猛暑目前 電力会社を替えてエアコン代を割安に

日経マネー

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電力の小売りが2016年4月に自由化されて3カ月たった。エアコンの使用で電力消費量が増える夏の到来も間近。安価な料金を求めて、購入先の変更を検討するには良いタイミングかもしれない。賢く選ぶためのポイントや留意点を整理した。

16年4月に電力小売りが全面自由化されたものの、事前の想定ほどには切り替えが進んでいない。5月末時点で家庭や店舗が既存の電力会社から新規の事業者に契約先を切り替えた件数は、全国で約103万件余り。全契約件数の1.7%どまりとみられている。

「電力の自由化には分かりにくいところがある。にもかかわらず、新規事業者の情報提供が3月時点で不十分だったことが一因だ」。ファイナンシャルプランナーの山崎俊輔氏は低調の理由をこう話す。

例えば、価格比較サイトで検索して上位に出てくる会社の自社サイトを見てみると、サービスの契約条件に関する情報が掲載されていないといったケースがあったという。「これでは契約しようにも契約できないと思った」と山崎氏は続ける。

自由化がスタートした4月以降にはそうした不備が解消され、各社のサイトにおける情報提供も充実してきている。これから夏本番を迎え、エアコンの使用に伴って電気の消費量が増える。購入先の切り替えによって電力料金の抑制を検討するには、良いタイミングといえそうだ。

特典の適用期間に注意

では、どのように購入先を選んだらいいのか。まず2つのアプローチのどちらを取るかを考える必要があると山崎氏は語る。一つは、太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーを推進する観点から、再エネの比率が高い中で料金の低い事業者を選択するもの。もう一つは、純粋に最も料金の安い事業者を選ぶアプローチだ。

「価格は高くても、国産のものを選ぶのと同様に、環境に与える負荷の少ない再エネの比率が高い事業者をあえて選ぶというこだわりがあってもいい」(山崎氏)

どちらのアプローチを選択するにしても、できるだけ料金が低くお得な会社を選ぶ点は一緒だ。それには、各社が提供しているサービスの内容や価格を無料で比較できる価格検索サイトを利用するとよい。それも一つではなく、複数のサイトで比較した方がいい。検索の漏れをできるだけなくすためだ。

山崎さんによれば、カカクコムの「価格.com」、Yahoo!JAPANの電力自由化特集サイト、そして電気料金に特化した比較サイト「エネチェンジ」の3つが便利だという。

価格.comの電気料金プランシミュレーションでは、自宅の郵便番号、現在利用している電力会社と料金プラン、アンペア数、世帯人数、利用状況、月間使用量などを入力して、検索ボタンを押すと、節約額の多い順に小売事業者の料金プランが示される。

カカクコムの価格比較サイト「価格.com」のシミュレーション画面。月間使用量は推定値でも節約額を試算できる

東京都内に住む記者が自身の使用状況に応じて試してみると、最も上に表示されたのは、四国電力の「オリーブプラン(東京エリア)」。1年間の節約額は1万1181円だった。率にすると現在の使用量から年間約9.9%節約できることになる。

ただし、この節約額は、16年8月末までのキャンペーン期間中に価格.com経由で申し込んで1年間を超えて継続する人に返還される3000円が含まれている。1年以内に解約した場合には適用されず、2年目以降はこの3000円分の節約代はなくなる。

Yahoo! JAPANの電力自由化特集サイト。シミュレーションは価格.comのものを使用、コラムなどの情報が充実

セット割引にも考慮が必要

一方、エネチェンジでも同様のシミュレーションを試すと、一番上に表示されたプランは、東京ガスの「ずっとも電気1(東京ガストリプル割適用)」。年間の節約額は1万4434円だ。現在の年間電気代は12万291円と算出されたので、年約12%の節約になる。

ただし、こちらも条件が付いている。節約額の内訳を見ると、年間の電気代節約額は5472円。残りはガスとのセット割引が3240円、さらにインターネットプロバイダーとのセット割引が3888円だ。家でネットを使っていない記者の場合、後者のセット割引は適用されない。

電気料金比較に特化した専門サイト「エネチェンジ」。節約額の内訳などが見やすいレイアウトになっている

このプランでの実質の節約額は、電気代節約額5472円にガスセット割引の3240円、さらにTポイントや楽天スーパーポイントなど各種のポイントを交換できる1834円分のポイントをキャッシュバックと見なして合算すれば、1万546円になる。

このように期間限定の特典やセット割引の内容をきちんと見ないと、本当にどのサービスがお得なのかは分からない。この点にも注意が必要だと山崎氏は指摘する。

セット割引では、石油会社のJXエネルギーや昭和シェル石油などがガソリン代の割引、携帯電話会社が携帯電話料金の割引を採用している。これらも利用頻度をよく考えて、本当にお得かどうかを判断することが必要だ。ガソリン代の場合、毎日自動車を使う人なら節約額は大きくなる。一方、週末に少ししか乗らない人にとってはメリットは少ないだろう。

また1年ごとに契約を更新するプランなどでは、途中で解約する場合に違約金を支払わなければならないものもあるので、契約内容をしっかりと確認することも求められる。分譲マンションに住んでいる場合、マンションが有利なプランで一括契約を結んでいることもあるので、管理組合に確認することも必要だ。

16年7月からは関西電力が首都圏で電力の小売りを始めた。それを機に各社が一段とサービス強化に乗り出す可能性もある。もう少し様子を見てから検討するのも、一つの選択肢かもしれない。

●今回のまとめ
・電力の購入先の切り替えによる節約額は、比較サイトを使って調べる
・セット割引のお得度は、自身の利用の有無や頻度を考慮して検討する
・特典の条件やポイントの付与もしっかりと確認する

この人に聞きました

山崎俊輔さん
フィナンシャル・ウィズダム代表 ファイナンシャルプランナー

(日経マネー 中野目純一)

[日経マネー2016年8月号の記事を再構成]

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