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耐震性能を第三者機関が評価 地震保険の割引も 住宅、地震に備える(3)

2016/6/28

新築住宅で住宅性能表示の評価交付を受けた割合はまだ2割程度に過ぎない
 住み替えを検討し始めた矢先に大きな地震が起こり、不安に思っています。既存住宅なら耐震診断ができますが、これから購入する新築住宅の耐震性はどう測ればいいのでしょう。

 建築基準法の耐震基準は一連の法改正により厳格化されており、一般には新しい住宅の方が安心なはず。ただ、個別物件に目を向ければ例外もあり得る。その不安にある程度、対応できる制度が2000年に始まった「住宅性能表示」だ。

 耐震や省エネなど複数の項目を第三者機関が評価し、結果を書類で交付する。各工務店などが決めたバラバラの基準ではなく、統一的な物差しで住宅性能を比べられる。この制度に詳しい、さくら事務所(東京・渋谷)の川野武士氏は「外部の専門家が評価するので、住人にとっては安心材料になる」と評する。

 住宅性能表示の耐震性(構造く体の倒壊等防止)は3等級ある。等級1は「極めてまれに発生する大地震でも倒壊などをしない」建物で、等級2は1の1.25倍、等級3は1の1.5倍の強さを持つ。

 任意の制度なので過去数年、評価交付を受けた戸数は新築住宅全体の約2割にすぎない。だが、今後は利用する人が増えていく可能性が高い。同制度を活用すれば、地震保険の保険料割引が受けられるからだ。

 最高の3なら地震保険料は50%引きになる(2014年7月以降に加入した場合)。同制度は耐震性だけでなく、建物と地面の間に揺れを吸収する装置を入れた「免震建築物」としての性能も評価する。免震と評価されれば、やはり保険料は50%引きになる。

 地震リスクの上昇を映して地震保険料は来年1月以降、段階的に全国平均で計19%上がる予定だけに、耐震や免震の性能評価による大幅な割引の魅力が高まっている。ただ、住宅の種類によっては個人が自由に制度を使えるとは限らない。

 注文住宅で予算に余裕があるなら、個人は住宅性能表示を利用するか否かに加え、1~3までどの耐震等級とするかも基本的には自由に決められる。一方、マンションなど分譲住宅の場合、個人が制度利用の有無を決めることは不可能だ。

 新築の住宅性能表示はまず設計図を評価し、次いで施工や完成時の評価へ進む。マンションの場合、購入前の個人が設計に関与できる余地はない。分譲マンション派の人が高い耐震等級を求めるなら「すでに性能表示を交付された物件を選ぶしかない」(川野氏)。

 ただし、マンションは最高の等級3の交付を受ける物件は少ない。高い等級を目指すとコストがかさみ、居住スペースが狭くなるなどのデメリットが出やすいからだ。免震マンションも多数派とはいえず、50%の地震保険料割引が適用される物件は14年度、全体の1割程度にすぎなかった。

 戸建てでも高い耐震等級を目指せば壁の配置など間取りに一定の制約が出る。川野氏は「耐震性と居住性が両立しにくいのは事実。自らの住まいで何を最も優先するかを整理して考える必要がある」と語る。

[日本経済新聞朝刊2016年6月22日付]

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