オリパラで広がる「藍」の世界 エンブレムが後押しハーブティー、スイーツ、アクセサリーなど続々

藍と8種類のハーブがブレンドされた「青のハーブティー」(東京都渋谷区のIvorish渋谷)
藍と8種類のハーブがブレンドされた「青のハーブティー」(東京都渋谷区のIvorish渋谷)

2020年東京五輪・パラリンピックのエンブレムが決まり、組市松紋の鮮やかな藍色を目にする機会が増えている。「藍」と聞くと藍染めの浴衣や手拭いなど布製品をイメージするが、今、様々な場面で藍の存在感が高まっている。お茶やスイーツとして飲んだり食べたり、ジュエリーになったり。オリパラ東京大会を機に広がる藍の世界をのぞいてみた。

東京五輪・パラリンピックのエンブレム(Tokyo 2020提供)

「メニューを見て、藍が食べられると初めて知りました。さっぱりしていて甘い物に合う」。東京・渋谷のフレンチトーストが人気のカフェ「アイボリッシュ渋谷」。都内に住む主婦の武川美和さん(36)が飲んでいたお茶は、なんと青い色。藍とハーブをブレンドした「青のハーブティー」(税別500円)だ。

一見飲むのにちゅうちょするような色味だが「想定以上に売れている」。製造する純藍(東京・港)の椙田圭輔統括責任者は話す。

藍は奈良時代に中国から伝来されたとされる植物。染料のイメージが強いが、かつては食べたり、煎じて飲んだりしていた。「漢方薬としても使われていた」。こう話すのは調剤薬局を運営する徳島市のボン・アームの三谷芳広代表だ。北海道や沖縄などでも栽培されるが、特に収穫量が多いのが徳島。同社も約4年前から食用向けにハウスで藍の水耕栽培を始め、アメやビスコッティーなどに藍の葉を練り込む。

(左から)青森産の藍を使ったフィナンシェ、徳島産のアメとビスコッティー

「風邪気味のときになめると、喉に効いている気がする」。都内在住の石崎由子さん(48)は「ミント藍キャンディ」(1袋864円)を常備。仕事で徳島を訪れたとき「食べる藍」に出合った。「紺色なので、人にあげると驚かれるのもうれしい」

例えるのが難しいが、藍そのものの味は、抹茶のようなヨモギのような。のりのような海の香りも少し感じる。「最近研究が進み、病気の予防や美容効果があることも分かってきた」(三谷代表)といい、特に注目しているのが女性。“日本発スーパーフード”とも呼ばれ始める。

染料としての藍の世界も、布にとどまらず広がっている。「ディスプレーの中で目立っていて一目ぼれしました。人ともかぶらなそうだし」。会社員の渡辺由香さん(28)が購入したのは、藍染めされた真珠のネックレスとピアスだ。

ネックレス、指輪など藍染めした真珠のアクセサリー(東京都豊島区の「リラ バイ スピック&スパン」ルミネ池袋店)

昨年11月、セレクトショップの「スピック&スパン」が立ち上げたジュエリーブランド「リラ バイ スピック&スパン」のインディゴパールシリーズ(価格は1万~6万円前後)は、天然のパールを一つ一つ職人の手で藍染めした。

ピンクや黄みがかったパールは見かけるが、藍色はめずらしい。それもそのはずで、真珠を染める技術は特許出願中という。「白とは異なり、デニムやスエットなどカジュアルな服装にも合わせられる」とプランナーの千葉一花さんは話す。

革や木だって藍色に。プーマは3月から、本革などを藍染めしたスニーカー(3万2400円)を一部店舗で販売している。伊勢丹新宿本店(東京・新宿)のリビングフロアには、藍染めした木製のけん玉(5400円~)が並ぶ。「海外の友人などへの贈り物としての購入が多い」(山本明奈ショップリーダー)

「シンプルで肌に合っているみたいなので毎朝の洗顔に手放せない」。高松市の原田諭起子さん(49)が愛用するのが、藍のエキスを配合した藍染めせっけん(洗顔用の箱入りで1944円)。

もともと「肌の弱い家族のためにせっけんを作り始め、抗菌効果があるという藍にたどりついた」。製造する藍色工房(香川県三木町)の坂東未来代表は話す。「『染料で洗顔?』と当初は驚かれたが、徐々にリピーターがついてきた」

東武百貨店池袋店(東京・豊島)では22日まで「ジャパンブルー」と題して、藍に関連した商品を紹介するイベントを開催。藍色工房のせっけんなどが並ぶ。「『藍』の注目度が高まっているうえ、新しい(オリパラ東京大会の)エンブレムが藍色に決まり、『来た!』と思った」と担当の金井悦子主任。20年に向け、藍から目が離せない。

(井土聡子)

[日経MJ2016年6月17日付]