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プ女子によるプロレス観戦術

天才・武藤敬司の理想郷、W-1担う若武者(プ女子)

2016/7/9

プ女子によるプロレス観戦術

ミスター雁之助選手が考案した「雁之助クラッチ」 (C)HIROKU
ミスター雁之助選手が考案した「雁之助クラッチ」 (C)HIROKU

今回のコラムのテーマ、プロレス団体W-1(レッスル・ワン)に関して6月28日に衝撃の情報が飛び込んできました。5名の選手が契約満了につき6月30日をもって退団。選手の大量離脱は年初の新日本プロレスをはじめプロレス界で過去何度も繰り返されてきました。団体の動向が注目される今、W-1は大きな転換点に差し掛かっています。

W-1は全日本プロレスを退団した武藤敬司(むとうけいじ)選手が2013年に旗揚げした比較的新しい団体です。最近ではDDTプロレスリングの高木三四郎社長が手腕を見込まれ、経営部門の最高責任者(CEO)に就任したことでも話題になりました。

少しさかのぼって6月8日の後楽園ホール大会、この日は個人的に注目する試合が2つありました。第5試合の「黒潮“イケメン”二郎vs.グレート・ムタ」、メーンイベントの「KAIvs.芦野祥太郎(あしのしょうたろう)」です。

10数年前、たまたまテレビで見たグレート・ムタの「非現実」な世界観に衝撃を受けたのが、私がプロレスに興味を持つきっかけでした。

それから10年のあいだで「中の人」武藤選手の古傷であるヒザの具合は年を追うごとに厳しくなっているようです。でも、ムタはこの日も不変のオーラをまとい後楽園ホールに現れました。「イケメン試練の七番勝負 第五戦」と銘打たれたこの試合でムタと対峙するのは、次世代の「非現実」提供者、黒潮“イケメン”二郎、略してイケメン選手です。

グレート・ムタをコーナーに追い詰め、観客にアピールする黒潮“イケメン”二郎選手。(以下、写真は苅谷直政)
グレート・ムタにボディープレスを浴びせる。

福山雅治のポップなラブソング「HELLO」のイントロが流れると、観客がいっせいにそわそわし始めます。赤いショートタイツにド派手なひまわり柄のジャケットを羽織ったイケメン選手の入場です。場内のテンションは急上昇。一直線にリングへ……ではなく客席に突入しウエーブヘアをかき上げながら場内を練り歩くイケメン選手。さびの「恋が走りだしたら~♪」に合わせて沸き起こる「イッケッメン! イッケッメン!」の大合唱。たっぷりと客席の反応を楽しんだあと、じらしにじらしてようやくリングイン……。

このイケメン選手の入場が何ともすごいのです。ちょっとした体調不良なら治ってしまうんじゃないかというぐらい強力かつ即効性のある「多幸感」が湧き上がり、これだけでチケットの元を取ったとすら思えます。こんな「ゼニの取れる」入場をキャリアわずか4年半、23歳の若手レスラーが確立しているのだからもう天性の才能というしかありません。

グレート・ムタの必殺技「シャイニングウィザード(閃光魔術)」が黒潮“イケメン”二郎選手にヒットし、あえなくスリーカウント。
グレート・ムタの緑の「毒霧攻撃」を食らって悶絶する。

試合は健闘したもののムタお得意の毒霧をこれでもかと食らって完敗でしたが、これから経験を重ねて実力を身に付けたら間違いなくプロレス界の中心人物となる逸材です。

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