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タワーマンションのトラブル多発、住民が苦情 外国人旅行者が大騒ぎ、予定なしにゲストルーム予約

2016/6/27

「新しい基準ができてトラブルがなくなった」と話す村上正健・前理事長(東京都中央区のザ・トーキョー・タワーズ)
 豪華なラウンジやゲストルームを備えたタワーマンションが増えるなか、そうした共有施設の使用を巡る住民同士のトラブルが目立つ。ホテルのような施設は民泊を利用する訪日外国人にも人気で、彼らが住民とトラブルになる例も後を絶たない。そうした問題の解決に向け、マンションの管理組合も動き始めた。

 「新基準になってゲストルームの予約が取りやすくなった」。そう話すのは東京の臨海部に立つ巨大マンション、ザ・トーキョー・タワーズ(東京・中央)に住むAさん(43)。58階建ての2つの超高層棟に約2800世帯が暮らしている。低料金で客を泊められるゲストルームが低層階に8室、上層階に3室あるが、以前は予約してもなかなか空きがなく、ほとんど利用できなかったという。

 苦情が相次いだため管理組合の理事会が調べたところ、数世帯の住民が大量に部屋を予約して、解約料金が発生しない2日前にキャンセルしていたことがわかった。予約者はとりあえず部屋を押さえておこうという気持ちだったようだが、希望者が予約できないうえ空き室が多く発生してしまい、管理組合に入るべき収入が入ってこない事態になっていた。

 そこで理事会は3年前、ゲストルームの宿泊数を制限した新しい基準を策定。低層階は年間16泊、上層階は同2泊までとした。キャンセルしても宿泊数にカウントされるため、「とりあえず予約」が激減。ほかの住民が予約を取りやすくなった。前理事長の村上正健さん(73)は「新基準は利便性の向上や公平性の確保、管理組合の収入面でもプラスになった」と話す。

 ◇   ◇

 ラウンジを巡るトラブルもある。地方都市の高層マンションに住むBさん(54)は今春、管理組合から配られたラウンジのルール改定のお知らせを見て「これでやっと落ち着いて暮らせる」と胸をなで下ろした。

 本来、ラウンジは住民やその友人らが懇親などに使う部屋。だが、ある住民がネットを使い不特定多数の人を集め、有料の婚活パーティーや講演会などに使っていた。多い時で月に6回開くこともあった。Bさんはぞろぞろとマンションに出入りする男女の姿を見たことがあり、不安を感じていた。

 ほかの住民からも苦情が寄せられ、管理組合はラウンジの使用細則を改定。今年2月から使用回数を1世帯あたり月2回までとし、ネットや広告などで参加者を募る行為も禁止した。今後も違反が繰り返されるようなら、違反者に1年間の使用停止を求める厳しい措置も検討するという。

 NPO法人集合住宅管理組合センター(東京・新宿)の和田真保専務理事は「最近、共用施設をめぐるトラブルの相談がくるようになった」と話す。背景には豪華な共用施設を売り物にした高層マンションの増加がある。

 施設の使用細則は最低限の決まりを定めただけで、使い方は住民のモラルに委ねることが多い。和田さんは「昔に比べ住民の公共意識が薄れ、自分勝手な使い方が目につくようになった。細かく規制するのも仕方がない」と指摘する。

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■解決へ規定づくりも

 豪華マンションは訪日外国人にも人気で、いわゆる「民泊トラブル」も生みやすい。ごみ出しルールの違反や真夜中の大騒ぎ、見ず知らずの外国人が出入りすることへの不安などだ。それを防止するため民泊禁止を打ち出すマンションも増えている。代表例が東京の臨海部に立つタワーマンション、ブリリアマーレ有明(東京・江東)だ。2014年4月の総会で管理規約に民泊の禁止条項を設けた。

 最近は訪日客が郊外にも足を延ばしており、周辺部にも民泊需要が広がりつつある。このため、郊外のマンションでも民泊を警戒する動きが出てきた。

 東京都小金井市にある小金井中町マンションは12日、理事会を開き、民泊の禁止などを話し合った。「問題が起きているわけではないが、将来に備えて民泊の禁止を打ち出したい」と理事長の村田幸久さん(70)。来年2月に開く総会で、管理規約に禁止条項を盛り込む予定だ。

 住宅情報「SUUMO(スーモ)」の池本洋一編集長は「民泊を禁止しても隠れてやる人がいるかもしれない。理事らが立ち入り調査できる規定も入れないと、実効性は確保できないだろう。民泊仲介サイトをこまめにチェックすることも必要だ」と助言する。

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■規制緩和が建設後押し

 不動産経済研究所によると、20階建て以上の超高層マンションが増加したのは1990年代後半以降。豪華な共用施設やコンシェルジュサービスが備わり人気がある。資産価値が高く買い替えても値崩れしにくい点などが評価され、首都圏や近畿圏などの大都市から地方の中核都市まで波及していった。さらに規制緩和で臨海部や駅前での再開発がしやすくなり、建設を後押しした。

 この10年の推移をみると、2007~09年のピーク期には全国で年間100棟超、3万戸を超える超高層マンションが建った。その後、リーマン・ショックや東日本大震災の影響で1万戸台まで落ちたが、15年には6年ぶりに2万戸台まで回復。20年の東京五輪・パラリンピックに向け、東京の臨海部では数多くの再開発プロジェクトが控えており、しばらくの間、高止まり傾向が続きそうだ。

(高橋敬治)

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