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訪日客の好み「旅行前」から取り込め

2016/6/25

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秋葉原を訪れた中国人観光客(東京都千代田区)
秋葉原を訪れた中国人観光客(東京都千代田区)

IT(情報技術)関連企業が来日前の外国人観光客向けのマーケティングサービスを強化している。データ分析のデータセクションはアジアに拠点を開設し、現地のSNS(交流サイト)分析サービスを本格的に開始。日本ユニシスは観光地や日本の商品を紹介するサイトを立ち上げる。東京五輪・パラリンピック開催に向けて増加が期待できる訪日外国人(インバウンド)の消費を促したい考えだ。

データセクション SNS分析、好みの商品・サービス把握

 データセクションは今月、子会社のソリッドインテリジェンスがマレーシアのクアラルンプールに現地法人を設立。タイやインドネシアにも順次拠点を設け、今年度中に5カ所の体制とする。

インバウンド関連サービスを主に手掛ける。インターネット上の書き込みや現地調査を基に消費者の好みなどを調査する。国ごとに言語や生活習慣などが異なるアジア地域の消費者の動向をつかめれば来日前にPR情報を流せ、訪日客の滞在中に商品やサービスの紹介もしやすくなる。

併せてアジア進出を考える日本企業の支援も手掛ける。製造業や小売業などの企業に対し、現地の調査データから販売戦略の助言をするといった事業を想定する。

日本ユニシス 外国人ライター目線で日本PR

 日本ユニシスは今月、新サイト「サムライトリップ」を立ち上げた。外国人ライターが日本の観光地や商品、サービスについて記事を書く。インバウンド関連の商品を紹介したい企業向けにはプロモーション方法やリピーター獲得施策の助言もする。日本人以外の視点で情報発信するため、日本観光を考える外国人の需要をつかめるとみている。

将来は観光客が帰国後に日本の商品を通販で購入できる「越境電子商取引(EC)」サービスも視野に入れる。日本ユニシスはこれまでもSNS「フェイスブック」上で和食情報を発信するページを運用しており、そのノウハウを生かす。

トラベリエンス 訪日客向けに観光地を映像で紹介

 ベンチャーのトラベリエンス(東京・台東)は訪日外国人向けに観光地を映像で紹介するサイトを手掛ける。観光スポットの紹介を1分程度の動画にまとめ、外国人の口コミも合わせて見られるようにする。

各社が訪日前の観光客向けのマーケティングサービスを手掛けるのは、インバウンドの多様化が背景にある。これまでは東京、大阪、富士山など海外でも著名な観光地「ゴールデンルート」を訪れる観光客が多かったがリピーターを中心にそれ以外の地方へ足を伸ばす動きも増えている。国内外で収集した情報を生かし、多様化する需要の取り込みを狙う。

■日本商品なお人気/外国人消費回復へ情報発信

外国人観光客が訪日中に消費する金額が伸び悩んでいる。観光庁のまとめによると今年1~3月の訪日外国人の旅行消費額は9305億円と、全体でみると前年同期より約3割増加している。

ただ、1人あたりの金額は16万1746円で、昨年から5.4%減少した。中国やタイなど、これまで「インバウンド消費」を支えてきた国の旅行者の支出が1~3割程度落ち込んでいる。落ち込みの原因として世界的な景気の減速や、円高傾向にある為替などが指摘されている。

一方、日本の商品への関心は引き続き強い。経済産業省のまとめによると日本が販売した商品を中国の消費者が現地で購入する越境ECの2015年の市場規模は7956億円になったとみられる。19年には2兆3300億円まで伸びるとの予測もある。

訪日観光客数は昨年度、2000万人を突破するなど増加傾向が続く。政府は今年3月末、訪日客数を20年までに倍増させる計画を打ち出している。日本を訪れる観光客に事前に観光地や商品の情報を適切に届けられれば、インバウンド消費にはさらに拡大する余地がありそうだ。

(諸富聡)

[日経産業新聞2016年6月23日付]