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佐渡に行くのに体重記入が必要とは…

立川談笑

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NIKKEI STYLE

新潟から海を越えてゆく、佐渡への旅。カーフェリーに乗ればのんびりゆったり。潮風に吹かれて海をゆく船旅は、なんとも気持ちのいいものです。ここのフェリーには「おけさ」「ときわ」「あかね」の三姉妹がいて末娘の「あかね」は……、って我ながらおかしな話になっています。というのも、運航する佐渡汽船がフェリーそれぞれにかわいらしいイメージキャラクターを設定しているのです。ウェブサイトで詳細なプロフィールを確認できます。これは楽しい。

さて、そんなフェリーだと2時間半かかるところを、水中翼船ジェットフォイルに乗れば一気に時間短縮で、約1時間。時速80キロとは頼もしい。ジェットフォイルにキャラ設定は、……なさそうです。

そして超高速船よりもさらに速い、佐渡までの所要時間が驚きの30分足らずという乗り物がありました。そう、飛行機です。かつて搭乗したときの体験をお話しします。

8月のその朝、新潟空港は快晴で風は穏やか。まさに飛行機日和でした。佐渡行きの小さな搭乗カウンターに着くと、まずは書類に必要事項を記入します。住所、氏名、年齢、体重、それから……えっ、ちょっと待った。体重? 手荷物は毎度量るけど、本人の体重を尋ねられるのは初めてです。そんなにデリケートなフライトなのか? 90キロもある人は乗せてくれないのか? 不安がよぎります。

(ここで体重をサバ読んで書いたらどうなるんだろう。みんな正直に書くのかなあ。特に女性客は書きづらいだろう。そもそも自己申告ってアテにしていいのかなあ)

それでも安全な航行のために必要なのだろうと、正直に体重を記入して提出。カウンターのお姉さんが表情ひとつ変えずに受け取るのを見て、ひとまずは安心しつつも、その後、裏で準備している人たちが

「おいおい、きょうはずいぶん重い人が乗るぞ。バランス、困ったな。おい、どうするこれ?」

なんて深刻に相談する様子を想像して、少し申し訳ない気分。

出発時刻になって、カウンター横のドアから外に出ればそこはもう搭乗口。というか信じられないくらいに小さな飛行機がありました。雰囲気としては、ちょっとしたワゴン車なみ。明らかに10人も乗れません。「定期航路だからもっと、こう……」という期待を裏切られる一方、「なるほど、体重を確認するわけだ」と激しく納得しました。正直に体重を書いておいてよかった。

手渡された紙切れには座席の見取り図が印刷されています。機内、ちっちゃ! 蛍光ペンで色が塗ってある箇所が私の座席ということですが、見てさらに驚いた。最前列の右側。ここ、客席じゃなくて操縦席だ! よりによって機材やらが密集していて一番狭苦しそう。体重で割り振った結果がここなのか。体の長さや体積も考えてほしいと強く思いました。

ほかの乗客が後ろの客室ドアから乗り込む中、私だけは特別扱いで前部の小さなドア。乗員用ハッチからごそごそと機内に潜り込みます。左右上下の機材やらスイッチやらを破損しないように細心の注意を払いながら、左の操縦席を通り抜けて、右の操縦席に着席。180センチの大きな体を小さく折りたたんでギュっと押し込みます。収納、完了。はふう。

それでも落ち着いてみると、大きく前面展望が与えられているのは最前列のこの席だけ。またコックピットですから、前に操縦かんがあって、周囲には意味不明な計器やスイッチ類が隙間なくこれでもかと配置されています。圧倒的にプロフェッショナルでメカニカル。いやあ、興奮しますなあ。狭いことだけに目をつぶれば、ずいぶん楽しそうな条件がてんこ盛りです。ここにきて、一気にはじけるようなワクワク感に包まれました。おお、飛べ! 日本海上空を、この大空を飛びまわっておくれ! さあ、翼よ!

大きなエンジン音とともに左右のプロペラが勢いよく回り始めると、いよいよ離陸。すぐ隣に座っているパイロットの一挙一動に注目します。かっこいいなあ。ヘッドホンとマイクで管制と何やら交信する姿だけでもかっこいい。こっちにも同じヘッドセットがひとつあるんだけど、触っちゃダメだよな。うん、ダメだ。

滑走路を疾走して間もなく、パイロットが操縦かんを大きく引いて離陸。しかし、この瞬間にまさかのトラブル?発生です! パイロットの操作に連動してこっちの操縦かんも同じように動くのです。狭い中、大きな体を折りたたんでいるところへ操縦かんに飛び出されても困りますって。膝がつかえる。こっちが触るとやっぱり向こうも動くってこと? この体が邪魔してこのまま操縦かんを十分に引けないまま、機体は思うように上昇できずに……。

いかん、いかーん! 「小型機、離陸時の事故。原因は乗客が大きかったから」はシャレにならん! 必死で身をよじって操縦かんの動きを妨げないよう奮闘したその結果、無事、上昇成功。ふう。人知れず乗員乗客を救った気分です。

ところが、それっきりあまり上昇しません。低空飛行のまんま。あれれ? なるほど、通常の国内線では高度1万メートルを飛ぶところ、これは300~400メートル程度なのですと。意外なほど海面が間近に見えます。そしてとてもゆっくりに感じます。時速100キロ以上はラクに出ているのでしょうが、その実感はありません。エンジンがばるばる、ばるるると響く中、眼下には明るい日差しに照らされた日本海がゆっくりと後ろにすぎていく。ねっとりとした液体の中をヨイショ、ヨイショとこいで進むような、そんな感覚です。最もスピーディーなはずの乗り物なのに、何なんだこのゆったりのんびり感は。

たった25分しか味わえないこの時間に、きょろきょろとあちこちを観察してみました。そこで面白いものを発見。航空会社側が貼り付けたと思われる、操縦士に向けた注意書きです。いわく、

「きりもみを含むすべての曲芸飛行は禁止する」

わはは。宙返りとか、やりたくなっちゃうんかいー!

いやあ、楽しかった。みなさんも興味があったら体感してくださいね、と締めくくりたかったのですが。残念なことに、調べたところでは佐渡―新潟線は2年前から運休なのだそうです。私が利用したのは10年前でした。

空路の再開を祈念しながら、ここはひとつカーフェリー三姉妹のお世話になりましょうか。佐渡は、本当にいいところでした。また行きたいなあ。

☆     ☆     ☆

さて次回のマクラ投げ。テーマは「おばあちゃん」。弟子たち、頼んだよ!

(次回、6月22日は立川笑二さんの登場予定です)

立川談笑(たてかわ・だんしょう) 1965年、東京都江東区で生まれる。海城高校から早稲田大学法学部へ。高校時代は柔道で体を鍛え、大学時代は六法全書で知識を蓄える。予備校講師など様々なアルバイトを経験し、93年に立川談志に入門。立川談生を名乗る。テレビの情報番組でリポーターを務めながら芸を磨く。96年に二ツ目昇進、2003年に談笑に改名。05年に真打昇進。古典落語をもとにブラックジョークを交えた改作に定評がある。十八番は「居酒屋」を改作した「イラサリマケー」など。
<今後の予定>独演会は7月13日、8月17日、の予定。吉笑(二ツ目)、笑二(同)、笑坊(前座)の弟子3人とともに武蔵野公会堂(東京都武蔵野市)で開く一門会は6月24日、7月28日の予定。
立川談笑HP http://www.danshou.jp/

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