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もし将来がんになっても、働き続けるための備え方

日経ウーマン

2016/7/13

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日経ウーマン

将来もし病気になったら、仕事と収入は? 「貧困に陥るきっかけ」として働く女性が最も心配するのが「病気・ケガ」。必要な備えを見ていこう。

■非正規社員は特に貯蓄と保険でしっかり備えて

「病気を理由に仕事を辞めてしまうと収入が減り、貯蓄を取り崩すことに。厚生年金の加入期間が短くなって将来の年金額も減ります。老後破産の引き金になりかねません」と、FPの深田晶恵さん。万が一のときのために、治療と仕事を両立する備えをしておきたい。

なかでも、がんは治療が長引きがち。正社員なら、有給休暇や傷病手当金などの制度を利用できる。治療中の収入減は、貯蓄と民間のがん保険で補おう。

一方、自営業や非正規雇用の場合、治療で休みがちになることで仕事を失うリスクもある。「正社員以上に、貯蓄と保険でしっかり備える必要があります」

たとえ退職を勧められても、「自分からは辞めると言わないこと。病気になっても『働き続けたい』と言っていいんですよ」。

以下、女性に最も多い乳がんの治療例と、かかるお金、働き方について解説する。

病気で仕事を辞めてしまうと、老後破産の引き金に…

【“万が一”でも仕事を続ける3つの備え】

1.公的保障

■高額療養費制度

入院や手術で1カ月の治療費が一定額を超えた場合、超えた分が健康保険から払い戻される制度(健康保険が適用される治療費のみ)。例えば月収27万円未満の人なら、1カ月当たりの自己負担額は5万7600円まで。月収27万~51.5万円なら約9万円までとなる。

高額療養費制度

[注1]70歳未満の場合、上位所得者・低所得者を除いたもの。収入は給与所得の目安、健保加入者。賞与の額や回数によって、所得区分が異なることがある。*1.直近12カ月間に3回以上高額療養費の支給を受けている場合、4回目以降は負担上限額が下がる。

■傷病手当金

病気やケガにより、会社を連続して3日休んだ後の4日目から、休んだ日に対して支給される。1日の支給額は、各種手当を含む月収÷30×3分の2。社会保険に加入していれば非正規社員も受け取れるが[注2]、自営業者が加入する国民健康保険にはこの制度がない。

[注2]社会保険への加入条件は、労働時間が正社員の4分の3以上、雇用期間が2カ月以上。2016年10月から、年収106万円以上、労働時間週20時間以上、雇用期間1年以上に改正。従業員501人以上の会社は強制加入対象となる。

深田さん’s Advice
社会保険に加入していないと、傷病手当金の制度は使えません。自営業や非正規社員の人は、代わりに貯蓄と保険でしっかり備えて。

2.貯蓄

民間の医療保険やがん保険は、支払い条件を満たさないとお金がもらえない。一方で貯蓄は、条件を問わず入院、通院、休業中の生活費など何にでも使える。社会保険に加入していない人は特に、民間の保険に加入する前に、まず貯蓄でしっかり備えておく必要がある。

3.民間のがん保険

もしもがんに罹患すると、入院・手術の後に数年間の通院治療が必要になり、収入が減ることもある。貯蓄だけでは不安なら、民間のがん保険も活用しよう。一般的ながん保険の場合、がんと診断された時点で受け取れる一時金と、入院・手術給付金がセットになっている。

【大きな病気にかかるお金と、使える制度を知っておこう(乳がんの例)】

入院・手術で病巣除去、乳房温存で、再発予防の通院治療を行った場合の一例。金額は3割負担分。抗がん剤は、3週に1回AC×4回、毎週パクリタキセル×12回の併用療法の場合。治療方法と金額は一例であり、異なるケースもある

■民間のがん保険の保障

がん診断給付金: 初めてがんと診断されると、数十万~100万円程度のまとまった金額を受け取れる。用途は自由で、入院・手術費用のほか、当面の生活費、ウイッグの購入費などにも充てられる。2年に1回など複数回支払われる保険もある。

入院・手術給付金: がんの治療を目的に入院すると、入院日数に応じて日額5000~1万円などが支払われる。がん保険の場合、支払い日数に上限はない。また、がんの治療を目的として特定の手術を受けると、手術給付金が支払われる。

通院給付金: がん治療にかかる通院日数に応じて、日額5000円などが給付される。入院後の通院のみが対象になるタイプと、入院の有無を問わずに給付されるタイプがある。治療費だけでなく交通費にも充てられ、特に遠方の病院に通院する人に便利。

もし、病気で仕事を失ったら…「失業給付の受給期間延長」を申請
仕事を辞め、求職中に雇用保険から給付されるのが「雇用保険の基本手当」(失業給付)。病気による退職の場合、すぐには働けないと見なされ、この手当が受給できない。しかし、所定の期間に手続きをすれば最大3年間まで支給期間が延長され、求職活動を始めたときに失業給付を申請できる。1日当たりの支給額は、離職前6カ月の給与の合計÷180×50~80%。

この人に聞きました

ファイナンシャルプランナー
深田晶恵さん
家計管理、資産運用、保険など、お金の悩みに幅広くアドバイス。本誌連載「働き女子のお金レスキュー隊!」でもおなじみ。近著は『定年前にやるべき「お金」のこと』(ダイヤモンド社)。

[日経ウーマン 2016年7月号の記事を再構成]

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