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重力波を生んだ太古のブラックホール衝突を解明

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ナショナルジオグラフィック日本版

はるか昔に2つのブラックホールがぶつかった際の衝撃が、時空のさざ波「重力波」として直接検出されたというニュースが、先日、大きな話題になった。これは、いわば古生物学者が誰も見たことのない画期的な化石を手にしたようなものだ。

今、その「化石」を手掛かりに、モデルを使ったシミュレーションによって、衝突した太古のブラックホールの「生前」の姿を再現しようとする研究が進められている。

ブラックホールの衝突が最も頻繁だった

2016年6月22日に科学誌『ネイチャー』に発表された論文によると、合体した2つのブラックホールは、もともとはお互いのまわりを軌道運動する2つの巨大な恒星で、質量はそれぞれ太陽の96倍と60倍で、ビッグバンから約20億年後に形成されたものだという。

その後、2つの恒星は別々の時期に死に、ともにブラックホールになって軌道運動を続けていたが、やがて渦を巻くように接近し、激突して合体した。

ブラックホール同士の激突は巨大な衝撃波を引き起こし、それが時空のゆがみとなって波のように宇宙空間を伝わり、ついに2015年9月14日に地球を通過した。米国にあるLIGO(レーザー干渉計重力波天文台)が検出した重力波は、かつてこの連星が存在し、死んでいったことの唯一の証拠となった。

今回のシミュレーションは、見つかった重力波の成り立ちを明らかにするだけでない。ブラックホール同士の合体が原因となる重力波が、ほかの原因(中性子星同士の衝突やブラックホールと中性子星の衝突)による重力波に比べて頻繁に発生すること、つまり、今後検出される重力波の多くがこのタイプのものになることを示している。

ブラックホール同士が合体する頻度についての彼らの見積もりが正しければ、2020年にLIGOの改良が終わって感度が向上した際には、年間1000件のブラックホールの合体が検出されるようになるという。そうなれば、重力波天文学者は太古のあらゆる種類のブラックホールを研究できるようになる。

英バーミンガム大学の天体物理学者イリヤ・マンデル氏は、今回の研究には関与していないが、「そう遠くない将来、『重力波古生物学』が始まるでしょう。古生物学者が恐竜の化石からその生前の姿や行動を知ることができるように、天文学者も、恒星が残した重力波から、その進化について知ることができるようになるのです」と言う。

沈黙と闇の中で起こった衝突

先日検出された重力波は、異例の大きさのブラックホール同士の合体によるものだった。今回発表されたモデルは、その理由を説明するのにも役立つ。

論文のシニアオーサーである米ロチェスター工科大学のリチャード・オショーネシー氏は、「私たちのモデルでは、ブラックホールの前身の2つの恒星は、やや特殊な領域にあったことになります」と言う。そこは、恒星の材料である水素とヘリウムのみからなる、重元素に汚染されていない巨大な雲の中だ。こうした原始的な領域で生まれた恒星には質量を失いにくいという特徴がある。

すでに述べたように、2つの恒星の質量は、それぞれ太陽の96倍と60倍だった。質量が大きい恒星ほど年をとるのが速いため、大きい方の恒星(恒星1とする)はどんどん年をとって膨れ上がり、その外層のガスは、小さくて若々しい兄弟(恒星2とする)の重力によって吸い上げられるようになる。

やがて両者の質量は逆転し、恒星1はつぶれて太陽の約31倍の質量のブラックホールになった。

ブラックホールは恒星2のまわりを軌道運動しながら外層のガスを剥ぎ取り、恒星とともにガスの雲に包み込まれた。そして、巨大なミキサーのようにこの雲をかき混ぜながら、軌道運動をするためのエネルギーを失っていった。その結果、ブラックホールと恒星2の距離はどんどん小さくなり、ついには約6400万km(太陽から水星までの距離と同じくらい)まで近づいた。この頃に恒星2も死んで、太陽の31倍以上の質量を持つ巨大ブラックホールになった。

あとは沈黙だ。100億年もの間、2つのブラックホールはお互いのまわりを軌道運動し、エネルギーを放出しながら、さらに接近していった。そして今から約14億年前、2つのブラックホールはついに激しく衝突し、観察可能な宇宙のすべての恒星を合わせたよりも大量のエネルギーを放出した。

論文の筆頭著者であるポーランド、ワルシャワ大学のクリス・ベルチンスキー氏は、「宇宙最大級の爆発は、完全な沈黙と暗闇の中で起きたのです」と言う。

(文 Michael Greshko、訳 三枝小夜子、日経ナショナル ジオグラフィック社)

[ナショナル ジオグラフィック ニュース 2016年6月24日付]

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