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吉田羊さん、「とにかく芝居がうまくなりたい」

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NIKKEI STYLE

日本アカデミー賞優秀助演女優賞など昨年はいくつもの賞を獲得し、名実ともに日本を代表する俳優に上り詰めた吉田羊さん。6月25日公開の「嫌な女」で主演を務めるなど、今年もすでに4本の映画が公開予定だ。20年近いキャリアを誇りながら、名前が広く知られるようになったのはここ数年。その活躍から「サクセスストーリー」としても語られる吉田さんに、仕事観や人生観を尋ねた。

――「『負ける』という言葉は好きじゃないですが、『勝つ』という言葉も好きじゃないです。それよりも『乗り越える』です」。「WOMAN EXPO TOKYO 2016」(5月22日)での発言が印象に残りました。

吉田 「誰かに勝って役をもらうという考え方では、いつか必ず『負ける日』が巡ってきます。役をもらうのは、ほかの役者さんを蹴落とす争いではなく、あくまで自分が役をもらうに値するかどうかの結果だと考えています。仕事のたびに課題が見つかって克服していくと、きょうの私は昨日よりも認められる私になれる。自分を『乗り越える』であって、誰かとの勝ち負けではないと思います」

――競争の激しい芸能界のなかで、そのような感覚に行き着いたのはなぜですか。

吉田「基本的に私は自分に自信がないんです。『足るを知る』ですね。できないと知っているから努力するだけです。1つ仕事をもらうたびに、『私なんかにありがとうございます』と思います。大きく見せる必要がないから、肩の力が抜けますよ」

「デンマークの哲学者キルケゴール(1813~55)の『人の思い患いは、人との比較から始まる』という思想を大切にしています。他人は自分にないものを持っていて当たり前。比較の対象が他人だと、ないものねだりばかりで病んでしまいますよね。でも自分の中だけで完結させて、足りないものを克服できれば前向きになれます。他の誰かを否定する必要もないですし」

吉田さんは10年ほど小劇場の舞台で活動し、2007年に現所属事務所の社長兼マネジャーに見出されて映像の世界に活躍の場を移した。14年に「HERO」(フジテレビ)への出演をきっかけに人気を不動のものにした。

――なぜ俳優の道に入ったのですか。

吉田 「演劇の経験はなかったですけど、大学卒業後の就職活動の一環で、やってみて合わなかったらやめようくらいの気軽さで足を踏み入れました。石橋はたたかないで歩く方ですね。おもしろそうだと思えばまずはやってみます。自分はできなくて当たり前と考えているので、できたらラッキーとポジティブな想像ができる。性格的には得ですね」

――長い間続けてこられたのは要因は何ですか。

吉田 「やっぱり芝居は楽しいんですよ。現場で自分も想像がつかないような芝居が生まれると、『ああ、この仕事はやめられない』って思っちゃいます。私自身は人前に立つのが恥ずかしいので、役のフィルターがかかって人前に立てるんです。そういう意味では天性かもしれません。芝居中は生きていられるという感覚があります」

――仕事仲間との関わりで、心がけていることは。

吉田 「現場では常に共演者や監督、プロデューサーにダメ出ししてもらいやすい雰囲気作りに努めています。というのも、私が映像の仕事を始めたときには年齢的にとうがたっていました。キャスティングの時点で『吉田羊の芝居はこういうもの』というイメージをすでに持ってくれている場合が多いのです」

「だから、現場では『私悩んでいます。これでいいんですかね?』という気持ちを正直に伝えるようにしています。共演者やスタッフの方々は『あれ、始まってみたら吉田羊は悩んでいるぞ』と。そういう部分も含めておもしろがってくれているのではないかと思います。第三者から見て、芝居でおかしいことをおかしいと言われなくなったら、役者としておしまいだと思います。周囲の意見に振り回されてはダメですけれど、現場はベストの芝居を見つける場ですから」

――ご活躍は「遅咲き、サクセスストーリー」などと評されます。

吉田 「そもそも私は『遅咲いて』いるのでしょうかね?(笑)。もちろん、役者である以上、注目してもらえるのはうれしいです。でも『遅咲き』や『下積みが豊富な演技派女優』という表現には違和感を覚えます。役者としてまだまだ発展途上で、今がゴールではないという思いがあります」

――小劇場時代から活動の場を広げるために、どのように計画を立てて実行してきたのですか。

吉田 「実は私、まったく準備してこなかったんですよ。過去を振り返っても、芝居で一旗あげてやるという思いはありませんでしたね。20代のころは小劇場で毎日演じることが楽しかった。小さなコミュニティーの中で、次の舞台が決まったり、声をかけてもらったり、ささいなことがうれしかったです」

「成り上がりたいという欲もゼロです。劇団時代は稼げないのは当たり前。疑問も持たずにアルバイトで生計を立て、チケットを手売りしていました。映像に舞台を移してもしばらくは仕事がなく、給料が十分でないときも、それが今の自分の立ち位置、身の丈と受け入れてやってきました。考え方は今も変わりません」

「ただ、マネジャーさんには出会ったときから『もっと上を目指せ』とはっぱをかけられてきましたし、実際に私をマネジメントしてくれる。今はお互いに役割分担できているので、私は芝居に専念できます」

――この先の目標はありますか。

吉田 「とにかく芝居がうまくなりたいですね。共演する一流の俳優さんに『羊ちゃんおもしろかった、そう来ると思わなかった』と驚きを与えたい。結果的にそれで生活力がついてこなくても、きっと私は満足します」

「だから野望は特にないんですよ。『何が何でも上に行く』、『100億円稼ぐ』などの野心が先行して芝居がないがしろになったら、私はストレスでつぶれますね。今日生きる積み重ねが未来につながると思っています」

吉田さんにはプライベートの話題で、これまで経験したことのない風が吹いている。「WOMAN EXPO」は一連の報道後、初めて公の場に出てくる機会だった。その場で見せた涙が様々な憶測を呼んだ。毎日アップしていたブログも更新を見合わせている。

――涙について憶測が広がりました。

吉田 「事前にファンの方々がマネージャーさんのブログを通して来場を伝えてくれましたが、ステージに立つと声援とうちわが目に入って感極まりました。泣いてしまうと誤解の種になるのはわかっていました。でも、私よりも先にファンの方々が泣いていて、こらえ切れませんでした。『あなたが笑顔でいれば』というメッセージは、私が(ファンに向けて)個々に話しかけるように、『みなさん』でなくあえて使っている表現です。ファンの方々は自分へのメッセージだと受け取ってくれたと思います」

――最後に現在の率直なお気持ちとファンへのメッセージを。

吉田「昨年はくしくも未(ひつじ)年、たくさんの仕事をいただけた1年でした。でもあのフィーバーは異常で、ありえない『ヒツジ景気』だったのだと考えています。私はみこしの上にかつがれるに値していなかった。だから今、『本当に吉田羊は、去年(のフィーバー)に見合う女優、人物だったのか』と問われているのだと思います。私は役者であり、演じることしか能がないので、『吉田羊はいい芝居するよね』と認めてもらえるように、がんばっていくしかない。そう改めて思っています」

「ファンのみなさんに安心していただくために言いたいことがあります。必ずブログは復活させます。必ず。私は自分のペースで無理せず、自然体で過ごせています。また以前と変わらない姿で帰っていけると思っていますので、『待っていてくださインゲンマメ』」

◇   ◇   ◇

【取材を終えて】
 なぜ吉田羊さんは売れているのだろう? 小劇場時代から磨いてきた芝居力に加えて自己プロデュース力があり、戦略を立てて勝ち取った地位だと取材前は予想していた。
 ところが、インタビューに答える吉田さんは「成り上がる欲はまったくない」と言い切り、むしろ「年齢や背格好、雰囲気が似た女優はたくさんいます」と自然体。自身の活躍も「私自身が謎ですよ。七不思議の一つです」と笑う。
 他人の成功にねたみやうらみの感情を持たず、虚勢を張ることも嫌う。飾らない雰囲気や、完璧じゃないと認める人間くささ、芝居にかける情熱は人一倍持っていながらストイックな姿勢を周りに求めたりはしない――。競争の厳しい芸能界で「次も吉田羊で」と指名がかかる背景を感じた。(メディア戦略部 夏目祐介)

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