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英EU離脱、個人投資家の取るべき行動は FPに聞く

2016/6/27

英EU離脱が決まり円高と株安が加速した(24日午後、東京都中央区)
 英国の国民投票で欧州連合(EU)離脱が決まり、24日の東京市場では円高と株安が加速した。世界経済の先行き不安が広がる中で、これまでの投資スタンスでいいのか、自信が揺らいでいる個人投資家も少なくないだろう。資産運用に詳しいファイナンシャルプランナー(FP)に聞いたところ、この機会に国内外の株式、債券などへの資産配分のバランスを確認しておくべきだという声が多かった。

 「英国のEU離脱くらいのインパクトのある出来事は今後もありうる。この相場で『どうしようか』と慌ててしまったなら、資産配分でリスクを取りすぎている可能性がある」。リンクマネーコンサルティング(東京・港)の高橋忠寛氏はこう指摘する。金融資産全体のうち、どのくらいを株式などのリスク資産に配分すべきか、方針が固まっていないと、相場の急落局面で不安にかられやすい。

 一方、老後資金作りのために期待リターンとリスクを考えて資産配分をしてきた個人投資家は、まずは世界経済への影響を冷静に見極めればいい。FPアソシエイツ&コンサルティング(同・千代田)の神戸孝氏は「為替相場や株価が大きく動いても、それほど長引かないだろう。長期の投資家が慌ててポートフォリオ(資産配分)を見直す時機ではない」とみている。

 日本の個人投資家にとって特に影響が大きいのは、外国の株式や債券、不動産などで運用する投資信託が円高に伴い為替差損を抱えることだ。こうした投信の純資産総額は約27兆円、ファンド数は2600本を超える。イデア・ファンド・コンサルティング(横浜市)の吉井崇裕氏は「海外の不動産投資信託(REIT)や低格付け債で運用する投信などに集中投資している人が多い」と指摘。「この機会に分散投資を検討すべきだ」と助言する。

 当面、EU関連のニュースで相場が乱高下しやすいが、ファイナンシャルリサーチ(東京・新宿)の深野康彦氏は「相場そのものよりも、噂に翻弄されたり、不安に駆られたりして非合理な投資行動をしてしまうリスクのほうが大きい」と指摘。投信などの積み立て投資は相場下落時に多く買って平均コストを下げるドルコスト平均法が特長だけに「途中で投げ出してしまうのは禁物」という。

 プロの投資家が株式などから資金を引き揚げる「リスクオフ」の相場は、余裕資金のある個人投資家にとって新規投資の好機とみるFPは少なくない。生活設計塾クルー(同・中野)の目黒政明氏は、日経平均の1万5000円割れや円相場の1ドル=100円突破は好機で、「来年前半にかけて、国内外にバランスよく時間分散しながら買っていくのが一案」と助言する。

 英国のEU離脱で欧州通貨は売られやすく、先進国では米国が投資先の候補になる。びとうファイナンシャルサービス(同・港)の尾藤峰男氏は「米国株は株価下落と円高により円換算額が下がるだろう。いずれ米国の利上げや日本の追加金融緩和があれば、円安に動く可能性が高く、いまが買いのチャンスではないか」とみる。

 一方、退職金の受け皿などとして売られている外貨建て個人年金保険を契約する場合、為替リスクを肝に銘じておきたい。高橋氏は「円高が進むと老後資金が削られるし、短期で解約しても元本割れになる。1000万円といった高額で一括投資する商品としては流動性が低く、リスクが相当に大きい」と強調する。

 株式などリスク資産に投資する以上、今後も市場乱調による影響に備える必要がある。「タマゴはひとつの籠に盛るな」という投資の基本に立ち返り、資産配分のバランスが崩れていないか、よく確認しておきたい。

(表悟志、堀大介、藤井良憲、川本和佳英)

[日本経済新聞朝刊2016年6月25日付]

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