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夏のボーナス使い道「貯蓄」44% 投資先は日本株 読者モニター調査

2016/6/26

買い物や住宅ローン返済は控えめにして貯蓄を確保、投資先を分散―。日本経済新聞社が読者モニターに夏のボーナス資金の使い道について聞いたところ、こんな家計の様子が見えてきた。マイナス金利政策導入以降、国内の預貯金や債券の金利が一段と低下。より高い利回りが期待できる金融商品を増やしたいと考える一方、一進一退の続く株式相場の行方を見極めたいという姿勢も強い。

調査は5月下旬に実施した(有効回答630人)。ボーナスの支給額が昨夏より「増える」とした人の比率は15%で、「減る」という人は23%だった(グラフA)。2013年夏の調査時から、前年比で増える人の比率が上がり、減る人の比率が下がる改善傾向が続いてきたが、ここへきて足踏みとなっている。

ボーナスの使い道を6つの項目に分け、それぞれ何割ずつ配分するかを聞いて平均した結果がグラフB。「貯蓄」が平均44%と前年の調査時より4ポイント増えた。「住宅ローン返済」と「投資」はそれぞれ2ポイント低下。「買い物」は1ポイント低下した。

■「利回りを重視」

東京都の会社員男性(37)は「景気の見通しも明るくないので、大きく消費を増やすつもりはない。ある程度、節約して貯蓄しておこうと思う」と話す。ファイナンシャルプランナー(FP)の藤川太氏は「賃金が伸びないなかで社会保険料負担が増え、貯蓄をして消費を手控えたいという人が多い」と指摘する。

ボーナスを活用した投資を予定する人に基本的な考え方を尋ねた(グラフC)。最も多かったのは「元本割れのリスクが多少あってもある程度の利回りがほしい」との回答で52%と昨夏より1ポイント上昇した。「元本の安全性を重視する」は1ポイント高い37%となった。

一方、「大きな値上がり益がほしい」は10%と2ポイント低下した。FPの福田啓太氏は「昨年夏までの上昇相場のなかで日本株を買った人が、このところの株安で損失を抱えている可能性が高く、少し弱気になっている」と話す。

ボーナスで運用したい投資商品の種類を複数回答で聞いた(グラフD)。トップは「日本株」で70%。株高で投資環境の良かった前年よりは6ポイント低く、年初からの軟調相場も反映しているようだ。2位は「日本株で運用する投資信託」で22%だった。

■「日本株買い増す」

岐阜県の会社員男性(59)は「日本株への投資を増やす予定だが、相場が安定するまで新規投資は見合わせる」と判断。東京都の会社員男性(61)は「中長期的な円相場の方向性がわからず、一旦現金のポジションを増やした」という。

株安は買いの好機ととらえる人もいる。「日本株を買い増したい」(神奈川県の会社員男性、54)、「今後の株価上昇を見込んで日本株を買いたい」(茨城県の会社員男性、56)といった声が目立つ。東京都の会社員女性(35)は「医薬関連など安定配当銘柄を中心に購入したい」と話す。

運用したい商品の3位には「不動産投資信託(REIT)など不動産関連」(19%)が入り、前年の4位から順位を上げた。長期金利がマイナス圏に沈む中、上場REITの予想分配金利回りは平均3%台で投資家の注目を集める。REIT購入を考えているという東京都の会社員男性(40)は「円高で業績悪化が懸念される輸出関連株と比べるとREITはしばらく有望な投資先」とみる。

4位の「外国株」(17%)も前年の6位から上昇した。含み益が薄くなった日本株を売却し、定期預金も解約したという東京都の会社員男性(47)は、外国株や外貨建てMMF(マネー・マーケット・ファンド)を購入する予定。「外貨建て資産は金利が国内よりも高く、上昇を期待できる株式もある」という。全般に外貨建て資産を含めて投資先を分散させようという人が多い。

今回のアンケートでは、日銀が今年1月末にマイナス金利政策の導入を決めて以降、資産全体の運用方法や考え方を見直したかについても尋ねた。「すでに見直しに着手した」との回答は全体の12%、「着手していないが、必要性を感じる」人が36%いた。

見直した人からは、「預貯金での運用では資産を増やせないので投資に切り替えていきたい」(東京都の会社員男性、45)といった声が多い。千葉県の73歳の男性は「高齢なので預貯金を中心にしてきたが定期預金に魅力がなくなったため、資金の一部を個人向け国債とREITに切り替えた」という。

運用見直しを機に増やしたい資産(複数回答)としては「日本株・日本株投信」(38%)や「REITなど不動産関連」(21%)、「外貨建て資産」(19%)が挙がった。

足元では英国のEU離脱問題などから円高に振れる局面も多い。FPの福田氏は「資産がほとんど円建てだという人は、外貨建てを増やすチャンス」と指摘。一進一退を続ける日本株は、「自己資本比率が50%以上で自己資本利益率(ROE)が高い銘柄を厳選することが大切」と話す。藤川氏は「昨夏までのアベノミクス相場でリスクを取り過ぎていた人は、家計の状況に応じて投資額や銘柄を見直すべきだ」と助言している。(川本和佳英)

[日本経済新聞朝刊2016年6月22日付]

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