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木造戸建てなら100万~150万円 耐震改修の費用 住宅、地震に備える(2)

2016/6/21

 1970年代に建てた自宅の耐震診断をしたところ、新耐震基準を全然満たしていないことがわかりました。大地震で倒壊する可能性があるので耐震改修工事をしたいのですが、具体的にはどのような工事で、費用はどのくらいかかるのでしょうか。

 主に中小の工務店が建てる木造軸組工法の住宅の場合、地震の揺れに耐える「耐力壁」の強度を上げる工事をする。柱、梁(はり)などの構造がゆがまないよう斜めに筋交いを入れて接合部を金物でしっかり固定し、その上から構造用合板を張ることが多い。

 大和ハウスリフォーム(大阪市)では「旧耐震の木造一戸建ての場合、10カ所ほど壁を補強する工事が多い」という。費用は構造部分だけで80万~90万円かかり、さらに工事のために一部はがした天井や床などを元通りに仕上げるコストが上乗せされる。内装に影響を与えないように押し入れの奥の壁を補強することも多いようだ。

 このほか、重い瓦ぶきの屋根をスレートや鋼板にふき替えると耐震性能が上がる。日本建築防災協会(東京・港)によると、ふき替え費用の目安は屋根の面積1平方メートル当たり1万5000~2万円。鉄筋が入っていない古いコンクリート基礎を補強する工事もある。

 同協会の調査では、耐震改修工事の費用は100万~150万円が最も多い。評点を新耐震基準を満たす1.0以上に上げる工事は一般に自治体から数十万円の補助金が出るため、所有者の実質的な負担はこれより少なくなる。

 マンションは鉄骨やアルミで組み上げた「ブレース」と呼ばれる耐震部材を外側に増設して揺れにくい構造にすることが多い。ただし、ブレースでバルコニーからの眺めが遮られたり、住み心地に影響したりする可能性もある。長谷工コーポレーションは「一部の住戸だけが大きな不利益を被らないよう公平性を重視して設計する」(マンション再生事業部)という。

 1階が駐車場などになっていて壁が少ない「ピロティ」構造のマンションは、大地震で1階が上層階に押しつぶされる被害が目立つ。1階の柱を鋼板や繊維シートで巻いたり、柱の間にブレースを新設したりすると耐震性能が上がる。

 マンションの費用は目安がはっきりしないが、東京建設業協会(東京・中央)によると、延べ床面積5000平方メートルの鉄筋コンクリート建物の耐震改修費用は構造部分だけで7500万円から2億5000万円ほど。マンションは居住しながら工事しなければならず、配管の移設など付帯工事が重なるとコストがかさみやすいという。

 一般にマンションの耐震性能を示す「Is値(構造耐震指標)」が新耐震基準に相当する「0.6」以上になる改修であれば、自治体から補助金が出る。2013年の耐震改修促進法の改正で主な緊急輸送道路沿いの旧耐震の建物は耐震診断が義務づけられた。いずれ結果も公表されることになっており、耐震改修工事を具体的に検討するマンションが増えそうだ。

[日本経済新聞朝刊2016年6月15日付]

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