島・ホノルル在住の飯島寛子さん(48歳)は、FM放送局スタジオリムのパーソナリティーとして、またエッセイストとして現地で活動する傍ら、フルマラソンにも積極的に参加しています。新聞に連載した人気のコラムは書き下ろしのエッセイとともに2015年、『アロハの贈りもの』(いのちのことば社)という書籍になりました。いつも笑顔で、たくさん笑い、たくさん祈り、たくさん食べて走って、たくさんの人とつながり、「自分に与えられた人生を生きること」にフォーカスしている前向きな女性です。
映画化されたため知っている方も多いかもしれません。寛子さんはプロウインドサーファーの故・飯島夏樹さんと1990年に、ハワイのマウイ島で結婚式を挙げました。その14年後に再びハワイのオアフ島に移住したのは、愛するご主人の余命宣告がきっかけでした。翌年ご主人が天国へ旅立った後も、寛子さんは残された4人のお子さんとともにハワイで暮らし続けることを選びました。
ビーチを走れば「アラモアナの美しい景色が力づけてくれている」と感じ、買い物や読書の合間には海に浸かって、波音やiTunesに入れている聖書の言葉を聞いたり。「ハワイに住まわせていただいて感謝しています」と語る彼女。その前向きな姿勢は「生かされていることへの感謝」が基本になっているようです。
寛子さんを見ていて気持ちがいいなと思うのは、我慢せず、自分を偽らず、無理をせず自然体でいるということ。眉間にシワが入った寛子さんを見たことがありません。
現地で寛子さんと一緒に夕食をとろうとレストランに入った時のこと。どこからともなく「寛子サーン」の声。声をかけてきた一人は、サザンオールスターズの関口和之さんでした。関口さんはここハワイで心のリカバリーができたことから、ハワイという土地に感謝を表すために「ウクレレピクニック・イン・ハワイ」を2009年に発足。主催者として毎年、ウクレレと音楽を楽しむイベントを主催し、アロハスピリットを世界に向けて発信しています。ハワイに救われている人は、本当に多いのですね。
自分を愛するには「好きなこと」を徹底的に
細川さち子さん(61歳)はハワイ・オアフ島在住23年。現地では「自愛学セミナー/自愛学個人レッスン」を主催しています。
「私たちはみな天国出身なんです。天国というところは愛しかない幼稚園のような場所。私たちは愛以外のことを学びたくて、恐れや不安を学べる地球に留学に来たのだと信じています。だから『葛藤』こそ、まさに地球留学の要となる学び。自分を100%愛している人なんて、いたら連れてきてくださいっていうぐらい、いないものなんです。だからこそ自愛が大切。自愛ほど内面の幸せを磨く、確かな方法はないのです」
さち子さんは、ワイキキ・ワードセンターにあるスピリチュアルショップ「SEDONA(セドナ)」で通訳としても働いています。名だたる霊能者の隣に座り、通訳を行いながら多くの日本人旅行者の悩みに寄り添ってきました。
そんなさち子さん。ハワイに住んで6年目に、クレジットカードを使いすぎて破産の危機に追い込まれてしまいました。その体験をさち子さんはブログに書きました。すると読者の一人が「さち子さんは破産しそうになっているというのに、まるで冒険物語のように話すことができるんですね」と言ってきたそうです。
「私は深く意識はしていなかったんです。でも物事をマイナスに捉えても何も良くならない、ということだけは頭でわかっていました。とても良い仲間に囲まれていて『お金がないということに焦点を合わせてはダメよ』と言われていたこともあり、見てうれしくなるものに一生懸命フォーカスしたのです。たとえば夕焼け雲が、日が沈みかけると綺麗なピンク色になっていく。あまりにも美しくて涙が出るほどです」
「私が破産寸前になったのは、私とお金の関係を修復して本当の意味での良い関係を築くために必要なことだったのです。『お金は諸悪の根源』、というのが私の家族の見解でしたから」
さち子さんに、自分を愛するためのとっておきの方法を聞きました。意外にもそれは簡単でした。「自分が心から好きだと感じられることを徹底的にやる」、これだけで良いそうです。
「私たちは一人ひとり生きているだけで必ず誰かのためになっている。その事実に気づいてほしい。しゃかりきになって誰かのためにと頑張ろうとするのではなく、まずは自分に焦点を当てて、無心に自分を信じて、自分を愛して生きていくこと」と、さち子さんは言います。
「ハワイで幸せになるのは比較的簡単なことだと感じます。なんといってもこの天候の良さ。自然の美しさ。しかし、幸せというのは内面の問題ですから、どこで暮らしていても心にパラダイスを持てれば幸せになれるのです」
自分を見つめ直す「何もしないハワイ」滞在が人気
ハワイに旅行する女性たちの目的にも変化が見られます。幸せになりたい。自分ともっと向き合いたい。心と体のリセットをしたいなど、精神的な満足を求めて旅をする女性が増えているのです。
2016年6月には、オアフ島西部ののどかなオーガニックファーム・リトリートセンターでの「なにもしない・ハワイ・リトリート」の開催が発表されました。瞑想にヨガ、散歩、オーガニック野菜を使った料理をする、それ以外は全く自由。「生きる基本(食べる&歩く)」以外は特に何もしないというプランです。企画したリビングオハナによれば、募集開始後から反響は上々だそうです。
「それぞれの参加者が日々の生活から離れて、自分自身を振り返り、自分で癒やしていく力を見いだしてもらいたい。今までの自分を肯定し、未来に向けて心身ともに前向きに生きていくためのお手伝いができればと考えています。癒やす力はみなそれぞれ自分の内面にあるものです」(リビングオハナのモラー直子さん)
ハワイで前向きに生きる人々は、どん底を味わってもそれ以上の何かを得て、生きることに真正面から立ち向かっているように映ります。そんな生き方ができるように、日本で暮らしていても常に自然や人を味方に、好きなことをしながら日々を大切に過ごしたいものです。
(ライター 大崎百紀)
リビングオハナ http://livingohana.blogspot.jp/
飯島寛子オフィシャルブログ http://ameblo.jp/hirokoiijima/
細川さち子のハワイからしあわせの風 http://ameblo.jp/sachikolove33/
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