最新レインコート、選ぶなら"パッカブル"なモデルを
ビジネスで使える雨対策ギア
梅雨真っただ中の今日このごろ、やはり気になるのが防水モノ。そこでビジネスで使える雨対策ギアを3回にわたって紹介する。前回(「梅雨のビジネスシューズは水陸両用を狙え!」)に続き、第2回となる今回のテーマはレインコート。オシャレに気を遣う30代のビジネスパーソンにもマッチする、"かっぱ"ではない防水アウターをピックアップした。
レインコートは傘の補助として使うのが正解
雨対策ギアの筆頭は傘であることは間違いない。ビジネスシーンであれば、むしろ傘以外の選択肢はない場合も多いだろう。しかし、傘を差したところで肩がぬれたりカバンがぬれたりすることは避けられない。そこで活用したいのがレインコートだ。
レインウェアは街使いよりも、デイハイクやクライミングなどアウトドアで用いられる場合が多い。しかし肌寒い時にさっと羽織ることができ、雨に濡れても平気な防水性を備えているので、最近はタウンユースでの需要が高まっているという。
そうはいっても、"レインコートで雨を防ごう!"という話ではない。子どもならまだしも、いい大人がレインコートをまとって、雨の中をずぶぬれになりながら歩くわけにはいかない。それが仕事中であればなおさらだ。レインコートはあくまでも補助的な役割として、傘と併用して使うのが正解なのだ。
レインコートを羽織って傘を差せば、肩や袖がぬれることもない。カバンに雨が当たらないように傘を持っても、上半身がぬれることはないのでストレスフリー。風が強い雨の日も快適に移動できる点も大きなメリットだ。「でもレインコートは室内で邪魔になるし……」という心配も無用。最新のレインコートははっ水性が非常に高く、コートをバサバサと数回振るだけで水滴が払える。あとは通常のアウターと同じようにハンガーにかけておけばOK。
そんな高機能なレインコートだが、最近は"パッカブル"仕様のものが注目を集めている。パッカブル(PACKABLE)=コンパクトにしまえる、つまり薄手であるため、蒸し暑い梅雨時期でも使いやすい。また小さくまとめられるので、カバンに入れて携帯しやすく、会社のデスクの引き出しにもしまっておける。基本的には傘で雨をしのぎ、どしゃ降りやどうしてもぬれたくないシーン、急に雨が降ったときにレインコートも用いるのが正しい使い方。それを可能にするのがパッカブルモデルというわけだ。
そこで今回は、ビジネスシーンはもちろん幅広いフィールドで活躍するパッカブルレインコートの注目作を紹介する。
形状記憶でビジネスに最適なレインコート
レインコートには見えない品のあるデザインが最大の魅力。実はビジネススタイルに違和感なくマッチするレインコートで、パッカブル仕様のものは数少ない。パッカブルで、しかもこのデザインというだけで十分"使える"アウターといえるのだ。
素材には、合繊産業が盛んな北陸・福井に本社を構える第一織物株式会社が開発した、超高密度ポリエステル生地「DICROS mauri」を使用。はっ水性・耐水性・防風性に優れ、化学繊維とは思えないほどソフトな手触りを持つ。さらに超高密度織物技術により、クシャクシャと丸めてもシワが戻る形状記憶機能も備えているので、携帯するのはもちろん旅行や出張など長時間の移動時にも重宝する。
また、脇の下には隠しファスナーポケットが付いていて、内布が通気性の良いメッシュ素材になっているため、内側の熱を外へ逃がすベンチレーションの役割も果たす。蒸れや暑さ対策も考えて作られている。
そして収納袋に入れるタイプではなく、本体のポケットにパッキングするタイプであることも特徴。コート本体を背裏に付いたファスナーポケットの中にコンパクトに収納することができ、カバンの中に入れておいても邪魔にならない。取り外し可能なフードが付き、外したフードを収納するための専用ポケットも本体内側に付いている。
薄軽なのに耐久性もはっ水性も高いおしゃれな1着
写真からも伝わってくる"薄軽"こそ、このレインコートの魅力だろう。コンパクトにまとめられるのでカバンに容易に収納できて、軽いためストレスを感じることもない。
都会を歩くイメージで作られているので、本格的な登山用アウトドアウエアのような防水性はないものの、フェニックスが誇るオリジナルの超耐久・はっ水素材「EPIC」を使用。素材表面だけにはっ水加工を施す従来のコーティングやラミネートとは異なり、繊維の一本一本をカプセル状にポリマー被覆加工を施すことで、通気性を保ちながら強力なはっ水性と、優れた洗濯耐久性を実現している。生地は20デニールのリップストップナイロンで、ストレッチ性があるため動きやすい
高機能なだけでなくシルエットも美しく、ファッション性が高いところもポイント。リフレクターをデザインとして取り入れるなど今までにないアーバン感のあるレインコートに仕上がっている。
ゴアテックス素材を使用した本格アウトドアモデル
防水性で選ぶなら、やはりアウトドアブランドのレインジャケットも見逃せない。過酷な環境下での着用を想定しているだけあって、機能性の高さは群を抜いている。
このザ・ノース・フェイスのアウターは、パッカブル仕様ながら防水透湿性に優れたゴアテックス素材を採用。新しい裏地構造の「ゴアテックス C-KNITバッカー」を採用しており、軽さと強度を併せ持つ。3層構造なのにしなやかで、肌当たりもやさしく着心地がいい。さらに13デニールという極薄のリップストップナイロンを使用することで、透湿性能が従来の裏地と比較して15%以上も向上しているという。
アウトドアフィールドにおいての動きやすさを徹底追求しながら、ミニマルなデザインに仕立てることで、ビジネスや旅行などタウンユースが可能に。シルエットもスリムなのでやぼったさは皆無。見た目が多少カジュアルになってもOKというビジネスパーソンは、機能重視でアウトドアモデルを選ぶのもいいだろう。
蒸れによる不快感を徹底排除したマリンウエア
ヴェイパー(蒸気)という商品名が示す通り、ウエア内の蒸れ対策に力を入れた高透湿モデル。高温多湿の日本の気候にマッチし、特に蒸し暑い梅雨時期に最適なレインジャケットといえるだろう。
さらにサイドポケットは内部にもファスナーが付いている二重構造になっており、それを開くとベンチレーションとして機能する。透湿性能だけでなく通気性にも配慮し、蒸れによる不快感を軽減。
もちろん防水性も高い。オリジナルの防水透湿素材「EXA-VENT」を使用し、どしゃ降りの中でも内部に水が染み込むことはない。また、表地にも優れた防水機能を備えた「ヘリーテック プロフェッショナル」を採用。20デニールのストレッチリップストップナイロンで、動きやすさと軽さ、そして耐久性を確保している。
さすがはヨット界でも絶大な支持を得るハリーハンセン。漁師が着るコートをルーツに持ち、140年に渡り受け継がれてきた防水へのこだわりが現代的にアップデートされたマリンウエアは水に強い。
パッカブル仕様だからこそ薄くて軽い
以上、注目のレインアウター4つを紹介した。タウンユースモデルとアウトドアモデルの違いはあるが、いずれも薄くて軽いところが最大の魅力。これはパッカブル仕様ならではの特徴といえる。また、デザインの方向性は異なるものの、最新のアウターはどれもスタイリッシュで、ビジネスユースに対応できることもおわかりいただけただろう。
傘の補助として上手に使いたいレインコート。パッカブルであればカバンや会社に備えておくこともできるので、思わぬどしゃ降りなど、緊急時にきっと役に立つはずだ。
(ライター 津田昌宏)
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