ターボ搭載で一新 新型ボクスター「718」

日経トレンディネット

ポルシェ「718ボクスター」。新たにターボ付き水平対向4気筒エンジンを搭載した。税込み価格は658万~904.4万円
ポルシェ「718ボクスター」。新たにターボ付き水平対向4気筒エンジンを搭載した。税込み価格は658万~904.4万円
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ポルシェ ジャパンがミッドシップオープンカー「ボクスター」の新型、ポルシェ「718ボクスター」を2016年6月1日に都内で初公開した。受注は2月1日に始まっており、税込み価格は658万~904.4万円。納車開始は6月末から7月上旬を予定している。

車名に加わった「718」は、1950~1960年代のレースシーンで活躍した水平対向4気筒エンジンをミッドシップに搭載した伝説のレーシングカー「ポルシェ718」に由来している。“単なるダウンサイジングでない”というポルシェの主張が込められているかのようだ。

2016年6月1日に都内で初公開された「718ボクスター」

出力アップで、燃費も改善

718ボクスターは、2016年3月開催の「ジュネーブ国際モーターショー」で世界初公開された。最大の特徴はエンジンの変更だ。歴代モデルに搭載されていた自然吸気の水平対向6気筒エンジン(2.7Lと3.4L)から、新開発のターボ付き水平対向4気筒エンジンに変わったのだ。

718ボクスターに搭載する2.0Lと、「718ボクスターS」に搭載する2.5Lの2種類がある。718ボクスターの最高出力は300ps/6500rpm、最大トルクは380Nm/1950~4500rpm、ボクスターSの最高出力は350ps/6500rpm、最大トルクは420Nm/1900~4500rpmで、どちらも前モデル比で35psもパワーアップし、燃費は13%改善しているという。

新開発のターボ付き水平対向4気筒エンジンを搭載する
エンジンは2.0Lと2.5Lの2種類がある。前モデルは自然吸気の水平対向6気筒エンジン(2.7Lと3.4L)

トランスミッションは、従来と同じく6速MTと7速PDK(デュアルクラッチ式のトランスミッション)から選べる。最も優れた実力を発揮するボクスターSのクロノパッケージ付きPDK仕様の場合、0-100km/h加速は4.2秒を誇る。これは同じPDKを持つ従来型ボクスターSと比べ、0.6秒も向上していることになる。

シャシーも新パワートレインに合わせて、さらにスポーティーなチューニングを施した。電動パワーステアリングもギア比を10%下げたことで、街中でもサーキットでも、操縦性が向上しているという。よりハイレベルなスポーツドライビングを楽しみたいユーザーに向け、車高を低くし、サスペンションをハードにした「PASMスポーツシャシー」もオプションで用意している。

リアには新コンビネーションランプを採用

エクステリアはフロントフード、フロントウインドウ、そしてソフトトップの3点は従来のものを受け継いではいるが、全体のデザインは一新。シャープさが強調され、より力強いプロポーションになっている。

フロントビュー
リアビュー

最も変化が分かりやすいのは、リアのデザインで、クリアテールレンズと4灯式ブレーキランプを備えた新コンビネーションランプを採用。左右のテールランプ間を結ぶアクセントラインをブラックアウト化するなど、誰でも分かるほど違い、より攻撃的な雰囲気になった。またエアインテークを大型化し、ヘッドライトユニットも変更したフロントマスクは、より精悍な印象を与える。

クリアテールレンズと4灯式ブレーキランプを備えた新コンビネーションランプを採用
左右のテールランプ間を結ぶアクセントラインをブラックアウト化した

911と同様のインフォテインメントシステムを導入

インテリアでは、改良型「911」に搭載されたポルシェ独自のインフォテインメントシステム「PCM(ポルシェ コミュニケーション・マネージメントシステム)」が、ボクスターにも標準で装備され、同時にダッシュボードも新設計になった。

ダッシュボードは新設計
ポルシェ独自のインフォテインメントシステム「PCM(ポルシェ コミュニケーション・マネージメントシステム)」を標準装備した

これまで日本仕様には日本製のカーナビゲーションシステムを搭載していたため、実用的ではあったものの、インテリアとのマッチングに、不満を感じるユーザーもいたようだ。今回、専用のシステムを導入したことで、統一感が得られるようになった。

PCMにはカーナビゲーションやオーディオ機能などが備わっており、通信にも対応。オプションのコネクト プラスを購入することで、オンラインナビゲーション、Apple Carplay、Wi-Fiホットスポットといったネットワーク機能も強化できる。これによりPCMでのGoogle Mapの表示、ネットを利用した目的地検索、リアルタイム渋滞情報の入手などの機能を利用できるようになる。またWi-Fiホットスポットを使えば、車内でタブレットやノートパソコン、スマートフォンなどをWi-Fi接続しインターネットを利用することも可能になるのだ。

今まではクーペより安かったオープンだが…

ボクスターの姉妹モデルである、ハードトップクーペ仕様の「ケイマン」も、4気筒エンジンにダウンサイジングされ「718ケイマン」として5月から受注が始まったが、実はこのタイミングで、ボクスターとケイマンのポジショニングが逆転したことも話題だ。

歴代モデルではクーペのケイマンがオープンカーのボクスターの上位モデルと位置付けられていた。しかし、新型では718ケイマンより718ボクスターのほうが両グレードともに39万円高となる価格差を付けた。上位モデルの911も同様だが、一般的にオープンモデルはクーペより割高なのが普通だが、ボクスターとケイマンについては、それが逆でボクスターが「お買い得」だっただけに、718ボクスターのほうが高くなってしまったことは少々残念だ。

ちなみに718ケイマンの税込み価格は6速MT仕様が619万円、7速PDKが671万4000円、「718 ケイマンS」の6速MTが813万円、7速PDKが865万4000円となっている。

ポルシェ ジャパン 七五三木 敏幸社長(右)とポルシェドライビングアスリートのFCレッドブル・ザルツブルク所属 南野拓実選手(左)

6気筒のボクスターとケイマンは市場から消える?

ポルシェ ジャパン 七五三木敏幸社長は、「ボクスターは2015年に約700台を販売した。進化した新型では、これを上回ることを目指したい」と話す。

6気筒エンジンを搭載したボクスターとケイマンの製造はすでに終了しており、日本では店頭在庫のみになるという。今後、718シリーズに6気筒エンジンを搭載するかどうかについてはコメントがなかったが、718という名前を冠する以上、基本的には全モデル4気筒エンジンになるのだろう。

(文・写真 大音安弘)

[日経トレンディネット 2016年6月13日付の記事を再構成]

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