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「ベイブレード」 3度目の大ヒットへ快進撃

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日経トレンディネット

「3・2・1 GO! シュート!」――。この掛け声を聞いて、昔の記憶がよみがえる人もいるのではないだろうか。1999年に発売された「爆転シュート ベイブレード」。日本の伝承玩具であるベーゴマを現代風にアレンジした対戦玩具で、全世界で約1億6000万個を販売し、品薄状態が半年も続くなど社会現象を巻き起こした。その後、熱は収まったものの、2008年に第2世代「メタルファイト ベイブレード」が発売されると再び火がつき、前作を超える大ヒットを記録。全世界で1億9000万個を販売し、2012年には世界大会まで開催され、25の国と地域からの参加があった。

ベイブレードの大きな特徴は、パーツの組み合わせを変えることでベイ(コマ)をカスタマイズできること。自分だけの最強のベイをつくり、友だちと対戦する。ベイやパーツの種類が豊富で、さまざまな種類を集めたいというコレクション欲を刺激するのもポイント。友達と対戦する「バトル」、自分だけのベイをつくる「カスタマイズ」、たくさんのパーツを集める「コレクション」。この3つの要素が、子どもたちを夢中にさせてきた。

第1世代と第2世代を合わせ、世界80以上の国と地域で3億5000万個以上も売り上げてきたベイブレードだが、実は2015年7月に第3世代「ベイブレードバースト」が発売され、三たびヒットを記録している。これまでに150万個以上を販売し、4月からテレビアニメ『ベイブレードバースト』が始まり、販売数はさらに加速。すでにアジアでも前世代よりも早いタイミングで販売が開始されている。第1世代が発売されてから17年。定番玩具となった「ベイブレード」がなぜ今またヒットしているのか。その秘密を探る。

最後まで勝敗が分からない、運と実力のバランスを改良

一度熱が収まった定番玩具が再びヒットするには、当然「進化」が求められる。もちろん、ベイブレードバーストにも今までにはなかった魅力が追加されている。それが、相手のベイを破壊(バースト)する「バースト」というギミックだ。

従来、ベイブレードの対戦で勝利するには、相手のベイを専用のスタジアムから弾き出すか、相手のベイよりも長く回し続けるしかなかった。そこにバーストギミックが追加され、相手のベイを破壊するという新たな勝ち方が加わった。高速で回転するベイがぶつかるだけでも十分に迫力があったが、ぶつかった衝撃でベイがバラバラに弾け飛ぶことで、さらに迫力を増した戦いが楽しめるようになったのだ。

このバーストがもたらした効果は、見た目の派手さにとどまらない。勝負の決着が最後まで分からなくなったことで、ゲーム性を高めることにもつながった。「前世代のメタルファイト ベイブレードでは長く回り続けるベイが強い傾向があり、ベイを速く回せる力の強い子が有利になるケースが多かった」(「ベイブレードバースト」を担当するタカラトミー ボーイズ事業部の堀川亮氏)。実際、大会ではベイを回し始めた途端に自分の負けを悟り、帰り支度を始めてしまう子どもも少なくなかったという。

それが最新シリーズでは、たとえ回転力で負けていても、ベイにぶつかる角度やタイミングなどで相手のベイをバーストさせる可能性があるのだ。自分のベイが止まりそうになっても、最後の力で相手のベイをバーストして、逆転勝ちを収める。そんな奇跡を期待しながら、最後まで勝負の行方を見つめられるようになった。

ベイブレードバーストでは、その運と実力のバランスが絶妙に計算されている。まず、ベイのタイプは4つ。攻撃を重視したアタックタイプと防御を重視したディフェンスタイプ、長く回ることに特化したスタミナタイプ、攻守のバランスを整えたバランスタイプだ。それがジャンケンのような三すくみの構造になっており、例えばアタックタイプはスタミナタイプに強いがディフェンスタイプには弱く、ディフェンスタイプはアタックタイプには強いがスタミナタイプには弱い。つまり、相手がどのタイプのベイを出してくるのかわからない状態では、自分が相手に優位なベイを出せるかどうかは運に頼るしかない。ただし、たとえ不利なベイを出してしまったとしても、回し方の工夫次第で相手の弱点をつき、勝てる可能性がある。不運を実力でカバーできるのだ。

新たに加わったバースト機能も、運に左右されるところが大きい。高速で回転し続けるベイが相手のベイとどのように当たるかは、到底コントロールが及ばないからだ。しかし、ベイがすぐに破壊できてしまったら、対戦そのものが運頼みの勝負になってしまう。そこで、相手をバーストさせる確率をコントロールする必要が生じる。「新たなベイを作るとき、試作段階ですでに出ている全てのベイと戦わせる。それを何度も繰り返し、適切なバースト率に抑えている」(堀川氏)という。

ベイの形状がコンマ数ミリ変わるだけで、バーストさせる確率が大幅に変化するそうだ。そして、何度も試作を重ね、強すぎず、弱すぎないベイを作り上げている。「ベイブレードには"最強のベイ"は存在しない」(堀川氏)。さらに、パーツをカスタマイズすることにより、その相性が変わる可能性も含んでいる。だからこそ、1回1回の勝負を楽しめ、飽きずに遊び続けられるのだ。

"クラウドシステム"で子どもの競争心を刺激

ベイブレードバーストには、バーストギミックのほかに、もう一つ新たな機能が加えられている。それが、最新技術を使った「ベイクラウドシステム」だ。ランチャーと呼ばれるベイを回すアイテムに「ベイロガー」という記録端末を取り付けると、ベイを回す力であるシュート力や回転数などが記録される。そのベイロガーをスマートフォンに接続することによって、専用アプリで管理できるのだ。

また、アプリにはこれまでに購入したパーツが閲覧できるガレージや参加した大会の記録が見られるバトルログなどもあり、それはインターネットや店頭の端末、筺体ゲームで確認することも可能。さらに、ベイロガー同士をかざすことでフレンド登録をして、お互いの記録をシェアしたり、確認したりできる。

ベイクラウドシステムの最大の特徴は、「ベイポイント」というポイントをためられることだ。新たなベイを購入したり、大会やイベントに参加したりすることでポイントが得られるのはもちろん、練習としてシュートするだけでもポイントを獲得でき、それをためることでレアグッズが当たるゲームに挑める。また、ベイには極小NFCチップが搭載され、店頭に置かれているゲーム機「ベイターミナル」にスキャンさせると1日1回無料でゲームができ、そこでもポイントがもらえる。

「ベイクラウドシステムは、子どもたちに長く遊んでほしいという願いから付けた機能。普通に遊んでいるだけで自然とデータが記録され、気づいたらポイントがたまっている。そんなおトク感も子どもたちに喜ばれるのではないかと思った」(堀川氏)。たしかに、クラウド上に記録されたデータや蓄積されたポイントを目にすれば、自分たちの頑張りや練習の成果を実感でき、遊び続けるモチベーションの維持につながるだろう。ポイントをためてレアグッズを手に入れたいという欲求を抱かせるのも、長く遊んでもらうには効果的。また、ベイクラウドシステムにはポイントランキングもあり、それが子どもたちの競争心を刺激するという側面もある。「ポイントをためて、レアグッズをゲットしたい」「あいつよりランキングの上位にいきたい」――そんな子どもたちの声が聞こえてきそうだ。

このシステムに関して興味深いのが、ベイロガーとスマートフォンを接続する際に使うのがイヤホンジャックということだ。最新技術を用いるのなら、Bluetooth接続やNFC接続を考えそうなものだが、どうしてイヤホンジャックを採用したのか。「ベイブレードは子どもの玩具だから、どのスマートフォンでも使えるイヤホンジャックが最適だと判断した。さらに安く提供でき、玩具にイヤホンジャックが付いている不思議さが興味を引くとも思った」(堀川氏)。玩具にイヤホンを差し込む穴が付いているのは珍しくないが、玩具からイヤホンジャックが出ているのはあまり見ない。そんなユニークさも、どんな子どもにも長く遊んでほしいという願いから生まれた産物なのだろう。

スポーツ競技のように勝敗に一喜一憂

定番玩具として確実な進化を遂げたベイブレードバースト。その楽しみをさらに広げているのが、全国各地で開催されている大会だ。2016年6月現在、ベイブレードのイベントや大会を主催している団体「wbba.」には全国で700近くの公認ショップ「wbba.ストア」があり、それぞれ月1~2回ずつ大会が開催されている。つまり、日本中で月に1000近くもの大会が行われているのだ。もちろん、その規模は大小さまざまだが、なかには100人以上の子どもが集まる大会もあり、各地で熱戦が繰り広げられている。

大会に足を運ぶと驚かされるのが、参加している子どもたちの熱の入れようだ。各々が自慢のベイを持参し、その勝敗に一喜一憂する。応援する親のほうが子ども以上に力を入れすぎて、ミスした子どもを厳しく注意し、泣かせてしまうことさえあるという。五輪を目指す親子の厳しいトレーニング風景がテレビでしばしば放映されるが、それとよく似た光景が広がっているのだ。

「ベイブレードは一種のスポーツで、子どもにとってはすべてを懸けた真剣勝負。負けたらすごく悔しいし、次は勝てるように努力する。そんな体験を与えたい」(堀川氏)

実際、ベイブレードの試合にはスポーツと共通する点が多い。まず、相手がどのようなベイを出してくるかを予想する戦略性。さらに、相手のベイとの相性を考えて回し方を工夫するテクニック。当然、そのテクニックを習得するには練習が必要だ。そして、自分のベイをより強くしようと研究を重ねることもあるだろう。試合に勝つために、日々の努力を怠らない。それは、スポーツ以外の何物でもない。

さらにベイブレードバーストでは、スポーツを意識した商品展開も考えられている。野球のバットやテニスのラケットにさまざまな種類があるように、ベイを回すランチャーの種類を多数用意。7月にミサンガを発売するのも、スポーツを意識した商品展開の一環だ。子どもを熱くさせるスポーツ性。それも、ベイブレードをヒット商品に押し上げた大きな要因の一つに違いない。

2016年6月に開催された「東京おもちゃショー2016」の「日本おもちゃ大賞2016」のボーイズ・トイ部門で、ベイブレードバーストの「ビクトリーヴァルキリー.B.V」が大賞を受賞した。6月末にはシリーズ最大規模のトーナメント大会が予定され、7月には人気アイテムの進化版『ゼノエクスカリバー』も登場。ベイブレード熱はますます高まりそうだ。

(アジト 前田和之)

[日経トレンディネット 2016年6月21日付の記事を再構成]

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