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グルメ・トラベル

花とスイーツとレトロ湯 長野からの立ち寄り旅 女性のための快適出張術

2016/6/29

栗の間伐材が敷き詰められた小布施町「栗の小径」

 かつては泊まりがけが当たり前だった長野へは、今や東京から新幹線で最速1時間20分。プライベートで行く方も多いでしょう。実は長野県は、「日本でいちばんいい県 都道府県別幸福度ランキング」(2012年、日本総研)総合1位、「日本で最も美しい村連合」の加盟60町村のうち9つがある(日本一)、平均寿命が男女ともに1位(2010年都道府県別。2013年発表)など、様々な全国1位を獲得している県なのです。地域活性化やまちづくりの先進例として注目されている自治体も多い、その理由はどこにあるのでしょうか。長野市から情緒豊かな温泉地を結ぶ長野電鉄の沿線地域に立ち寄りました。

■人口1万人の町に年100万人超 観光まちづくりの先進事例

 長野駅から長野電鉄の特急で約20分。小布施町は人口1万人余りながら、毎年100万人を超える観光客が訪れる人気観光地です。かつては過疎に悩んでいた小さな町にこれほど多くの人が訪れるようになった発端は1976年、小布施に残されていた葛飾北斎の肉筆画を一堂に集めた「北斎館」が開館したことでした。

 北斎館は北斎と交流があった小布施の豪商・豪農、高井鴻山(市村三九郎)の末裔(まつえい)である当時の町長、市村郁夫さんの尽力によって完成したものの、当初は田んぼの中の美術館と言われました。しかし市村町長は在任中に急死。80年、東京で働いていた次男の次夫さんが32歳の若さで小布施に戻り、家業だった栗菓子屋「小布施堂」などの経営を引き継ぎ、小布施のまちづくりリーダーとして大きな力を発揮していきました。

 その後、北斎館周辺を回遊できるように町並みを整備したことで、かつては飲食店がほとんどなかった町にレストランやカフェが次々にオープン。特産品の栗を使った食事やスイーツ、町並み散策が人気となりました。

 北斎館の隣には和栗を使ったスイーツが人気の「傘風楼」。行列ができる和栗のケーキ「モンブラン朱雀」を提供する「小布施堂 えんとつ」もすぐ近くです。そこから「栗の小径」を歩いて行くと「高井鴻山記念館」。オープンガーデンとして開放している個人宅の美しい庭の一つもその道沿いにあります。

 小布施の町並みづくりは、観光客と地域に暮らす人の両方が幸せになれる「観光まちづくり」の先駆例として知られています。1980年には町民による花のまちづくりがスタート。一般家庭の庭を開放する「オープンガーデン」は2000年に始まり、15年間で130軒を超えるまでになりました。

 「オープンガーデン」は、かつての縁側文化の延長ともいえます。個人宅の庭のほかお店の庭、学校の庭、つくりも洋風、北欧風、日本庭園など多様です。

オープンガーデンの表示が出ている庭は自由に見学できる

 さらに92年には、1万5000平方メートルの敷地を持つ“花のミュージアム”、「フローラルガーデンおぶせ」が開園。花仲間コンベンション「全国ガーデニングサミット」の開催などで、花の町として広く知られるようになりました。

 小布施町は、町独自の家づくり・町並みづくりの指針「環境デザイン協力基準」を87年に設けています。90年には「小布施町うるおいのある美しいまちづくり条例」を制定。景観や建築の指針として共有しながら、情緒ある町並みを住民と行政が協力して作りあげてきた結果が今の小布施の姿です。

「フローラルガーデンおぶせ」は四季折々の花の庭園、レストラン、ショップを備え、イベントも開催される
蔵や古い建物が風景に溶け込む小布施の町並み
和栗を使った「モンブラン朱雀」(ドリンクセットで1250円)は「えんとつ」にて(定休日の火曜は「傘風楼」で提供)
小布施堂 えんとつ:長野県上高井郡小布施町小布施808
http://http://www.obusedo.com/entotsu.html

■レトロ豪華な明治~昭和初期の木造建築と文化財巡り

左:ノスタルジックな雰囲気あふれる渋温泉は、夜も9つの外湯めぐりや足湯、町歩きが楽しめる。右:渋温泉の9つの外湯めぐりでは「渋大湯(九番湯)」だけが宿泊者以外も利用できる (渋大湯の画像提供:渋温泉旅館組合)

 小布施から特急列車でさらに約30分。終点の湯田中駅から車でわずか5分で、渋温泉(山ノ内町)に到着です。渋温泉はノスタルジックな情緒あふれる石畳の温泉街。31軒ある宿は全て天然かけ流し温泉で、宿泊者だけが利用できる9つの外湯では「祈願手ぬぐい」にスタンプを押して巡る「九湯めぐり(厄除巡浴外湯めぐり)」が人気。九番湯の「渋大湯」は宿泊者以外も500円で利用できます。

築80年、木造4階建ての斉月楼は宮大工が長年培った技術の粋をあつめて完成。(国の登録有形文化財)
斉月楼にある7つの部屋は1軒の家に見立てられ、ベンガラを用いた壁や部屋の細工は特筆に価する

 映画『千と千尋の神隠し』に登場する「油屋」のモデルではと噂されるのが、渋温泉の人気宿「歴史の宿 金具屋」。創業は1758年で、温泉が湧出する前は鍛冶屋だったためこの名がつけられました。明治から昭和にかけて建築された金具屋の29の客室はすべておもむきが異なります。5つの貸し切り風呂を含む8つのレトロな湯殿を有する内湯も人気です。

 宿泊者限定ですが、金具屋の4つの源泉が見学できる「源泉ツアー」、昭和11年(1936年)築の斉月楼と大広間の2つの文化財を見学する「金具屋文化財巡り」という2つの文化体験は大きな魅力です。「源泉ツアー」は毎朝30分ほど。全国に温泉はあまたあれど、源泉の見学ができるところはごくわずか。温泉が本物であるからこそ、その証しを見てもらおうという取り組みでもあります。「文化財巡り」は毎日17時半から約35分間、木造4階建ての斉月楼と、折り上げ格天井が豪華な本間130畳の「旧温泉会館・大広間」を案内してもらえます。建築や旅館文化の歴史を知る貴重な機会です。

左:金具屋のラウンジにて。宿泊している外国人の男の子が笑顔でポーズ。右:斉月楼の「高砂の宿」入り口は土間風、洗面台もレトロ

 食事は日本でも有数の長寿県である長野らしく、「不老」(アンチエイジング)や「健康」を意識した料理が並びます。地元食材を盛り込んだ「北信濃八寸」、安曇野わさび漬けや信州サーモンなど、素朴でヘルシーな食材が楽しめます。

 近年「スノーモンキー」として外国人に大人気の「地獄谷野猿公苑」も渋温泉のすぐそば。標高850メートル、冬の積雪は1メートル超、気温は氷点下10度と厳しい環境ですが、猿たちは豊かな自然に囲まれた温泉に入って寒さをしのぎます。野猿公苑の入り口近くには、国の天然記念物に指定された「渋の地獄谷噴泉」が。川底から20メートルの高さに自然噴泉の熱水が吹き上がり、迫力に思わず目を奪われます。

【出張ミニ技】荷物は極限までコンパクトかつスピーディーに
 出張の際、毎回いかに荷物を減らすかで頭を悩ませます。携帯電話やパソコンなど電子機器はもちろん、宿泊を伴う場合、充電器やケーブル、メーク道具一式に着替えともなると相当な重量となります。
 荷物を減らすポイントは、「かさ」に注目することです。化粧品は小分けにするよりも、サンプルやホテルでもらったアメニティーを次の出張の際に利用すると煩わしさから解放されます。かさばる衣類は身につけ、パッキングするものは可能な限り軽いものをセレクト。デジカメは予備のバッテリーがあれば充電器のかさを減らせます。財布の中の不要なカード類は取り除いて。出張用にコンパクトなパスケースを使うと、さらにかさを減らせます。
 スピーディーなパッキングにおすすめなのが、バッグインバッグやアイテムごとにまとめられるポーチの活用です。ネットなどで購入できるおしゃれな収納セットはなかなかの優れもの。衣類を収めるジップ付きバッグや電子機器類をまとめるポーチ、化粧品などを整理する小物バッグ、室内履きを入れるシューズケースなどがセットになっているものもあり、デザインに統一感があるので気分も上がります。100円ショップの室内履きも、おそろいのシューズケースに入れれば安っぽさを感じません。飛行機や新幹線の中ではきかえれば疲労が軽減できます。
水津陽子
 合同会社フォーティR&C代表。経営コンサルタント。地域資源を生かした観光や地域ブランドづくり、地域活性化・まちづくりに関する講演、コンサルティング、調査研究などを行う。

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