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使わなきゃ損! 個人型DC iDeCo

節税しつつ老後に備える確定拠出年金 女性の注意点は

2016/7/6

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 老後なんてまだ先のことと思っている方、必見です。国の年金制度を補完して老後の暮らしを支える仕組みが充実してきています。その一つが確定拠出年金(DC)。必ず押さえておきたいポイントを中心に、最新情報も交えて紹介します。

■第1のポイント 会社員もそうでない人も使える

 確定拠出年金は企業年金の一種として15年ほど前に始まりました。勤務先が導入すれば従業員は原則、加入します。掛け金は勤務先が払ってくれ、退職後に企業年金として受け取ります。自営業者は自分が入りたければ加入することができ、自分で掛け金を払います。会社員が入る方を企業型、自営業者が入る方を個人型と呼びます。

 個人型には自営業者のほか、勤務先が確定拠出年金を導入していない会社員も入れますが、改正法案が先日(2016年5月24日)の国会で成立し、これまで入れなかった公務員や専業主婦なども、2017年1月から入れるようになります。また、企業型に入っている会社員も、企業によってはさらに個人型に入れる可能性もあります。

 つまり今回の改正でいわゆる企業年金から、多くの人が加入できる、国の年金を補完する制度の色合いが強くなったのです。加入すると、どんなメリットがあるのでしょうか?

■第2のポイント 税制優遇の仕組みがある

 年を取って国からもらう年金にも所得税がかかるのをご存じでしょうか。収入があれば当然、課税の対象となります。しかし、老後に受け取る年金については税金を優遇しましょうという仕組みがあり、他の収入とは別立てで税金を計算します。一定額以下であれば非課税。超えた場合も税金が少なくて済みます。国の年金に加えて、確定拠出年金もこの優遇の対象となります。一時金として受け取ることもでき、退職金と同様に税制優遇を受けられます。

 さらに個人型の場合は掛け金を自分で出すので、その分をその年の所得から控除できます。これにより現役時代の所得税・住民税も減らせるのです。

 このように税制優遇が受けられることから、掛け金に限度額が決められています。

 一方、確定拠出年金のもっとも大きな特徴は、将来受け取る年金額がわからないことです。これが3つ目のポイントです。

■第3のポイント 確定拠出年金は自分で運用する

 国の年金は、現役時代は給与天引きなどで保険料を支払うだけ。自分ですることといえば、働き方が変わったときに届けを出すくらいですね。老後に受け取るときも、年金額は国が定めた方法で計算します。

 ところが確定拠出年金では、掛け金をどうやって運用するか、金融商品の選択を自分で行います。どの金融商品を選んでどう運用するかで掛け金がどれくらい増えるかは違ってきます。つまり、将来受け取れる年金額は人により異なり、その時までわかりません。

 利用できる商品は、預金、保険、投資信託の3つのグループに分かれているのが一般的。元本割れは怖いと定期預金や保険にしている人が多いようですが、この機会に投資信託の仕組みを知って運用に挑戦してはいかがでしょうか。

■手数料に注意したい個人型

 今後は個人型に入れる対象者が広がりますから、現役時代は節税しながら老後の準備をし、老後も税制優遇を受けながら年金を受け取れる人が増えることになります。

 個人型を利用する場合に注意したいのが、管理手数料が自分持ちである点。企業型は通常、掛け金も管理手数料も企業で負担しますが、個人型は掛け金も管理手数料も自己負担です。運用収益を求めて投資信託を利用すると、掛け金の累計額=元本そのものが変動し、そこに節税効果(プラス)と管理手数料(マイナス)が加わり、トータルの収益を把握するのが、なかなか難しくなりますが、目安は次の通りです。

・所得税率が高い人ほど節税効果が高い。例えば所得税率10%なら住民税10%と合わせ、掛け金に対して20%程度の利回りに相当

・管理手数料は金融機関により異なるので、なるべく安いところを選ぶ。同じ管理手数料なら、毎月の掛け金額が多い方が負担率は下がる。

 掛け金の額と所得税率にもよりますが、節税効果は管理手数料を相殺してさらに上回るケースがほとんどで、そこに運用による元本の増減が加わるというイメージです。

■女性と確定拠出年金、ここに注意

 将来の受取額は確定しないものの、国の年金では足りない分を補ってくれるのが確定拠出年金。ただし、出産で一時的に仕事を辞めるなど、年金として受け取るまでの間に働き方が変わる可能性が高い女性には注意点もあります。

 例えば、企業型に入っていた人が仕事を辞めて専業主婦になった場合、個人型で続けることができるようになります。しかし、収入がなく所得税を払っていない専業主婦はそれほど節税メリットが得られません(運用中の運用益は非課税。また一時金として受け取る際は退職所得控除の対象)。

 個人型加入者で節税メリットがないということは、管理手数料を超える運用収益が得られないと元本割れするということです。選んだ商品が定期預金なら、現在は超低金利ですからほぼ確実に元本割れ。投資信託なら、相場が悪い時期に重なると、値下がりに加え、管理手数料も引かれるためかなり元本が減る可能性があります。いずれ仕事に復帰するつもりであれば一時的なこととして受け止められますが、掛け金が目減りしていくのはあまりうれしいことではありませんね。また個人型は、掛け金を自分で出すのに、受け取り時は所得の扱いになる(税制優遇はあり)ことも覚えておきましょう。

 いったん加入したら働き続ける、休んだとしてもなるべく早く復帰するのが、経済的にはおすすめです。老後の生活資金という位置づけのため、60歳まで原則引き出しできません。

 確定拠出年金は2001年に始まり、掛け金の限度額が引き上げられるなど、これまでも制度改正が行われてきました。老後に実際に受け取るまでには、今後も改正がありそうです。

 企業型の加入者はすでに約500万人、今後も増加が見込まれるため、確定拠出年金と無縁でいられる人は少なくなるでしょう。国の年金同様に長いお付き合いをする制度として、その仕組みを把握しておきたいものです。

(構成 日経BPコンサルティング 「金融コンテンツLab.」、ファイナンシャルプランナー 坂本綾子)

[参考] 日経BPコンサルティング「金融コンテンツLab.」(http://consult.nikkeibp.co.jp/sp/money/)は、難しくなりがちなお金の話題を、分かりやすいコンテンツに仕上げることをテーマとして取材・情報発信に当たっている制作研究機関。月刊誌『日経マネー』編集部の在籍経験の長いベテランスタッフが中心となり、マネー系コンテンツを提供している。

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