7年で資産は115倍 「ストップ高」の伸びしろ読む大化け株で稼ぐ投資家のワザ(中)

日経マネー

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投資家なら、株価が10倍になる「テンバガー」銘柄を一度は手にしてみたいと思ったことがあるだろう。とはいえ、爆騰銘柄は同時に急落のリスクも潜み、誰もがかなえられる夢ではない。そんな中、急成長しそうな銘柄を独自の手法で見抜き、「大化け株」で資産を数十倍以上に膨らませた投資家もいる。彼らの投資法を3回に分けて紹介しよう。2回目は、ストップ高銘柄の値上がりを狙って資産を増やした投資家の手法を見ていく。

「これが人生最後のチャンスと思ってね」

男性は当時の思いを反すうするようにゆっくりとそう口にした。3000万円の退職金の3分の2に当たる2000万円を元手にREIT(不動産投資信託)や個別株への投資を始め、7年余りで115倍の23億円まで増やした。ハンドルネームの「今亀庵」の名は、個人投資家の間では既に伝説的な存在として知れ渡る。だが、本人にはおごりも高ぶりもなく、淡々と投資手法を語る。

勤務先を退職したのは、2008年の夏。リーマン・ショックが起きる直前だった。「100年に1度の大不況と言われたが、景気は好況と不況を繰り返す。これ以上は悪くならないだろう」。こう考え、「人生最後のチャンス」とみて、09年初めから本格的に投資を始めた。購入するのは、ジャスダックに上場する新興企業株など、小型の成長株だ。「小型株にこだわっているわけではないが、10~30%の成長が見込めるのは、どうしても新興企業の株が中心になる」。

前期の業績と今期、来期の業績予想から3年から5年の平均成長率を独自に算出する。これが10%なら、足元の予想PER(株価収益率)が10倍以下を「割安」と判定する。成長率が20%であれば、予想PERが20倍以下が割安の基準になる。予想PERは毎日変動するので、投資対象のリストも毎日入れ替える。

保有期間は決めていない。株価が上昇しても、予想PERが割高にならなければ持ち続ける。現在保有しているのは約100銘柄。株主優待狙いのものなども含まれているので、値上がりを期待しているのは、70銘柄ほどだ。

ただし、「ここまでは他のバリュー投資家やグロース(成長株)投資家がやっていることと変わらない」。今亀庵さんが元手を115倍に増やせたのは、実は「特技」によるところが大きいと話す。

特技とは、ストップ高になった銘柄をさらなる値上がりを期待して購入することだ。ストップ高ならどの株でも買うわけではない。急騰をもたらした材料の中身を吟味して、購入するかどうかを決める。どこまで値上がりを期待するかも材料次第だ。材料が大きければ5倍、そこまででなければ3倍を狙う。

5回に1回当たればいい

「もちろん、当てが外れて下がってしまうことはあるが、急落しても値幅制限以内に収まるから、大きな損失にはならない。5回に1回でも当たれば大きいので、打率は2割と割り切っている」

こうした投資で3~5倍に値上がりしたところで売却し、大きな利益をもたらしたのが、冒頭の5つの銘柄だ。不動産会社のアスコット(JQ・3264)の場合、親会社の澤田ホールディングスが保有株の一部を中国系ファンドに売却したとの発表でストップ高になった。

中国の資本が入れば、中国人による購入が拡大すると期待できる。まだ値上がりすると判断。5倍になったところで売り抜けた。16年は年初から3億円の利益を上げたが、大半がアスコット、インフォテリア、さくらインターネットの売買によるものという。

(日経マネー 中野目純一)

[日経マネー2016年8月号の記事を再構成]

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