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波乱相場、現金に退避して回復待つ 市場急変に学ぶ(1)

2016/7/5

24日、日経平均株価は一時1300円超値を下げた(24日午後)
 国内外の株式や債券にバランスよく分散投資しているつもりでしたが、英国の欧州連合(EU)離脱決定後の相場急変でかなり損失が出てしまいました。今後、資産運用で大きなリスクを回避するにはどうしたらいいでしょうか。

 世界規模で株式や債券、不動産など複数の資産にバランスよく投資していれば、仮に何かの相場が急落しても、資産全体に与える影響は限られる。

 しかし、英国のEU離脱のように世界経済の先行きを揺るがすような出来事が起きると、ポートフォリオ全体でかなりの損失を抱えてしまうことがある。

 世界規模の相場急落は1987年のブラックマンデー、97年のアジア通貨危機、2008年のリーマン・ショックなど、ほぼ10年周期で繰り返されている。バランスよく資産配分していても、投資マネーが一斉にリスク資産から引き揚げられる「リスクオフ」の相場では損失は避けられない。

 ただし、株式、債券、不動産投資信託(REIT)といったリスク資産をいったん売却し、相場が落ちつくまで自国通貨の現金(キャッシュ)で持っておくという選択肢はある。

 英国の国民投票はあらかじめ期日が決まっていた。みずほ総合研究所は「離脱の場合、ドル円相場は2~6円の円高、日経平均株価は1000~3000円の下落」と影響を試算していた。これほどの市場変動が予想されるイベントの前、どうしてもリスクを避けたい投資家は株式などの利益を確定してキャッシュにしておくのも一つの投資手法というわけだ。

 実は投資信託の中にも、相場の状況に応じてキャッシュ比率をかなり高め、損失リスクを最小限に抑える運用手法をとるものがある。DIAMアセットマネジメントのバランス型投信「クルーズコントロール」は5月末に60%だったキャッシュ比率を英国民投票の1週間前までに約90%に上げていた。日経平均が8%近く急落した24日、このファンドの基準価格は0.37%の下落にとどまった。

 三菱UFJ国際投信の「三菱UFJバランス・イノベーション」シリーズのファンド4本は、もともと年金運用のために開発された運用手法を用いており、相場の局面を見ながら世界の株式、債券などの資産配分を大きく組み替えてリスクを抑える。4本のうち「株式重視型」のファンドでさえ足元で国内株式の比率はゼロで、日経平均急落の影響を受けなかった。

 もっとも、こうしたファンドはキャッシュや信用力の高い債券などリスクの小さい資産の比率を高めている分、その後の戻り相場に乗り遅れる傾向がある。イデア・ファンド・コンサルティングの吉井崇裕社長は「短期間で大きく上げる戻り相場や、ボックス圏を行ったり来たりする相場には向かない」と分析する。

 それぞれのファンドの具体的な資産配分は定期的に運用会社サイトなどで開示されている。期待リターンを多少犠牲にしても、相場急落時の損失を抑えたいと考える投資家にとっては、資産の組み入れ比率をどう動かすか、目安の一つになりそうだ。

[日本経済新聞朝刊2016年6月29日付]

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