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上司の言い分vs部下の言い分

飲みニケーションは必要なのか? 粋な上司になる秘訣

2016/9/18

 「飲みニケーション」という言葉は、すっかり過去のものになりました。お酒を出す飲食業の皆さんからも「上司・部下のペア客はめっきり減った」という話をよく聞きます。

 50代の管理職に尋ねると、部下と飲みに行くことを望んでいる人は結構います。

 一方、部下の側はというと「上司と飲みに行くのは、気が進まない」と話す人が多い状況で、このあたりに、飲みニケーションが少なくなった原因がありそうです。

 ただ、部下がみんな、避ける傾向かというと、そうでもなく、今年私が研修で出会った新入社員さんの中には、上司や職場の先輩と飲みに行きたいという人も少なからずいました。今回は、上司・部下間の微妙な問題、飲みニケーションを再考します。

上司の言い分

 飲みニケーション文化はなくなったのではないでしょうか。私達の頃は、上司と1対1で飲みに行き、職場では聞けない話や経験談を聞いたり、思い切って意見をしてみたりしたものです。いま振り返ると、それは仕事のプラスになったと思います。

 でも、いまは、あまり部下を飲みに誘っていません。誘っても断られることが多くなりましたので。若い人たちは、上司と飲みに行くのを嫌がるらしいですね。年長者と話すこと自体が苦手なのでしょう。プラスになることも多いと思うんですがね。

 誘わなくなった理由は、ほかにもあります。残業抑制で、部下は早く帰らせ、自分は残る日が多く、帰社時間があわないのです。それに、割り勘というわけにもいきません。金銭的な負担も大きいんですよ。

 1対1で飲むことは少なくなりましたが、定期的に職場の飲み会はやっていますよ。歓送迎会とか、暑気払いとか、忘年会などです。

 そういう会に参加しない部下もいます。仕事ではありませんので、無理に参加させるつもりはないですが、すっきりしません。参加する部下の中には、つまらなそうにしている者もいます。コミュニケーションが下手なんでしょう。そういうことは、仕事にも影響します。

 いまのように、飲みニケーションもできない状況で、マネジメントをうまくやるのは大変ですよ。

【部下に求めること】

*飲みに誘ったら、たまには応じてほしい

*年長者と話す機会を作った方がよい

*飲み会に参加したら周囲とコミュニケーションをとってほしい

部下の言い分

 上司と1対1で飲むのは、あまり気が進みません。職場でずっと一緒にいるのに、アフターファイブまで話をするのは気が重いです。新人の頃は、よく上司と飲みに行きました。職場に早くとけ込みたかったですし、仕事のことや、職場のことで日中は聞きにくいようなこともたくさんありましたから。

 でも、何軒も連れまわされ、長時間拘束されるのは嫌でしたね。それに、話が自慢話と説教になっていくのはつらかったです。それが続くので、あまり行きたくなくなりました。

 職場の飲み会も、気が進みません。やはり、気を使いますし、話題に困りますから。飲むのだったら、気の合う仲間と気楽に飲みたいです。

 飲みニケーションなんて言葉を使う時点で、マネジメントがあまり上手ではない気がします。マネジメントがきちんとできる上司は、就業時間内にきちんとコミュニケーションができるのではないでしょうか。

【上司に求めること】

*飲みに行った際、長時間拘束するのはやめてほしい

*自慢話と説教はやめてほしい

*就業時間内のコミュニケーションを重視してほしい

 アフターファイブに飲むことについて、上司と部下の間には、ミゾがあるようです。ただ、このミゾは、仕事と直接関係するものではなく、放っておいても構わないような気もします。それも含めて考えてみましょう。

<上司への提案>

 部下を飲みに誘うのは悪いことではないと思います。ホンネを聞けることがありますし、部下と気心が知れた状態になっていれば、職場運営はやりやすくなりますから。

 ただ、全体のバランスを考える必要はあります。特定の部下とだけ頻繁に飲みに行き、その部下とだけ関係を濃くするのはバランスがよくありません。特定の部下にだけインフォーマルな情報を与えたり、わずかであってもひいきめに見てしまうようなら、やらない方がよいでしょう。

 部下の中には、お酒が苦手という人もいますし、家庭の事情で早く帰る必要のある人もいます。

 部下とコミュニケーションをとることは大切なことですが、その方法として飲みニケーションだけに頼るのは考えものだということです。

 このあたりをスマートにやっている上司もいます。部下の立場の人に聞いた話をご紹介しましょう。その人の上司は「半年に1回ぐらいは、個別にコミュニケーションの時間を設けよう。仕事が終わってから行くのと、少し長めのランチにするのとどちらがいい?」と聞いてきたそうです。部下全員に同じスタンスでアプローチし、時間はランチの場合もアフターファイブの場合も90分。それを越えることはなく、上司は話し3割、聞き7割ぐらいのバランスでやっているとのことでした。確かにスマートなやり方です。

 職場の飲み会もスマートにやりたいものです。職場に、親睦の機会があってもよいと思います。なにもやらないと「ウチは飲み会もやらない冷たい職場だ」と寂しがる部下もいます。ただ、部下の皆さんは「長時間は嫌だ」と口を揃えて言います。

 部下の皆さんから支持されるのは、1次会は短めで90分ぐらい。上司は、1次会が終わる頃、幹事さんに「俺は用があるので二次会は出ない。これ少ないけれど二次会のたしにしてよ」とお金を渡し、サッと帰っていくようなのが粋だそうです。

 確かにそうでしょう。嫌がる部下を何軒も連れまわし、自慢話と説教になってしまう上司と比べれば、はるかに粋です。

 少しさみしいかもしれませんが、粋な上司と言われたほうがよいのではないでしょうか。

*個別に部下を飲みに誘う前に全体を考える

*昼、夜など選択肢を提示する

*短時間、聞き重視にする

<部下への提案>

 最近の上司は、「お誘い」を遠慮する傾向があるようです。上司と飲みに行くのが苦手な人にとっては、歓迎できる状況でしょう。ただ、上司とコミュニケーションをとることは、自分の仕事環境をよくする手段でもあります。外出が多い人は、たまには上司に同行を依頼し、コミュニケーションの時間を作るとよいでしょう。外出が少ない人は、「今日の昼食はどこに食べに行くのですか」というように、さりげなく水を向けてはどうでしょう。

 「飲みに誘われれば行くが、長時間、自慢話や説教は勘弁してほしい」という人もいるでしょう。確かにそれは嫌なもの。対策を考えましょう。

 時間に関しては、あらかじめ電車の乗り継ぎのことなど匂わせておき、帰りたくなったらそれを理由に切り上げる提案をする手があります。自慢話や説教は、たいてい時間が長くなると出るもの。早めに退散すれば、防ぐことができます。

 ただ、お説教されたとき、叱られ上手になる練習をしてみるという手もあります(叱られ上手については、「第17回 部下に『叱り』は必要なのか?」を参考にしてください)。

 また、自慢話にうまくあいづちを打ち、上司を気分よくさせてみるということを、ゲーム感覚でやるのもよいでしょう。嫌々聞いているより、有益な時間になります。

 バーのマスター達から「最近は年代の違う人と会話を成立させられる若い人が減ってきている」という話をよく聞きます。上司を相手に話し、雑談などのコミュニケーションスキルを磨いてはどうでしょう(雑談については、「職場に雑談は必要なのか?」を参考にしてください)。

*上司とコミュニケーションをとることは自分の仕事環境作り

*長時間が嫌ならば、予告しておく

*説教や自慢話もトレーニングと考える

 飲む、飲まないにこだわらず、コミュニケーションをとる時間を、上司・部下ともに、大切にしましょう。

[2013年掲載の日経Bizアカデミーの記事を再構成]

 「上司の言い分vs部下の言い分」は日曜更新。次回は9月25日の予定です。
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濱田秀彦(はまだ・ひでひこ)
株式会社ヒューマンテック代表取締役、マネジメントコンサルタント
1960年東京生まれ。早稲田大学卒業後、住宅リフォーム会社に就職し、最年少支店長を経て、大手人材開発会社に転職。トップセールスマンとなり、営業マネージャー、経営企画室マネージャー、システムソリューション部門責任者を歴任後、独立。現在は、コンサルタントとして、公開セミナー、個別企業の研修に出講しており、これまで指導したビジネスパーソンは1万7000人を超える。

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