――71歳の永守さんから見て孫さんは一回りも年下で、いわば「弟分」だと思います。孫さんから得る刺激もありますか。

「上に立つ人間は、人を明るくしたり、楽しくしたりしなければいけないが、そういう経営者は少ない。みんな謙遜して、慎重に発言する、ごく普通の人が多いね。孫さんは、他人から何を言われても気にしない。何度も潰れかかり、墜落寸前になっても上昇する、サーカスの曲芸師みたいなことをしている。たまたまそういう仕事だからうまくいっているが、メーカーだったら潰れている。でも彼は本当に明るい。夢を追い続けている。夜中まで考えつくして、夢を追い続けて一生を生きようとしている。『楽をしよう』とも思っていない」

ソフトバンクグループ社長の孫正義氏

「やっぱり、孫さんはすごい。自分を中心に地球が回っている。今さっきもここへ来て、長時間、情熱的にバンバン話して帰って行った。彼と話していると、アドレナリンが出てくるんだよ。『昼ごはんはうどんにしよう』と思っていたのに、すしをとったり。(社外取締役を務めている)ソフトバンクの取締役会の日も『よし今日はステーキ食おう!』となる」

「投資家」孫さんには興味がない

「孫さんのような人は、失敗してもらったら困る。ああいう人がいなくなったらいけない。ただ過去にも夢を語り、潰れていった人たちが何人もいた。普通はビジネスなんてなかなか自分の思い通りにならない。株の含み益なんてものは、金融恐慌が起きたらパーになってしまう。保証はないのだから」

「彼は将来をよく見据えているし、天才的な投資家だ。ただ、100年後に残っているかといえば話は変わる。やっぱり行き過ぎてはいけない。片山(幹雄元シャープ会長。14年に最高技術責任者として日本電産に入社、現在は副会長)の会社も投資しすぎた。腹八分目というか、ちょっと休まなければね。私は人を切るのは絶対にいやなんですよ。リストラしたほうが、会社にとって早い。でも人材は大切だ。最後、一番強いのは人を切らないことだ」

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