少しでも金利が高い金融商品 元本重視で選ぶなら

そろそろ夏のボーナス支給を控えてお金の預け先を考える時期。マイナス金利政策の導入で金利引き下げが相次ぐ預金では物足りないが、不安定な値動きが続く株式などリスク資産も手が出にくいという人は多いかもしれない。それでも目をこらせば元本の安全性が比較的高く、金利も残っている金融商品がある。商品選びのコツと注意点をまとめた。

定期預金などの金利が軒並み低下する中、個人向け国債に関心が集まっている。財務省によると5月の応募額は2104億円と、マイナス金利政策を実施した2月から4カ月連続で2000億円を超えた。商品設計上の下限金利が年0.05%(税引き前)で、メガバンクの定期預金金利0.010%を上回るからだ。

元本の安全性を重視する人にとって個人向け国債は有力な選択肢だが「もう少し利回りがほしい人は、地方銀行のインターネット支店の専用定期預金と個人向け社債を探してみよう」。ファイナンシャルプランナー(FP)の深野康彦氏はこう助言する。

地銀のネット支店は実店舗より運営コストが安い分、金利を上乗せしやすい。実店舗のある地元以外の地域からも預金を集められる利点もあり、比較的高い金利を維持するケースが目立っている。

預入額に上限も

例えば100万円を1年物に預けるなら、高知銀行の「よさこいおきゃく定期」や愛媛銀行の「だんだん定期預金」の金利は年0.3%だ。信用金庫でも比較的高い金利を提示する動きがある。豊田信用金庫(愛知県豊田市)は4月にインターネット支店を開設した。9月末までなら年0.3%が適用される。金融機関によっては集める預金の総額や1人当たりの預入額に上限がある場合があるので、事前に確認するといい。

個人向け社債もマイナス金利導入以降、注目が集まる金融商品だ。アイ・エヌ情報センターによると、1~5月の個人向け社債の発行本数は15本と前年同期に比べ6本増えた。国際的な自己資本規制に対応するため大手銀行の発行が続いたことが押し上げた。

発行側には超低金利のうちに資金を確保するという狙いがあるが、個人投資家にとっては安定的な利回りが期待できる点が魅力になっている。例えばSBIホールディングスが今月6日に発行した第34回債は期間2年で年0.7%と比較的高かった。

個人向け社債は人気が高く、新規発行されるときに購入できない投資家は多い。その場合は証券会社が在庫として持つ既発債が選択肢になる。野村証券では14日時点でソフトバンクグループの第45回無担保社債を扱っている。残存期間2年11カ月で利回りは年0.69%だった。

社債は元本保証ではないので、信用力を示す格付けをチェックすることが欠かせない。「投資適格とされるトリプルB以上を取得しているかが一つの目安になる」(FPの根本寛朗氏)。中途売却する場合は購入した金融機関が買い取ってくれる可能性はあるが、元本を下回るケースもある。投資するなら基本的に満期保有を前提に考えよう。

元本割れをできるだけ避けたいなら、自治体が発行する市場公募地方債(ミニ公募債)も一案になりそうだ。神奈川県海老名市が4月に発行した「海老名みのり債」は期間5年で金利は年0.15%、三重県熊野市の「ささゆり熊野市民債」は同5年で金利は年1%だった。

ミニ公募債を購入できるのは地域住民に限るのが一般的。マイナス金利政策の影響で利回りが下がり、発行自治体も減少しているが、大手銀行の預金金利より利回りが高い例はまだある。発行計画は総務省のホームページで調べたり、地元自治体に問い合わせたりすれば分かる。

中途解約できず

個人の運用資金の受け皿として取り扱う金融機関が増えているのが「仕組み預金」だ。預金にデリバティブ(金融派生商品)を組み合わせることで、通常の円定期預金に比べ金利が高くなるのが特徴。「二重通貨型」と「満期特約付」の2種類がある。

具体的には二重通貨型は為替オプション、満期特約付は金利オプションの取引をして、その対価分を金利に上乗せする。預金者は金利が高い代わりに原則として中途解約できず、元本割れしたりする可能性がある。

二重通貨型は円で預けた元本が為替動向によって外貨で戻る仕組み。満期日やその数日前の時点(判定日)で、預入時に設定した為替レート(特約レート)より円高なら外貨で、円安なら円で戻る。例えば元本100万円を特約レート1ドル=109円で預け、判定日の実勢レートが105円なら、109円で換算した約9174ドルが戻る。これをすぐに実勢レートで円に戻すと約96万円で元本を下回る。「外貨での運用を考えている人向き」(SMBC信託銀行の小田川正知執行役員)といえそうだ。(藤井良憲)

■仕組み預金、預金保険の例外も
金融機関が万が一経営破綻した際は、預金保険制度で元本1000万円までとその利息は保護されるが、仕組み預金の中には例外もある。例えば利息のうちオプション取引を原資とする上乗せ部分は対象外。保証されるのは同じ金融機関で満期が同じ定期預金の店頭表示金利を適用して得られる部分だけだ。
二重通貨型で元本部分を外貨で受け取ると、新生銀行や住信SBIネット銀行、SMBC信託銀行では「預金保険の対象外とみなされる」としている。保護上限の元本1000万円には、同じ金融機関に預ける円定期預金や円普通預金も含む。仕組み預金に預ける金額を決める際は考慮する必要があるだろう。

[日本経済新聞朝刊2016年6月15日付]

近づくキャッシュレス社会
ビジネスパーソンの住まいと暮らし