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マセラティもSUV参入 早くもヒットの兆し

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日経トレンディネット

マセラティ ジャパンは、2016年5月10日、ラグジュアリーSUV「レヴァンテ」を日本で発売した。グレード展開はスタンダードな「レヴァンテ」、ハイパワーと装備でアップグレードされる「レヴァンテ S」、そして、クリーンディーゼルエンジンを搭載する「レヴァンテ ディーゼル」の3タイプ。レヴァンテ、レヴァンテ Sはそれぞれ税込み1080万円、1279万円で、9月ごろから納車され始める見込みだが、レヴァンテ ディーゼルは2017年春の導入を予定しており、現時点で価格は未定だという。

イタリアン高級スポーツカーメーカーであるマセラティにとって、レヴァンテは初めてのSUVだ。2016年3月に開催された「ジュネーブモーターショー」でワールドプレミア(世界初公開)し、同春にヨーロッパ市場に投入したのを皮切りに、世界各地で順次販売を開始している。

SUVといえども他モデルとの強いデザイン共通性が感じられ、ひと目でマセラティと分かるスポーティーなデザインに仕上げられている。それは、マセラティのコンセプトモデル「アルフィエーリ」からインスピレーションを得ているというグリル、ネコ科の動物の目のようなヘッドライト、特徴的なサエッタロゴを配したリアピラー、トライデントのデザインをすっきり組み込んだアロイ・ホイールなど、どれもマセラティらしさがあふれているのだ。

またプラットフォームはミディアムセダン「ギブリ」をベースに開発しており、ボディーサイズはギブリ同等の全長5003×全幅1968×全高1679mmで、ライバルとなるBMW「X5」よりひと回り大きい。

乗り心地最優先のSUV

パワートレインは、全車3.0LのV6DOHCターボエンジンにZF製8速ATの組み合わせ。レヴァンテのガソリンエンジンは最高出力350ps、レヴァンテ Sは430ps、そしてレヴァンテ ディーゼルは最高出力275psのクリーンディーゼルエンジンを搭載している。またインテリジェント4WDシステム「Q4」を全車に標準装備し、マセラティらしいスポーツ性を重視しながら、オンロードとオフロードどちらも気持ちよく走れる高い性能を持つ。

足まわりには新開発のアクティブエアサスペンションを搭載。5+1段階に車高調整が可能なうえ、減衰力を調整できるショックアブソーバーを組み合わせている。これは、様々な路面での乗り心地を最優先に考えつつも、スポーティーに走れることを目指したものだ。

ロングホイールベースで広々とした室内と荷室

3004mmというロングホイールベースによりキャビンは広々しており、標準で580Lのラゲッジスペースを確保する。インテリアは、イタリアのクラフトマンシップを生かしたウッドパネルや高品質レザーがふんだんに使用されており、イタリアンラグジュアリーらしいぜいたくな空間となっている。さらにオーナーが望めばインテリアをカスタマイズもでき、専用のスポーツシートやステアリング、カーボン素材を取り入れた「スポーツ・パック」と、ファッション・ブランドであるエルメネジルド・ゼニアによる特注シルクと最高級イタリア・レザーを組み合わせた「ゼニア・エディション・インテリア」なども選択可能な「ラグジュアリー・パック」が用意されている。

ダッシュボード中央には、8.4インチのモニターを備えるマセラティ独自のインフォテインメントシステム「マセラティ タッチ コントロール プラス」を標準搭載。日本市場に導入されるイタリア車として初の「Android Auto」と「Apple CarPlay」の両方に対応している。ただし現時点では、日本ではGoogleの「Android Auto」サービスは始まっていない。

米国、中国ですでに好評

マセラティはこれまでセダンとクーペ、カブリオレを出してきたが、レヴァンテを皮切りにラグジュアリーSUVマーケットにも参入していくという。すでに世界的にもレヴァンテに対する期待は高く、特にマセラティの販売台数が抜きん出ている米国と中国というビッグマーケットで好反応を得ているのは大きい。

ラグジュアリカーの中心は今でも大型セダンだが、世界的なSUV人気を受けて、ラグジュアリーブランドがSUVカテゴリーにこぞって参入している。今後は超高級SUVのニーズも拡大すると見込まれ、全世界でレヴァンテの販売が本格化する2017年は、同社全体の販売数にレヴァンテが大きく貢献すると期待を寄せている。

マセラティの販売台数を飛躍的に押し上げるきっかけとなった新型セダン、ギブリに続くヒット作になることは間違いなさそうだ。

(文・写真 大音安弘)

[日経トレンディネット 2016年6月1日付の記事を再構成]

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