タブレットで手話の遠隔通訳… 訪日客らおもてなし航空各社、フライト前後の快適性競う

全日本空輸は空港カウンターに遠隔での手話通訳サービスを導入した
全日本空輸は空港カウンターに遠隔での手話通訳サービスを導入した

航空各社が空港カウンターや保安検査の利便性を高めている。全日本空輸は耳や足の不自由な人をサポートする設備や機器を国内各地の空港に導入する。日本航空はIT(情報技術)で手荷物の預け入れや保安検査の待ち時間を減らす。訪日客の増加などで空港は過密化が進んでいる。2020年の東京五輪・パラリンピックに向けて多様な利用客に対応できるようにする。

全日空 カウンターで遠隔通訳サービス、手話もOK

全日空は羽田空港国内線のカウンターを刷新した。耳や言葉の不自由な人と係員が円滑にやり取りできるよう、手話の遠隔通訳サービスを導入した。タブレット(多機能携帯端末)を使い、ネット回線を介して手話のプロが通訳する。従来は筆談だった。

また金属探知機に反応しない車椅子を羽田空港に64台導入した。松永製作所(岐阜県養老町)と共同開発し、金属部品を強度の高い樹脂製に置き換え、乗客の所持品のみを探知できるようにした。従来、足の不自由な乗客の保安検査では金属を身につけていなくても車椅子が反応しボディーチェックしなくてはならなかった。

いずれも羽田以外の空港で順次導入する。体の不自由な人や子連れなど手助けの必要な乗客向けのカウンターを、利便性の高い空港中央部に設けるといったレイアウト変更も検討していく。

日航 検査待ち時間、スマホアプリで案内
日本航空は保安検査場の待ち時間を確認できるアプリの機能を拡充している

日航は昨年7月、羽田空港国内線でスマートフォン(スマホ)による保安検査場の待ち時間の案内サービスを始めた。混雑情報を提供し、オフピークで保安検査に進んでもらう。時間を有効活用してもらい満足度を高める。今年5月には搭乗口を示す機能も加えた。

昨年羽田空港で始めた「JALエクスプレス・タグサービス」は乗客自らが自動機を使ってタグを発行し、手荷物につけてカウンターに預けることで待ち時間を減らす。企画時は乗客のうち4割の利用を見込んでいたが、5割が同サービスを利用。伊丹や福岡などの空港でも導入した。

これまで航空各社は定時性の向上や機内サービスの充実に力を入れてきたが、ここにきて搭乗前後の快適性でも競合との違いを打ち出そうとしている。

東京五輪・パラリンピックを見据え、空港の施設管理や運営に携わる企業も利用者の多様化に対応している。日本空港ビルデングは3月、羽田空港国内線第1旅客ターミナルに授乳室のほか、盲導犬などの専用トイレを備えた「多目的レストルーム」を新たに設けた。

[日経MJ2016年6月24日付]

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