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八重洲で若手注目の書籍『みんなが知らない超優良企業』 八重洲ブックセンター本店

2016/6/17

ビジネス街の書店をめぐりながらその時々のその街の売れ筋本をウオッチしていくシリーズ。今回は3回目の八重洲ブックセンター本店だ。コアの客層は40代以上の男性ビジネスマンという同店だが、今回は30代以下に反応がある本が目に付いたという。

業界研究本とメンタリストに若い層が注目

そう言って2階フロア長の木内恒人さんが紹介してくれたのが田宮寛之『みんなが知らない超優良企業』(講談社+α新書)。著者は東洋経済新報社のメディア編集委員。豊富な企業取材経験があり、就職四季報の編集長なども務めた。そうした経験を元に独自の切り口で250の知られざる成長企業を紹介する。一種の業界研究本だが、副題で「新しいニッポンの業界地図」と銘打つように、「世界の人口爆発に勝つ企業」「世界が注目する高齢化対応企業」「お家芸の『おもてなし』で伸びる企業」と企業の分類基準が独特。それぞれの章末に企業一覧もついていて企業ガイドとして使いやすい。

「新書なので価格が手ごろということもあり、学生かどうかまで確認していないが、20~30代、ふだんの客層より若い人たちにたくさん買われている印象がある」と木内さんは話す。発売自体が5月下旬で、新卒採用の選考解禁日の6月1日にも重なる。多くの就活生が会社まわりのついでに買って、にわか仕込みの業界研究をしている姿が思い浮かぶ。

版元持ち込みのワゴンは効果的。びっしり積まれていた本もずいぶん少なくなった

もう1冊、木内さんが教えてくれたのがDaiGo『自分を操る超集中力』(かんき出版)。人の心を読み、操るメンタリストとしてテレビのバラエティー番組などで知られる著者が集中力を高める心理操作テクニックを伝授する本だ。版元が販促に力を入れている1冊で、同店にも版元自らがワゴンを持ち込んだ。DaiGoの本人写真を立てたそのワゴンを「2階のエスカレーター降り口付近に設置したところ、高い反応が出た」という。

「セブンの変」への関心続く

先週のベスト5を見ておこう。

(1)知っている人だけが儲かるコインランドリー投資のすすめ三原淳著(幻冬舎)
(2)マイナス金利にも負けない究極の分散投資術朝倉智也著(朝日新聞出版)
(3)捨てられる銀行橋本卓典著(講談社現代新書)
(4)みんなが知らない超優良企業田宮寛之著(講談社+α新書)
(5)世界経済大乱滝田洋一著(日経プレミアシリーズ)

(八重洲ブックセンター本店、2016年6月5日~6月11日)

冒頭に紹介した1冊が第4位に入っている。ベスト5にはないが、DaiGo本も6位に顔を出す。この2点をのぞいては3週前の売れ筋と傾向は変わりない。ランキング3位が3週前にも触れた橋本卓典『捨てられる銀行』。1、2位がともに著者関係のまとめ買いがあった本だから、事実上トップの売れ行きだ。

鈴木敏文氏関連の緊急出版は1階にも目立つように陳列されていた

もう一つの傾向、ニュース関連本が売れているのも同じ。本自体は新しい本に入れ替わっている。セブン&アイ・ホールディングスの鈴木敏文前会長(5月26日退任)の人事案強行の失敗と会長退任のニュースに関連して毎日新聞経済部編『カリスマ鈴木敏文、突然の落日』(毎日新聞出版)と日本経済新聞社編『さらばカリスマ』(日本経済新聞出版社)が5月末から6月初めに相次いで緊急出版された。ベスト5には入っていないが、いずれもベスト10以内に食い込んだ。

5位は4月の刊行だが、安倍晋三首相が5月末に開かれた伊勢志摩サミットで、世界経済がリーマン・ショック級の危機に至る可能性があると指摘したニュースに関連し、「世界経済の現状はどうなのか、関心が高まったことを受けて再び売り上げが伸びた」と木内さんは説明する。

(水柿武志)

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