MONO TRENDY

ももいろトラディショナル

ももクロ・佐々木彩夏の漆器づくり さて出来栄えは? ももクロVS伝統工芸/佐々木彩夏、漆器作りに挑戦(4)

2016/6/26

ももクロの佐々木彩夏さん(左)と嶋田希望さん。自然あふれる河和田地区で

ももいろクローバーZ(ももクロ)が伝統工芸を学ぶ連載「ももいろトラディショナル」。グループ最年少の佐々木彩夏さんが越前漆器に挑戦するシリーズも今回が最終回です。前回(「ももクロ・佐々木彩夏の漆塗りにプロ驚く[動画あり]」)、漆塗りに挑戦した佐々木さんが、その体験も踏まえて、同世代の漆器職人、嶋田希望(のぞみ)さんとそれぞれの仕事や未来について話し合いました。

■「毎日の生活に日本の文化があるっていいですよね」

古くから漆器の里として知られ、日本の外食産業に用いられる漆器の約8割を生産する福井県鯖江市河和田(かわだ)地区。この地で江戸時代から続く漆琳堂(しつりんどう)で、嶋田さんと内田徹専務から漆器について教えてもらった、ももクロの「あーりん」こと、佐々木彩夏さん。初めての漆塗りを終えて、1階のギャラリーに戻ってきました。まずは佐々木さんに、漆器作りの現場に入ってみた感想から聞いてみます。

漆塗りを体験後に嶋田さんと漆器について話し合う佐々木さん

佐々木 うちでは普段の食事でも漆器を使っているんですが、でも、漆器がどこで、どうやって作られているか、全然知らなかった。今回、それがわかって、漆器がもっと身近になったような気がします。日本の大切な文化だから、私たちの世代が受け継いでいかないといけないとも思うし、そんな若い職人さんが作った漆器を同世代の私たちがもっと使っていかないといけないとも感じました。

嶋田 越前で作っている漆器は、芸術作品ではなく日用品です。ぜひ毎日の生活で使ってほしいですね。

佐々木 毎日の生活に、日本の文化があるっていいですよね。知ってます? 実はももクロもデビュー当時は「和をモチーフとしたアイドル」だったんですよ(笑)。衣装にも着物を取り入れていたし、いまだに要所要所で日本的なところもあるんです。夏のライブは日本を意識した演出をしているのですが(毎年夏に行われるライブ「桃神祭=とうじんさい」は「日本の夏祭り」をモチーフにした演出で行われる)、それを体験するたびに日本っていいなと思います。だから伝統的な仕事をしている人たちのこと、すごく尊敬しているんです。私たちがアイドルって新しい仕事をしているからかもしれない。

ももクロが毎年夏に行うライブ「桃神祭」は日本の夏祭りをイメージしている。昨年、静岡・エコパスタジアムで2日にわたり開かれたライブには8万2000人が集まった。2016年は8月13日、14日、横浜市の日産スタジアムで開催される(写真:HAJIME KAMIIISAKA+Z)

■若者と漆器、ももクロと先輩アーティスト。その共通点とは?

嶋田 私たちと同世代の人たちに、漆器に関心を持ってもらうにはどうすればいいと思いますか。

佐々木 やっぱり使ってもらうことが大切だと思うんです。私たちは漆器にどんな種類があるかはわからないけれど、かわいらしい器があればそれに目が行っちゃうと思う。そういう私たちの世代が興味を持つ、手に取りたくなるような漆器が増えたらうれしいですね。嶋田さんもセレクトショップでかわいい漆器を見て、この漆琳堂に就職したんですよね(第1回「ももクロVS伝統工芸 佐々木彩夏、漆器作りに挑戦」参照)。

嶋田 そうです。

佐々木 ももクロは大先輩の方々と共演させていただくことが多いんです。私たちにとってすごく勉強になるんですが、せっかく共演させていただいたんだから、ももクロのライブで見たことがきっかけで、そのアーティストさんのファンになる人がいるといいなとも思う。それと同じじゃないかな。若い人向けのお店で見つけたかわいい器がきっかけで、漆器と若者が近づくのって。さらに、そのかわいい漆器を、同世代の女の子が作っていると知ったら、「え、マジで?」って絶対になると思います。

嶋田 私もそれが漆器に対する自分の役割だと思っています。

佐々木 ぜひ「漆女子(うるしじょし)」を盛り上げていってください。どうです、漆女子(自慢げな表情で周囲を見渡す)。めっちゃ肌がツヤツヤな感じがしない?

「かわいい漆器を、同世代の女の子が作っていると知ったら、え、マジで?って絶対になる」と佐々木さん

■「ソロコンサートは一番の目標じゃない」

佐々木 嶋田さんが仕事をしていて、今、達成したいことって何ですか。

嶋田 1つの仕事を任せてもらえるようになりたいです。漆琳堂の漆器の中には、外部のデザイナーにお願いして新しいものを作る場合もあるんですが、企画からそういう外部への依頼なども含めて自分でできるようになったら、最初のハードルはクリアかな。

「自分が企画した製品を実現するのが最初のハードル」と嶋田さん

佐々木 じゃあ、嶋田さんがデザインするシリーズができるかもしれないんだ。

内田 実は彼女から、漆でオリジナルのアクセサリーを作るという企画が出ているんですよ。

佐々木 それ、いいじゃないですか。

嶋田 では、最初のアクセサリーはピンクで作ります(笑)。

佐々木 わあ、楽しみに待ってます。実は私も企画書を書いたんですよ。9月に初めてソロコンサートを開くんです(2016年9月19日に横浜アリーナで開催予定)が、ももクロのライブで勉強したことを基に、企画書を書きました。

嶋田 すごいですね。

佐々木 ただ私の場合、ソロコンサートが一番の目標というわけではないんです。すべてはももクロにつながることだと思っています。メンバーのれにちゃん(グループ最年長の高城れにさん)は今まで2回、ソロコンサートを開いているんですが、ソロコンが終わると満足そうな顔をしてグループに帰ってくる。それを見るのがメンバーとしてとてもうれしいんです。同じように、私のソロコンサートが、ももクロ全体のステップアップにつながればいいなって。

9月に初めてのソロコンサートを開く佐々木さんだが、「ソロコンサートが一番の目標ではない」という

嶋田 じゃあ、佐々木さんがももクロとして達成したい目標は?

佐々木 代々木公園の路上でデビューして国立競技場ライブを実現するまでは、少しでも大きな会場でやりたいと思っていたんですが、今はいろいろな場所へ行って、いろいろな人たちと一緒にたくさんライブをしたい。2015年はライブハウスツアー、今年(2016年)は2月から4月までドームツアーもやらせてもらいましたが、気づくとまだホールツアーもアリーナツアーもやっていない。だから、これからはいろいろなところへ行って、いろいろな人たちと一緒に、まだやっていないことに挑戦したいと思います。

嶋田 また鯖江でお会いできるのを楽しみにしています。

佐々木 お互いがんばりましょう。

最後に漆琳堂前でZポーズ

■完成した漆器にメンバーも驚く「すごい上手」「次は黄色い漆で」

鯖江での越前漆器体験から約1カ月、完成したピンクの漆器が届きました。さっそく佐々木さん、そして同席していたももクロメンバーの高城れにさん、玉井詩織さんにも見てもらいました。

ついに完成したピンクの漆器(写真:飯本貴子)

玉井 (漆器を見て)これ、あーちゃん(佐々木さんのこと)が塗ったの? めっちゃきれいじゃん。

高城 本当にすごい上手。

佐々木 でも、塗ってすぐの時はもっとピンクだった。乾くと落ち着いた感じになるんですね。

この場所の照明の関係もあると思いますが、嶋田さん、内田さんによると、長く使っていくうちに、もっと明るいピンクに変わっていくそうです。

佐々木 そういえば嶋田さんが「使っていくうちに、色や艶が目に見えて変わってくる」って言ってましたね(第1回参照)。楽しみです。あ、内側にむらが残っているなあ。

高城さん(左)、玉井さん(右)と完成した漆器にを見る佐々木さん。塗りむらを見つけ少し不満そう(写真:笹森健一)

そこは佐々木さんの「作品性」を重視して、NIKKEI STYLE編集部から「直さないでください」とお願いしました。

佐々木 作品性って、越前漆器は芸術品じゃなくて日用品だって、嶋田さんも言ってたじゃないですか(笑)。あー、底にもしっかり塗られていないところがある。

その部分は作業中に佐々木さんの指が触れてしまったところだそうです。微妙な油分でも付着すると漆をはじいてしまうんだとか。

佐々木 そうか。ちょっとでも触わると漆がしっかりと塗られないんですね。本当に大変な仕事だなあ。

内側を塗るときにむらができてしまっている(上) 高台にも塗られていない部分が残っていた(下)(写真:飯本貴子)

高城 でもきれいにできているよ。

玉井 私もやってみたかった。今度はぜひ黄色の漆で(笑)。

佐々木 いろいろな色で作れるそうだから、メンバーカラーでそろえてもいいかも。

(写真:笹森健一)

■最新ファッションのように若い世代が伝統文化を広められれば

最後に、今回、漆器作りを勉強して、印象に残ったことを聞かせてください。

佐々木 やっぱり人の手で作られたものは温かさが伝わるなと感じました。機械で作った1ミリのずれもない製品もすごくきれいで格好いいけど、人が作ったものは人の気持ちとか温かさが伝わってくる気がします。作っている現場を見て、自分でも体験させてもらって、改めてそう思いました。あと、記事を読んだママに「うらやましい」って言われた(笑)。

伝統的な仕事でがんばっている同世代と話して感じたことは?

佐々木 伝統工芸というと遠いところにあるように思うけれど、嶋田さんのような普通の女の子が作っているとわかると、すごく親近感がわくんだなって思いました。だから、若い女性が作っていることが、もっと広く知られたらいいな。今は10代の子がフェスを開催したり、いろいろなイベントを手がけたりと、若者の勢いがあると思うんです。みんなSNSも活発に利用しているから、影響力もある。新しい文化、例えば原宿のおしゃれみたいな情報が若い世代の間に広がっていくように、漆器も同世代の子が作っているって情報が伝われば、みんなもっと興味を持つはず。そうやって、日本の古き良き文化が私たちの回りにもっと浸透していって、私たちの世代が手に取りやすい場所に、同世代が作った漆器があるようになったらいいなって思います。

初めての漆塗りで、専門家も驚く才能を見せた佐々木彩夏さん
完成した漆器が届いたのは佐々木さんの二十歳の誕生日でした(写真:笹森健一)

◇  ◇  ◇

4回に渡って連載してきた「ももいろトラディショナル」第1シリーズ「ももクロ佐々木彩夏VS越前漆器」は今回で終了します。第2シリーズは今夏にスタート予定です。どうぞお楽しみに。

【ももトラ第2シーズン「玉井詩織VS万祝」(千葉県)はコチラから】

ももいろクローバーZ
百田夏菜子(ももた・かなこ)、玉井詩織(たまい・しおり)、高城れに(たかぎ・れに)、有安杏果(ありやす・ももか)、佐々木彩夏(ささき・あやか)で構成されるアイドルグループ。2008年5月に結成(当時のグループ名は「ももいろクローバー」)。観客数十人の路上ライブからスタートし、ワゴン車で全国のヤマダ電機を回るツアーなどを経て、10年5月『行くぜっ!怪盗少女』でメジャーデビュー。11年4月、メンバー1人の脱退により「ももいろクローバーZ」に改名。12年末、NHK紅白歌合戦初出場、14年3月には国立競技場での2日間のライブを成功させる。16年2月から4月にかけては名古屋、札幌、大阪、福岡、埼玉での五大ドームツアーを実現。大会場でのコンサートと並行して、小さな会場でのライブやユニークなイベントなども積極的に企画、ファンを驚かせ、楽しませている。松崎しげる45周年イベント『黒フェス』や加山雄三55周年イベント『ゴー!ゴー!若大将FESTIVAL』に参加、米ロックバンド「キッス」のコンサートへの出演(参考記事「ケレンと王道、互いの本質照らし合う 『KISS JAPAN TOUR 2015』 ももクロ特別出演」)など、ベテランアーティストとの共演も多数。2016年8月13日、14日には、横浜市の日産スタジアムで夏恒例のライブ『ももいろクローバーZ 桃神祭 2016 ~鬼ヶ島~』を開催する。
佐々木彩夏
1996年6月11日生まれ。神奈川県出身。2007年、小学生のときにスカウトされ、ももクロの所属事務所であるスターダストプロモーション入り。08年11月、「ももいろクローバー」(当時)に参加。キャッチフレーズは「ももクロのアイドル」。イメージカラーはピンク。愛称は「あーりん」。

(写真 山岸政仁、ヘアメイク 飛田卓司、文 大谷真幸=NIKKEI STYLE編集部)

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