内幸町で注目の書籍『一生モノの副業』の中身ジュンク堂書店プレスセンター店

ビジネス街の書店をめぐりながらその時々のその街の売れ筋本をウオッチしていくシリーズ。これまで大手町、汐留、八重洲と三つのビジネス街を定点観測してきたが、3カ月たったところで、少し違う街の書店ものぞいてみることにしたい。そこで汐留から少し足を伸ばし、内幸町地区の日比谷シティの一角、日本プレスセンタービルにあるジュンク堂書店プレスセンター店を訪ねた。この地区なら反応があるのではないか。そう版元が期待して販促を提案し、狙い通りに売れている本があるという。

ビジネスマンの願望つかむ

同店の社会科学書担当、松川佐智子さんが紹介してくれたのが、石川和男・千葉善春『一生モノの副業 この1冊でわかる大学講師のなり方』(左右社)という本だ。文字通り、大学とはあまり縁のないビジネスまわりで生きてきた人がどうすれば大学講師になれるかを伝授する。2人の著者はそれぞれサラリーマンと人事コンサルタントという仕事を持ちながら大学講師としても精力的に活動している人物。最近実学志向を強める多くの大学や専門学校では、士業やコンサルタントはもちろん営業一筋のビジネスマン、総務や人事、経理などで実践的な法務や人材管理、会計業務などをこなしてきた人など、多くの実業界で仕事をしてきた人の講師ニーズがあると説く。

日比谷シティにはプレスセンターのほかに二つの大型ビルがあり、富国生命保険やJFEホールディングスなどが入居する。大手監査法人や弁護士事務所、会計事務所なども数多く入る。さらに周辺に目を広げても大型オフィスビルが林立し、官庁街の霞が関も隣接する。こうした立地を狙って版元が平台の設置を提案したという。それが冒頭の写真だ。ジュンク堂は低めの棚に面陳列で本を並べるディスプレーに特徴がある。そんな中、版元の用意した「大学講師になる方法教えます」の大型店頭販促(POP)をかざした平台のアピール度は抜群。「年配のビジネスマンが手にとって買っていく」と松川さんは話す。

『国会要覧』もよく売れる

政治関係の本も面陳列棚の目立つところに置かれている

定番の売れ筋は政治関連本と会計関連本だという。「『国会要覧』といった本もよく売れる」。同店では政治関連本や社会評論などもビジネス書として扱う。やはり官庁街に近いことと大手監査法人や会計事務所が集中していることがこうした売れ筋になる要因だ。特に政治関連本でいえば、日本プレスセンター内にあり、中日新聞東京本社が隣で、マスコミ関係者が数多く立ち寄ることも反映している。

それでは、先週のベスト5を見ていこう。4位が同率で3冊あるため6冊になる。平日のみの営業のため5日間のランキングだ。

(1)総理山口敬之著(幻冬舎)
(2)一生モノの副業 この1冊でわかる大学講師のなり方石川和男・千葉善春著(左右社)
(3)図解とQ&Aですっきりわかるマイナス金利加藤出著(宝島社)
(4)ダイヤモンド ハーバード・ビジネス・レビュー(ダイヤモンド社)
(4)ここが変わった! 税効果会計新日本有限責任監査法人編(中央経済社)
(4)さらばカリスマ日本経済新聞社編(日本経済新聞出版社)

(ジュンク堂書店プレスセンター店、2016年6月13日~6月17日)

第1位には政治を扱ったノンフィクションが入っている。安倍晋三首相が官房長官だったころから「安倍番」としてならした元TBS記者が首相周辺の人間模様を活写したという触れ込みの本。冒頭に上げた1冊が2位に入り、3位はマイナス金利のわかりやすい解説書だ。4位の会計本は日比谷シティのビルに入居する監査法人が編者だ。ハーバード・ビジネス・レビューは雑誌だが、組織論を特集した最新の7月号が書籍扱いでランクイン。鈴木敏文前セブン&アイHD会長をめぐる「セブンの変」を扱った1冊も同率で並んだ。

(水柿武志)

「ビジネス書・今週の平台」記事一覧

ビジネス書などの書評を紹介