MONO TRENDY

ももいろトラディショナル

ももクロ・佐々木彩夏の漆塗りにプロ驚く(動画あり) ももクロVS伝統工芸/佐々木彩夏、漆器作りに挑戦(3)

2016/6/18

ももクロの佐々木彩夏さんがピンクの漆器作りに挑戦

アイドルグループ『ももいろクローバーZ』(ももクロ)の佐々木彩夏さんが越前漆器作りに挑戦している『ももいろトラディショナル』。前回(「ももクロあーりん漆塗り挑戦『えー、できる気しない』」)、同世代の職人、嶋田希望(のぞみ)さんにやり方を教えてもらいましたが、いよいよ漆塗りにトライします。嶋田さんの上司で、伝統工芸士の内田徹さんによれば「素人はまずできない」という漆塗りですが、佐々木さんの隠れた才能が発揮されることになります。

■漆を塗る前から問題発生。「器が回らない」

日本の外食産業に用いられる漆器の8割を生産する福井県鯖江市河和田(かわだ)地区にある「漆琳堂(しつりんどう)」で、漆器について勉強している「あーりん」こと、佐々木彩夏さん。漆琳堂の内田徹専務、そして平成生まれで、東京出身の嶋田希望(のぞみ)さんに漆器の作り方を教えてもらい、いよいよ漆塗りに挑戦します。

内田 最初に木の粉を樹脂で固めた安価な器で練習してから、本番は切り出した原木で作った器に伝統的な下地を施したものを使って、ピンクの漆器を完成させてもらいます。

嶋田 まずはろくろで器を回す練習から始めましょう。右手ははけを持ちますので、器についた「つく棒」は左手で持ってください。人さし指と中指ではさんで持ち、それろくろに押しつけます。

嶋田さんの指導に従い、器の底についたつく棒を指ではさみ、器をろくろに押しつけますが……

佐々木 わあ、器が回らない。えー、どうすればいいの?

ろくろは回転しているのですが、左手の人さし指と中指ではさんだ器がスムーズに回りません。指に力を入れると器が回転せず、ゆるめすぎると今度は安定して回転しないのです。

ろくろで器を回そうとするが、指でうまく固定できずスムーズに回らない

嶋田 親指でつく棒を押す方向に力を入れてみてください。

佐々木 ああ、なるほど。回りそうな気がする。こうか!

親指に力を入れることで、器はスムーズに回り始めた

嶋田さんのアドバイスにうなずいた佐々木さん、親指でつく棒ごと器をろくろに押しつけるようにします。すると左手で持った器がきれいに回り始めました。それを見た内田さんがぽつりと「すごいな」。こんなに早く回せる人はなかなかいないそうです。

佐々木 けっこう強く親指を押しちゃっていいんですね。がっつり押しちゃっていいんだ。できるかもしれない。

嶋田 それではまず外側を塗る練習から始めましょう。漆が手につかないように、器を押さえている左手と、はけをもっている右手、両方に気をつけてくださいね。

佐々木 やってみます。

ピンクの漆を器の外側に塗り始める。嶋田さんと内田さんから「手につくとかぶれるので気をつけて」という注意が

佐々木 あー、すごい難しい。

はけを持つ手も徐々に慣れていく

佐々木 なんとか上の方が塗れました。あー、どきどきした。難しかったです。

外側を塗る練習は終了

嶋田 では次に内側を塗る練習を。器をろくろから外して、つく棒を左手で持ってください。ポイントはあまり力を入れないことです。

外側の次は器の内側を塗る練習

嶋田 最後ははけを持ち替えて、上の部分を一周させてください。

佐々木 難しい。めっちゃ、むらになっちゃう。

内田 いや、うまいですよ。キレイに塗れている。

内側を塗る練習も無事終了

佐々木 でも、めっちゃ疲れますね。指の筋肉をすごく使う気がします。

■漆は思っていたより粘って重い

練習を終えたところで、いよいよ本番です。嶋田さんの協力を得て、ピンクの漆器を完成させます。使うのは漆琳堂の汁椀でも定番に使われている、時間をかけて伝統的な下地を施した器です。

佐々木 さっきの器に比べて、重い気がします。ちょっと回してみますね。うーん、緊張するなあ。

いよいよ本番。練習に使った器とは重さが違い戸惑う

佐々木 めっちゃ器が動いちゃう。

嶋田 軸がぶれていますね。

嶋田さんにもう一度、見本を見せてもらい再挑戦。今度はうまく回り始めました。

佐々木 あ、大丈夫かもしれない。うまくできるかも。

器が安定して回り始めた

スムーズに回転するようになったところで、いよいよ本番です。右手に持ったはけでピンクの漆をすくいあげます。

はけに漆をつける。「もっとたっぷり付けていいですよ」と嶋田さん

嶋田 もっとたっぷり付けていいですよ。漆をのばす感じで塗っていってください。

佐々木 うーん、漆って思ったより粘るんですよねえ……難しい……。

内田 でも、さっきよりうまく塗れていますよ。

「練習よりうまく塗れていますよ」(内田さん)

嶋田 では内側を塗りましょう。高台の所に指をつかないように、つく棒の一番端を持ってください。

器をろくろから外して内側を塗り始める

内田 すごくうまいですね。手首が柔らかい人と固い人で全然違うんですが、彼女はすごく柔らかい。それに手首の使い方も上手です。内側を塗るときは、内側に沿うようにはけを360度回して塗っていかないといけないのですが、それにははけを持っている右手だけでなく、器を支えている左の手首も回さないとできないんです。それがすごく上手にできている。何よりびっくりしたのは、何も言われていないのに、最初からそうしていることです。

はけを持つ右手だけでなく、器を持つ左の手首を上手に使うのがポイント

内田さんによると、左手の手首は動かさずに、右手だけで塗ろうとする人が多いそうです。何のアドバイスも受けずに、両方の手首を使って塗れる人はめったにいないとのこと。

そして、内側の漆塗りも無事完了。

嶋田 とてもきれいに塗れています。漆を塗るときに一番大切なのは均等に塗ることなんですが、漆は樹液なので厚く塗らないと均等にぬれない。でも力のいれ加減が難しくて、薄いところもできやすくむらになってしまうのです。でも佐々木さんは初めてとは思えないくらい、むらなく塗れています。

佐々木 あー、緊張した。集中しました。

漆塗り体験は無事終了

嶋田 器の底を塗るのはこちらで仕上げます。それ以外の部分は、佐々木さんの塗ったままで完成させますね。

佐々木 完成まで10日くらいかかるんですよね。

嶋田 そうです。今日塗った漆が乾くまで4~5日、その後に今日塗れなかった底の部分を塗って、それが乾くまでがやっぱり4~5日かかりますから。完成したらお送りしますね。

佐々木 出来上がりが楽しみ(笑)。

最後に短いですが、漆塗りの動画を公開します。佐々木さんの奮闘ぶりが伝わるのではないでしょうか。

■「最初からあんなに上手にできる人はほとんどいません」

作業を終えた佐々木さんに漆塗り初体験の感想を聞きました。

佐々木 難しかったですね。嶋田さんが塗るのを見ていると、気持ちよくぴかぴかに塗れそうなのに、やってみると全然うまくいかない。漆って重たいというか、粘りけがあるんです。トゥルトゥルって水みたいに塗れそうなのに、けっこうトロトロしていて、途切れちゃう。

嶋田 水彩絵の具のように見えるかもしれませんが、漆は樹液なので粘りがあるんです。

嶋田さんが塗るのを見ていると、水彩絵の具のように塗れるように思えるが、実際の漆は粘りがあり塗るのが難しい、

佐々木 器を回すのも簡単そうなのに、親指で押さえるのには力がいるから指は疲れるし。横で見ているのと、実際にやってみるのでは全然違いました。難しかった。

嶋田 でも、お上手なのにはびっくりしました。器を回せなかったり、はけをうまく持てなかったり、漆を塗る以前に苦戦する方も多いのですが、佐々木さんはすんなりできていましたから。見ていて「こうしたほうがいい」と言おうと思ったら、その前に自分で気づいて直していることもあって、やっぱりいろいろな経験をしているアイドルの方はすごいなあと思いましたね。

内田 すごいですよ。最初からあんなに上手にできる人はほとんどいません。漆琳堂でスカウトしたいくらいです(笑)。

佐々木 やった! でも1個塗るだけでもあれだけ苦労したんだから、仕事にするのはずっと大変ですね。毎日使っている漆器がこれだけ手間をかけて作られていることがわかって、すごく勉強になりました。大切に使わないと。

□  □  □

実際に漆塗り体験を終えた佐々木さん。最終回となる次回では、嶋田さんと2人で、同世代の人たちに漆器を使ってもらう方法、そしてお互いが今後挑戦してみたいことについて話し合いました。さらに、佐々木さんが塗った漆器の完成品も紹介します。完成した漆器を見る佐々木さんの表情がちょっと不満そうな理由とは?

完成した漆器をメンバーの高城れにさん(左)、玉井詩織さん(右)とみる佐々木さん。ちょっと不満そうな理由は次回で(写真 笹森健一)

【今回のおまけ】

前回の「おまけ」で紹介した漆器テスト、今回はその回答編です。嶋田さんと内田さんに解説していただきます。まだテストに挑戦していない人は、ぜひ問題を解いてからお読みください。

問1 漆はどうやって作るのでしょうか。次の中から選びなさい。
 A ウルシという木の葉を煮込む
 B ウルシという野菜の根をおろす
 C ウルシという木の樹液を集める

佐々木さんの回答は「C ウルシという木の樹液を集める」でしたが、見事、正解。ウルシの木の幹に傷をつけ、木がその傷をなおそうと出す樹液をかき取って採取します。採取された樹液が「漆」と呼ばれるわけです。ちなみに木から漆を採取する人たちのことを「漆かき」と呼びます。かつて越前の漆かきが全国の半数を占めた時代もあったといわれています。

問2 次のうち、英語で漆を意味するものはどれでしょうか?
 A urushi
 B japan
 C china

佐々木さんの答えは「A」。「ウルーシって感じ?」とのことでしたが、答えは「japan」。これは江戸時代、日本から欧州に高級漆器が輸出されたことに由来するといわれています。当時作られていた国産漆器の質の高さを表すエピソードです。

問3 漆器作りの仕事には、主に次の職人が関わります。それぞれなんと読むでしょうか。
 木地師(器を作る人)    [       ]
 塗師(器に漆を塗る人)   [       ]
 蒔絵師(漆の上に絵を描く人)[       ]

問3は漢字の読みの問題です。前回、漆器は分業で作られ、木の器を作る木地師、木の器に漆を塗る塗師、その上に絵を描く蒔絵師がそれぞれの仕事をしていくことで漆器は完成すると解説しましたが、さてどう読むのでしょうか。佐々木さんの答えは「きじし、とし、……ときえし?」でしたが、正解は「きじし」「ぬし」「まきえし」です。

問4 漆器は修理することができます。次のうち修理ができるのはどれでしょう? 修理できるものをすべて選びなさい。
 A 塗装が剥げてしまった
 B 器の縁が欠けてしまい、破片をなくしてしまった
 C 器が2つに割れてしまった

漆器に起こるアクシデントに関する問題ですが、採点でもアクシデント発生。佐々木さんの答えは「AとB」で、嶋田先生の採点も「正解」だったのですが、内田先生によると「C」の「器が2つに割れてしまった」場合でも修理はできるそうです。つまり「すべて修理できる」が正解でした。ただし、Cの場合は費用はかなりかかるとのこと。漆器を購入した価格よりも修理費のほうが高くなる場合もあるそうです。「でも、思い出の漆器だから、どれだけお金がかかってもなおしたいという人もいます」。そう考えると、漆器は長く使える食器というわけです。そしてこの問題に関しては「2つに割るようなことが起きないように気をつけて」という内田先生の配慮から、佐々木さんの答えも正解ということに。「やった! 得した」(佐々木)

問5 次のうち、漆を長く使い続けるのにふさわしい手段はどれでしょう? 正しいものを1つ選びなさい。
 A できるだけ乾燥した、湿気のない場所で保管する
 B 桐(きり)の箱で保管して、できるだけ使わない
 C 毎日使う

最後は漆器を使うときのポイントに関する問題。佐々木さんの答えは「C」。これは見事正解でした。内田さんによると漆器の大敵は「乾燥」。なので、毎日使い、きちんと洗うほうが、適度な湿度が保たれ、漆器にはいいそうです。また使い込むことで漆が深みを増すという効果もあるのだとか。「漆器は特別なモノ、と思う人も多いですが、ぜひ毎日普通に使ってほしいですね」(内田)「うちでも毎日使っています!」(佐々木)

次回は「佐々木彩夏VS越前漆器」シリーズ最終回です。

ももいろクローバーZ
百田夏菜子(ももた・かなこ)、玉井詩織(たまい・しおり)、高城れに(たかぎ・れに)、有安杏果(ありやす・ももか)、佐々木彩夏(ささき・あやか)で構成されるアイドルグループ。2008年5月に結成(当時のグループ名は「ももいろクローバー」)。観客数十人の路上ライブからスタートし、ワゴン車で全国のヤマダ電機を回るツアーなどを経て、10年5月『行くぜっ!怪盗少女』でメジャーデビュー。11年4月、メンバー1人の脱退により「ももいろクローバーZ」に改名。12年末、NHK紅白歌合戦初出場、14年3月には国立競技場での2日間のライブを成功させる。16年2月から4月にかけては名古屋、札幌、大阪、福岡、埼玉での五大ドームツアーを実現。大会場でのコンサートと並行して、小さな会場でのライブやユニークなイベントなども積極的に企画、ファンを驚かせ、楽しませている。松崎しげる45周年イベント『黒フェス』や加山雄三55周年イベント『ゴー!ゴー!若大将FESTIVAL』に参加、米ロックバンド「キッス」のコンサートへの出演(参考記事「ケレンと王道、互いの本質照らし合う 『KISS JAPAN TOUR 2015』 ももクロ特別出演」)など、ベテランアーティストとの共演も多数。
佐々木彩夏
1996年6月11日生まれ。神奈川県出身。2007年、小学生のときにスカウトされ、ももクロの所属事務所であるスターダストプロモーション入り。08年11月、「ももいろクローバー」(当時)に参加。キャッチフレーズは「ももクロのアイドル」。イメージカラーはピンク。愛称は「あーりん」。

(写真 山岸政仁、ヘアメイク 飛田卓司、文 大谷真幸=NIKKEI STYLE編集部)

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