マネー研究所

Money&Investment

相場急落、値動き小さい銘柄で手堅く運用 市場急変に学ぶ(2)

2016/7/12

 ここ数年、低ボラティリティー運用という言葉をよく耳にします。株式相場が急落する局面でも、資産全体への影響をできるだけ抑えた運用をしたいので関心があります。ポートフォリオにどのように組み入れたらいいでしょうか。

 ボラティリティーとは価格変動の大きさを数値化したもの。ボラティリティーが高いと、それだけ投資家が抱えるリスクも高まる。

 従来はリスクが高いほど高いリターンが期待できるというのが投資のセオリーだった。しかしリーマン危機後、ボラティリティーが低い銘柄でポートフォリオを組んだ方がリターンがより高くなり、市場平均を上回る場合もあるという実証結果が相次いだ。

 年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が低ボラティリティー銘柄などに投資するスマートベータ型運用を採用したことなどによって、一段と注目が集まるようになった。

 なぜ低ボラティリティー運用が高い収益を上げるのか。理由の一つは投資家の心理的バイアスだ。

 M&Aや新規事業などの材料が頻繁に出るような注目銘柄は、より高い収益を目指す投資家の需要によって割高な水準まで買い上げられがちだ。その結果、期待が裏切られると下落率も大きくなり、高いリターンが得られにくくなる。

 さらに、値動きが激しい銘柄は「株価が上昇すると利益確定の売りが出やすく、結果として期待よりもリターンが低くなりがち」とニッセイ基礎研究所の井出真吾氏は指摘する。

 一方、低ボラティリティー銘柄は下げに強いため、値動きの激しい相場では、結果として堅調なリターンが得られるという。

 低ボラティリティー運用の投信や上場投資信託(ETF)も登場している。

 昨年12月、日興アセットマネジメントは「MSCI日本株高配当低ボラティリティ」を上場した。同社は「高配当低ボラティリティ指数」を開発、ETFはこの指数に連動する。

 指数を構成するのは配当利回りが市場平均より0.5%高く、ボラティリティーを同2%低く抑えた銘柄だ。TOPIX(東証株価指数)に比べて化学、医薬品、機械などの業種の組み入れ比率が高い。

 DIAMアセットマネジメントが今年3月に設定した投信「たわらノーロードplus国内株式高配当最小分散戦略」は東証1部上場銘柄の中からボラティリティーの高い銘柄を排除し、割安度や成長期待の高い銘柄を抽出してポートフォリオを構成した。

 低ボラティリティー運用は下げ相場では抵抗力があるものの、上げ相場では指標を下回ることが多い。

 投信評価会社モーニングスターの坂本浩明氏は「アベノミクス相場が始まった2012年12月を起点とするなら、リスクが高めの投信のほうがリターンが高い」と分析する。

 楽天証券経済研究所の篠田尚子氏は「個別株や積極的にリスクを取りに行く投信と組み合わせて、長期保有するのに向いている」と指摘している。

[日本経済新聞朝刊2016年7月6日付]

マネー研究所新着記事

ALL CHANNEL