「朝顔」は古くは別の花を指していたチャレンジことばのドリル第27回

2016/7/13

ことばドリル

夏の花を代表する朝顔は、古くは別の花を指していた
夏の花を代表する朝顔は、古くは別の花を指していた
夏の花を代表する「朝顔」は古くは別の花を指していたといわれます。その花は何でしょうか。このほか、「潮時」の意味、「いみじくも」の使い方、「雲」の別名を尋ねる問題などを用意しました。ちょっとした気分転換に、ぜひチャレンジしてください。

【問1】読み方が正しいものはどれですか。

1)悪寒(あっかん) 2)健気(けんき) 3)帰依(きえ) 4)会得(かいとく)

【問2】誤字がなく正しいものはどれですか。

1)温古知新 2)人口衛星 3)二束三文 4)台風一家 

【問3】太字部分に「ひどい目にあう」の「あう」と同じ漢字を使うものはどれですか。

1)交通事故にあう 2)意見があう 3)友達とあう 4)計算があう

【問4】「潮時(しおどき)」の意味として最も適切なものはどれですか。

1)ものごとの終わり

2)ちょうどいい時期 

3)仕事で忙しい時間帯

4)不調が続き実力を発揮できない時期

【問5】慣用句の言い方が正しいものはどれですか。

1)へそを抱えて笑う 2)一つ返事で引き受ける 3)縁は奇なもの味なもの 4)顔色をうかがう

【問6】「いみじくも」を使った次の文のうち、適切でないものはどれですか。

1)良薬は口に苦し、とはいみじくも言ったものだ。

2)冷房をつけたまま寝たらいみじくも風邪を引いてしまった。

3)上司は私の気持ちをいみじくも言い当てた。 

4)この曲は失恋のせつなさをいみじくも歌いあげている。

【問7】夏の花を代表する「朝顔」は古くは「 」や木槿(むくげ)などを指していたといわれます。「 」に入る花を次のうちから選んでください。

1)桔梗(ききょう) 2)撫子(なでしこ) 3)藤袴(ふじばかま) 4)女郎花(おみなえし)

【問8】「雲」の名称と別名の組み合わせが誤っているものはどれですか。

1)巻積雲(けんせきうん)―うろこ雲

2)巻層雲(けんそううん)―いわし雲

3)高積雲(こうせきうん)―ひつじ雲

4)積乱雲(せきらんうん)―入道雲

【問9】次の食品のうち外来語はどれですか。

1)かずのこ 2)からすみ 3)たらこ 4)いくら

【問10】次の文章には間違いが3カ所あります。どこが間違っているか答えてください。(出題用に創作した文章です)

「お兄ちゃんまだ結婚しないの? いい年なんだし、そろそろ真剣に考えなきゃ」。5つ年下の妹の関心事はもっぱら兄の結婚のようです。私は35歳、都内の食品メーカーに勤めるごくごく普通の会社員。彼女は29歳で、ちらほら結婚の話も出てきます。

学生時代のラグビー部の仲間は大体結婚していて、子どもが2人目という友人もだんだん多くなってきました。自分もそろそろ結婚したいなとは思いつつも、ここ1年は社内で大きなプロジェクトのリーダーを任せられ、首が回るような忙しさで、なんとなく先延ばしになっていました。

最近ようやく仕事の忙しさも一段落し、自分の将来を考える余裕も出てきました。そんなときカレンダーをふと眺めると、もうすぐ彼女の誕生日です。「よしプロポーズしよう」

結婚しようと思っていると妹に伝えると、自分のことのように喜びました。彼女をとても気に入っていて、いつか結婚してくれたらうれしいと思っていたようです。妹としては、これで兄がしっかり家族を持てるという安堵感もあったのかもしれません。

その日から、妹はまるで自分が結婚するかのように世話を焼いてきます。「向こうのご両親にあいさつは行ったの?」「結婚式はいつするの?」――。「いや、まだプロポーズしてないから、彼女にオッケーをもらってからだよ」。昔から少しおせっかいな妹で、いてもたってもいられないようです。「じゃあ一緒にプロポーズ用の婚約指輪を見に行くよ。お兄ちゃんはセンスがないんだから女の子が喜ぶような指輪を探してあげなきゃ」。確かに自分のセンスにはあまり自信がなかったし、一女性の意見として参考にはなるかなと、提案に乗ることにしました。

普段は全く縁がない海外の高級ブランドが軒を連ねる百貨店。「いらっしゃいませ、何をお探しですか?」。ダイヤがちりばめられた輝くばかりの指輪に圧倒されます。「こっちの方が彼女に似合う」「あっちの方がデザインがかわいい」。店員と意気統合した妹は、私をおいてどんどん話を進めていきます。

「これがいいよ!」。妹と店員が強く薦める指輪は確かに彼女のイメージに合っていました。給料の3カ月分とはいかないまでも想像よりかなり値が張りましたが、一生に一度のことだからと清水の舞台から飛び降りる気持ちで購入を決めました。「ではこちらに刻印用の婚約者さまのお名前をいただけますか?」。店員に書類の記入を求められると、妹が「私、このお店の会員になるから一緒に名前を書いておくよ、先に支払い済ませておいて」。妹がいつもより随分頼もしく見えました。

プロポーズ当日。店から届いた指輪を大事に抱えて、この日のためにと奮発して予約しておいたレストランに向かいます。一通り食事を終えて、タイミングを見計らいながら、いよいよ意を決します。「結婚してください!」。プロポーズと同時に指輪を渡すと、彼女はとてもびっくりしたようすでしたが、素直に喜んでくれました。「ありがとう、本当にうれしい」

なんとかプロポーズが成功し、ほっと一安心しているところに彼女がつぶやきます。「あの、私じゃない名前が入ってる……」。一瞬状況をのみ込めませんでしたが、指輪を見て頭が真っ白になりました。そこには妹の名前が刻まれていました。妹が記入欄を間違えて、刻印用のところに自分の名前を書いてしまったのです。

私は必至に事情を説明しました。「ごめんなさい!」。こんな大事な場面で致命的なミス。「怒ってるよね?」。恐る恐る顔を上げると、彼女は大笑いしていました。「ううん、妹さんって面白いね。許してあげる。でも今度またちゃんとプロポーズしてくれたらうれしいな」

(解答と解説)

【問1】3

1)は「おかん」、2)は「けなげ」、4)は「えとく」が正しい。

【問2】3

1)は「温故知新」、2)は「人工衛星」、4)は「台風一過」が正しい。

【問3】1

「ひどい目にあう」は「遭う」を使う。1)は「遭う」、2)と4)は「合う」、3)は「会う」が適切。よって、1)が正解。遭う=思わぬことや好ましくないものに出くわす。合う=互いに同じ動作をする、一致する、調和する。会う=主に人と人が顔をあわせる。

【問4】2

「潮時」とは、「ある事をするための、ちょうどよい時期。好機。時機」(「広辞苑第六版」岩波書店)。文化庁の「国語に関する世論調査」(平成24年度)で「潮時」の意味を尋ねたところ、本来の意味である「ちょうどいい時期」を選んだ人が60.0%、本来の意味ではない「ものごとの終わり」を選んだ人が36.1%という結果が出ている。

【問5】4

1)は「腹を抱えて笑う」または「おなかを抱えて笑う」、2)は「二つ返事で引き受ける」、3)は「縁は異なもの味なもの」が正しい言い方。4)は「顔をうかがう」とすると誤り。

【問6】2

「いみじくも」は文語形容詞「いみじ」の連用形に助詞「も」が付いたもの。「いみじ」は動詞「忌む」の形容詞形で、忌まなければならないほどひどい、ということから程度のはなはだしいさまを表し、善にも悪にも用いられた。しかし、中世以降は「すばらしい」といった良い意味で使われることが多くなり、現代では「いみじくも」は、「非常にうまく」「適切に」「巧みに」「みごとに」といった良い意味だけを表すようになった。例文2)のように悪い意味で使うのは適切でない。

【問7】1

「語源海」(東京書籍)では、「朝顔」の語源について次のように説明している。特定の花ではなく、一般的に〈朝の顔好し〉のように、美しい花を意味した。したがって古代は〈木槿・桔梗・牽牛子(けんごし)〉などをアサガオとよんだ。現代のアサガオは中国から渡ってきた薬草の〈牽牛子〉を限定的にさすようになった。主として幕末以降、〈朝顔〉の表記が定着した。

【問8】2

「いわし雲」「うろこ雲」どちらも巻積雲の別名。巻層雲の別名には「うす雲」「かすみ雲」がある。

【問9】4

「いくら」はロシア語で「魚の卵」の意。日本ではサケ、マス類の成熟卵を塩漬けにしたものをいう。1粒ずつ卵巣から分離したものをいい、そのままのものは筋子(すじこ)と呼ぶ。「日本国語大辞典第二版」(小学館)によると、日露戦争(1904~05年)出兵時のロシア人がキャビアの代用品として食べたのが最初という。1)の「かずのこ」はニシン、2)の「からすみ」はボラ、メナダなど、3)の「たらこ」はスケソウダラの卵巣およびその加工品。

【問10】1)×首が回る→○目が回る。2)×意気統合→○意気投合。3)×必至→○必死。

10問正解は日本語の達人、9問=言葉の上級者、8問=言葉に自信を持ってもいいでしょう、7問=言葉でそんなに恥をかくことはないでしょう、6問=ひょっとしたら時々、恥をかいているかもしれません、5問以下=言葉の勉強をしてみませんか。なお、問10は3カ所すべて正解して1問分の正解とします。

(編集=日本経済新聞社記事審査部)

注目記事