4Kテレビで“魔法”のような臨場感 ホームシアター7選

大画面化、高画質化が進む薄型テレビ。低価格化も著しく、今やフルハイビジョン(フルHD)の4倍もの解像度を持つ「4Kテレビ」も、40型程度の安いモデルは実勢価格11万円台で購入できる。この夏に開かれる4年に一度のスポーツの祭典に合わせ、買い替えを考えている人もいるだろう。

画面は大きく、画質にすぐれ、しかも値段が安い。そんなイマドキの大画面テレビの弱点といえるのが「音質」だ。

ブラウン管テレビから薄型テレビに移り変わって、映像の解像度は大幅にアップした。メーカーがしのぎを削って開発を進めてきた映像処理技術の進化もあり、画質の向上は目を見張るものがある。

しかし、一方で「音」はなおざりにされてきた。ブラウン管テレビは本体の奥行きがかなりあったため、高級モデルであればあるほど内蔵スピーカーの音質を追求することもできた。しかし薄型テレビの場合、スピーカーを収納するスペースを確保することが難しく、どうしても音質は二の次になってしまう。

そこで大画面テレビを買った人にお薦めなのが「ホームシアタースピーカーシステム」だ。これは「2.1ch(チャンネル)」や「3.1ch」「5.1ch」「7.1ch」など、複数のスピーカーを組み合わせて構成するサウンドシステムのことを指す。

「ホームシアター」というと、液晶プロジェクターなどを用いて100インチクラスのスクリーンに映像を投映するものをイメージする人も多いかもしれない。しかし最近の「ホームシアター」の定義は、「大画面」と「高音質スピーカーシステム」を組み合わせたものを指す場合が多い。「大画面」には薄型テレビも含まれる。

テレビやプロジェクターの音質を強化する――それがイマドキのホームシアタースピーカーシステムなのだ。

ホームシアタースピーカーシステムを導入すれば、アクション映画や音楽ソフトといったコンテンツはもちろん、スポーツの臨場感もアップし、ドラマの会話なども聞き取りやすくなる。すでに持っている大型テレビをさらに楽しむためにも、ぜひこの夏のボーナスで、サウンドの“バージョンアップ”を実現してみてはいかがだろうか。

■ホームシアタースピーカーシステムの種類は2つ

現状のホームシアタースピーカーシステムは、大きく2つの種類に分けることができる。

一つは、「AVアンプ」(「AVセンター」などとも呼ばれる)とスピーカーシステムを組み合わせた本格的なもの。本格的といっても、AVアンプは安いものなら5万円を切るし、5.1chスピーカーシステム(5台のスピーカーと1台のサブウーファーがセットになったモデル)でも安いものなら3万円を切るものもある。

もう一つが、アンプとスピーカーシステムが一体になった「パッケージシステム」だ。パッケージシステムは、テレビの下に置く「ボードタイプ」、スピーカーをワンボディーにした「サウンドバータイプ」、スピーカーをテレビの左右や前面などに配置する「2.1ch/3.1chタイプ」、リアスピーカーまで配置する「リアル5.1chタイプ」、テレビラックと一体型になったタイプなど、いくつかのサブカテゴリーに分かれる。

2つのうち、AVアンプは低価格モデルから高級モデルまで幅広く、組み合わせるスピーカーも数多いため、何を選ぶかは詳しくない人にとっては難しい。配線や音のセッティングなども(自動音場設定機能などが付いているモデルも多いとはいえ)決して簡単ではない。

そこで今回は初心者にも設置やセッティングが簡単な「パッケージシステム」を紹介しよう。

手軽に音質を強化でき、スマホでも楽しめる「サウンドバー」

パッケージシステムの中で現在、最も人気なのが「サウンドバー」と呼ばれるワンボディータイプのスピーカーシステムだ。

ホームシアタースピーカーシステムの中でも手軽さで人気が高いサウンドバータイプ(写真は「Bose Solo 5 TV sound system」)

テレビの画面下に設置し、テレビ本体とケーブル1本で接続するだけでセッティングが完了するというもの。画面下に設置するサウンドバーに加えて、中低音域を強化するサブウーファーを備えるモデルも多い。

このサウンドバータイプは、AV機器の配線が苦手という人にオススメだ。設置や配線が簡単なので、誰でも迷わずセッティングできる。32インチクラスの中型モデルから、50インチ超の大型モデルまで幅広く使える。サブウーファーもセットになったモデルなら、より本格的なサウンドを楽しめる。

さらに注目したいのが、多くのモデルが「Bluetooth」機能を内蔵している点だ。スマートフォン(スマホ)などの音楽をワイヤレスで再生して楽しめる。自宅に帰ったらイヤホンからホームシアタースピーカーに切り替えてスピーカーで聴き、ひとしきり音楽を楽しんだらテレビを高音質で視聴するといった使い方ができる。

サウンドバーは1万円台から10万円近いモデルまで価格帯が幅広い。そこで予算を5万円で分けて、5万円未満で買えるモデルと、5万~10万円で買える機種をそれぞれ紹介する。

5万円未満のオススメホームシアタースピーカーシステム

ここで紹介するのは5万円未満で買える3モデル。どれもサブウーファーは付属しないが、その分、セッティングが簡単というメリットがある。

●ヤマハ「YAS-105」/2万円を切るお手ごろモデル(実勢価格1万9150円)

「YAS-105」:幅890×高さ53×奥行き131mm、4.0kg

ヤマハ「YAS-105」の魅力は、とにかくセッティングが簡単という点につきる。接続するテレビに光デジタル出力さえあれば、電源と音声ケーブルをつなぐだけで高音質なサウンドを楽しめる。価格も安いので、初めてホームシアタースピーカーシステムにチャレンジする人にオススメだ。

高さ53mmのスリムなボディーながら、ヤマハ独自のバーチャルサラウンド技術「AIR SURROUND XTREME」によって7.1chサラウンド音場を再現。HDMI入力端子は備えていないものの、光デジタル入力と同軸デジタル入力、3.5mmステレオミニ端子を各1系統ずつ搭載する。Bluetooth機能も内蔵しているので、スマホの音楽も手軽に楽しめる。実勢価格で2万円を切るので、お買い得度はかなり高い。

●ボーズ「Bose Solo 5 TV sound system」/手ごろな価格で“ボーズサウンド”(直販価格3万2400円)

「Bose Solo 5 TV sound system」:幅548×高さ70×奥行き86mm、1.7kg

ボーズの「Bose Solo 5 TV sound system」もヤマハの「YAS-105」と同様、接続が手軽な点が魅力として挙げられる。YAS-105と同様、初めてチャレンジするユーザーにオススメしたい。

スタイリッシュなデザインと音質の良さを志向するコンパクトなサウンドバーシステムで、光デジタル入力と同軸デジタル入力、3.5mmステレオミニ端子を各1系統搭載。Bluetoothを利用してワイヤレスでスマホなどの音楽を再生することも可能だ。

●ソニー「HT-CT380」/ワイヤレスのサブウーファーもセットで(実勢価格3万7070円)

「HT-CT380」:バースピーカー幅900×高さ51×奥行き117mm、約2.4kg/サブウーファー170×342×381mm、約6.6kg

ソニーの「HT-CT380」は、手ごろな価格でより本格的なサウンドを楽しみたいという人にオススメだ。前に紹介した2機種は、サブウーファーがないので、“重低音”の迫力には欠ける部分がある。その点、このモデルはサブウーファーによって重低音を楽しめるだけでなく、接続の簡単さまで備えているのがうれしい。

HT-CT380はサウンドバータイプのスピーカーとサブウーファーを組み合わせた2.1chタイプのモデル。サブウーファーは縦置き・横置きが可能で、本体とはワイヤレスで接続するため、部屋の角やテレビ台の裏などさまざまな場所に設置しやすい。サウンドバーは高さ51mmと、スタンドの低いテレビの前でも画面を隠さずに設置できるのが魅力。HDMI入力端子を3系統備えているので、BDレコーダーやゲーム機などを切り替えて使うことができる。もちろんBluetoothにも対応しているので、スマホの音楽もばっちり楽しめる。

5万~10万円のオススメホームシアタースピーカーシステム

次に紹介するのは5万から10万円で買えるサウンドバー。今回取り上げた2機種はサウンドバーとサブウーファーがセットになっているので、サウンドバー単体では再現が難しい重低音なども迫力のあるサウンドが楽しめる。

●ソニー「HT-RT5」/ワイヤレスで“リアル5.1ch”を楽しむ(実勢価格8万4270円)

「HT-RT5」:バースピーカー幅1080×高さ56×奥行き128mm、約3.8kg/サラウンドスピーカー97×252×97mm、約1.5kg/サブウーファー:191×383×386mm、約8.5kg

ソニー「HT-RT5」は、本格的な“リアルサラウンド”を手軽に味わいたいという人にオススメのモデル。前に紹介した3機種に比べてセッティングは少し難しいかもしれないが、できる限りセッティングしやすいように工夫されている。

HT-RT5はフロントスピーカーとセンタースピーカーを内蔵するサウンドバーに加えて、ワイヤレス接続のサブウーファー、壁掛け対応ワイヤレスリアスピーカーを組み合わせたリアル5.1chタイプのホームシアタースピーカーシステム。サブウーファーもリアスピーカーもワイヤレス接続のため、電源さえ取れれば面倒で邪魔な配線をしなくて済むのがうれしい。Bluetoothによるワイヤレス再生機能のほか、Android/iOS搭載のスマホやタブレット、パソコンやネットワーク接続HDDに保存した楽曲をネットワーク経由で再生する機能なども備えている。

●ヤマハ「デジタル・サウンド・プロジェクター YSP-2500」/包み込むようなサラウンド感(実勢価格9万7050円)

「デジタル・サウンド・プロジェクター YSP-2500」:センターユニット幅944×高さ51×奥行き144mm、4.0kg/サブウーファー147×444×353mm、7.9kg

ヤマハの「YSP-2500」は、サウンドバーとサブウーファーだけで、まるで“魔法”のようなサラウンド感を味わえるのが魅力。「サウンドバータイプはリアスピーカーを設置しないので、後ろに回り込むようなサラウンド感が得られないのが不満。だけどリアスピーカーを置くのはイヤ(もしくは無理)」という人にオススメしたい。

複数個配置した小型スピーカーから音をビームのように放出し、壁や天井などに反射させることで臨場感のあるサラウンド音響を実現する「デジタル・サウンド・プロジェクター」技術を搭載したモデル。16個のビームスピーカーを搭載し、周囲から回り込むような7.1chのサラウンドを実現する。

高さは51mmと低いため、テレビの前に置いても邪魔にならない。テレビの受光部が隠れる場合でも、テレビのリモコン信号を本機背面に受け渡す「テレビリモコンリピーター」を装備しているので安心して設置できる。入力端子はHDMI入力3系統のほか、光デジタル2系統、同軸デジタル1系統、アナログ1系統と充実。Bluetoothによるワイヤレス再生にも対応する。

パーソナルテレビなら「ボードタイプ」もオススメ

サウンドバータイプよりもコンパクトなのが、テレビを上に置いて使う「ボードタイプ」のスピーカーシステム。サウンドバータイプに比べサラウンド感には欠けるものの、寝室などに置く32インチ前後のパーソナルテレビのサウンドを強化するのにはもってこいだ。

テレビを大型モデルに買い替える人の中には、テレビ台を古いまま使うという人もいる。テレビスタンドがコンパクトならテレビを置くことはできるものの、そのままではスピーカーをテレビの前に設置するといったことは難しい。テレビ台が小さくてサウンドバータイプのスピーカーを置けないという人にもオススメしたい。

「ボードタイプ」のスピーカーシステムはテレビの下に置く(写真はソニー「HT-XT100」)

●ソニー「HT-XT100」/光デジタル入力搭載のエントリーモデル(実勢価格2万3630円)

「HT-XT100」:幅702×高さ79×奥行き311mm、約6.5kg

ソニーの「HT-XT100」は、テレビのサウンド強化だけでなく「スマホの音楽を楽しめるBluetoothスピーカーがほしい」という人にぜひオススメしたいモデルだ。

光デジタル入力1系統とアナログ入力1系統を備える、エントリータイプのスピーカーシステム。Bluetoothによるワイヤレス再生も可能で、NFC(近距離無線通信)に対応するスマホならペアリングもワンタッチで行える。NFCはおサイフケータイに用いられている技術なので、おサイフケータイ搭載のスマホなら、自宅に帰ってタッチするだけで、聴いていた音楽の続きをそのままスピーカーで聴ける。

ソニー独自のデジタルアンプ「S-Master」を搭載し、入力コンテンツに合わせておすすめのサウンドモードに自動的に切り替える「ClearAudio+」機能も備えている。

●ヤマハ「デジタル・サウンド・プロジェクター SRT-1500」/手軽にサラウンド感を楽しむ(実勢価格5万6980円)

「デジタル・サウンド・プロジェクター SRT-1500」:幅780×高さ77×奥行き370mm、9.3kg

ヤマハの「SRT-1500」は、手軽なボードタイプでも本格フロントサラウンドを味わいたいという人にオススメのモデル。前出のYSP-2500ほどではないが、手ごろな価格でヤマハ独自の「デジタル・サウンド・プロジェクター」技術のサラウンド感を味わえる。

ビームスピーカーを8個内蔵しており、テレビの下に置けるボードタイプながらサラウンド感のあるサウンドを実現している。HDMI入力1系統(4K映像伝送対応)に加えて、光デジタル入力1系統とアナログ入力1系統を備える、Bluetoothによるワイヤレス再生も可能だ。

◇  ◇  ◇

以上、オーディオに詳しくなくても手軽に楽しめるサウンドバーとボードタイプのパッケージシステムを紹介した。

購入するときは、難しいかもしれないが、できる限り試聴したい。そして試聴する場合は、映画コンテンツだけでなく、ニュースやドラマ、バラエティーなど通常のテレビ番組も併せて体験してみてほしい。本格的なホームシアタースピーカーシステムは、映画や音楽などのコンテンツのクリアな感じや重低音の迫力を存分に味わえるのが魅力。しかし一方で、ニュース番組などを見る際にはそのクリアな音が邪魔に感じられる場合もあるためだ。たまに見るブルーレイの映画は高音質で楽しめるのに、普段視聴する番組では耳障りに感じられてしまっては元も子もない。

ホームシアタースピーカーシステムには「映画」、「スポーツ」、「音楽」のようにいくつかのサウンドモードが用意されている。視聴するときは、こうしたサウンドモードも試してみるといいだろう。

(IT・家電ジャーナリスト 安蔵靖志)

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