早くも来年度から五輪ボランティア募集東京都、観光案内の人材育成へ異例の1年前倒し

東京都大田区では外国人客向けのボランティアガイドを育成。都内には多様なボランティア制度で訪日客を支える制度がある
東京都大田区では外国人客向けのボランティアガイドを育成。都内には多様なボランティア制度で訪日客を支える制度がある

東京都は2020年の東京五輪・パラリンピックの期間中に観光ガイドや交通案内をする「都市ボランティア」の募集を17年度に始める。通常、五輪規模の国際スポーツイベントでは、募集から実施までに2年間かけて育成するが、都市ボランティア1万人については1年前倒しする国際的に見ても異例の「長期育成」となる。研修などに必要な期間を十分に確保し、19年のラグビー・ワールドカップ(W杯)日本大会の期間中に交通案内などの実務も経験してもらい、20年の時点での「おもてなし」のサービス向上を目指す。

都市ボランティアは駅や空港、都内の観光地などに配置され、交通・観光事業者と協力しながら、観光客を案内する。人材は大学生やシニア、障害者などを幅広く集める。これとは別に競技運営や会場案内などを担う8万人の大会ボランティアは大会組織委員会がネットを通じて世界各国に募集をかけ、選考、研修を経て運営体制を整える。

都は大会に関連する一連のボランティア情報をPRサイト「東京ボランティアナビ」などを通じて提供。このうち都市ボランティアについて「18年夏ごろを予定」としている一般募集を、近く早める案内を出す。

前倒しの背景には「観光情報に精通するボランティアを多言語で大量に確保・育成するには、予想以上に時間がかかる」(ボランティア団体の関係者)ことがある。日本各地で開催される19年のラグビーW杯も大規模なスポーツイベントとなることから、ここで経験を積んでもらい、翌年のオリパラ東京大会につなげる狙いだ。19年の時点での都市ボランティアは数千人規模を見込んでいる。

このほか都には「外国人おもてなし語学ボランティア」(3100人)や観光ボランティアである「おもてなし東京」(1300人)など複数のボランティア制度がある。このほか、区単位で人材を確保する観光ボランティア制度もあり、東京大会では団体客の観光案内などで活躍してもらう。

約半世紀ぶりに日本で開催されるスポーツの祭典には「何らかの形で大会を支えたい」という希望者が大量に集まることが予想される。都が今年1月に組織委員会と共同で開催したオリパラのボランティアシンポジウムでは、230人のシンポジウム参加枠に約1700人の応募があった。既存の観光ボランティアなどの経験を生かし、17年度の先行募集に臨んでもらうことを期待している。

政府は20年に訪日外国人を15年から倍増させて4000万人にする目標を打ち出しており、今後、東京に滞在する訪日客(インバウンド)も一段と増える見通しだ。19年のラグビーW杯は東京、横浜など12都市で開催され、開催期間(9月20日~11月2日)は東京など大都市を拠点に、日本や東アジアにインバウンド需要の増大が期待されている。首都圏のホテル関係者は「ラグビーW杯とオリパラで訪日客を丁重におもてなしすることで、リピーターの確保につなげたい」としており、観光ボランティア態勢の充実が大きなカギを握っている。

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