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田中社長、頼りないと思っていた伊藤君の隠れた能力と知らなかった営業職への深い思いを知ることになります。ちょうど、営業職を探していた田中社長にとってみれば、まさに完璧なタイミングに完璧な人材が現れたというわけです。さっそく伊藤君を営業職に抜擢することに。伊藤君は頑張ることを約束します。そして田中社長も、この抜擢が揺るがないことを約束するのですが。

皆さんは、英語で約束できますか?

イラスト Dセイン

イラスト Dセイン

Case 1
President Tanaka: What do you think you can contribute to our company?
 Ito: I'm a CPA, but my true love is sales. I really enjoy talking to people.
Tanaka: I see. Have you had any experience in actually doing sales?
  Ito: In college, I started a small business. We had annual sales of $250,000, and I had five people working under me.
Tanaka: So why did you give that up? It sounds like you had it made.
  Ito: Well, I wanted to experience working for a successful company like yours.
Tanaka: Well, we'd be very happy to have you work for us. We need to let someone go on our sales staff, so the timing is perfect.
  Ito: Okay, just let me know when I can start.
President Tanaka: Welcome aboard.
  Ito: I won't let you down. You have my word.
【対訳】
社長: 君は何で会社に貢献できると思っているのかな。
伊藤: 僕は公認会計士なんですけど、本当にやりたいのは営業なんです。人と話しをするのが大好きです。
社長: そうか。それで君は実際に営業をやったことがあるの?
伊藤: 大学時代に、小さな仕事を始めたんです。年間売り上げは250,000ドルで、部下は5人いました。
社長: 何故それを止めちゃったのかね?うまくいっていたようだが。
伊藤: ええとですね、この会社のような成功した会社で働く経験をしたいと思ったからです。
社長: そうか、君のような人間に働いてもらえるのであれば、幸せだろうな。我々は誰かを営業スタッフにする必要があるんだ。タイミングとしては完璧だな。
伊藤: 分かりました。いつスタートできるか教えてください。
社長: (営業へ)ようこそ。
伊藤: がっかりはさせません。約束します。

解説)

CPA: (米)公認会計士 certified public accountant

true love: 本当に愛すること(もの)、この場合では「本当にやりたいこと」

annual sales of…: ~の年間売上高

I had five people working under me.: 私の下で働く5人の人がいた、すなわち「5人の部下がいた」ということ。

have it made: 何もかもがうまくいく

we'd be very happy to have you work for us.: 君のような人間に働いてもらえるのであれば、幸せだろうな。

* We'd be very happy to…: ~であれば私たちは幸せだろうな。これは「仮定法過去」の文で現在の事実とは違うことを表しています。すなわち、この時点では「自分たちの(営業の)ために働いてもらっていない」ということを意味します。

* have you work for us: have は「強制性」のない使役動詞。「私たちのために働いてもらう」。

Welcome aboard.: (我が営業職へ)ようこそ。 「ようこそ、~へ」の意味で「我が社へようこそ、我がチームへようこそ」など新しいスタッフやメンバーを迎えるときの定番表現。

*aboard は「車、飛行機、船などに乗ること」。

I won't let you down.: 「決してガッカリさせません」。上司に新しいプロジェクトなどを任命された場合の自分の決意を表すひと言。I'll work hard to meet your expectation.「ご期待に沿えるように頑張ります」I won't disappoint you.「決して後悔させません」も同じ。「自信過剰」のように思えて、日本人には言いにくいかもしれませんが、これくらい前向きな言葉を述べることも時には必要です。

You have my word.: 約束します。

*言葉で約束するときの定番表現です。

Part 2
  Ito: Could I talk to you for a moment? I'm sorry, but I overheard you interviewing someone for my job yesterday.
Tanaka: I don't know what you mean! We're not hiring anyone now.
  Ito: Come on. Your office door was open and I could hear everything.
Tanaka: I promise you, I don't know what you're talking about.
  Ito: If you want to kick me out the door, then just tell me the truth. I don't want to be here if I'm not wanted.
Tanaka: I don't know what you're talking about.
  Ito: But I heard you with my own ears. You told that guy he was hired.
Tanaka: Oh, you misunderstand. I was helping my nephew get ready for a job interview. He was just practicing.
  Ito: Oh, I guess I have mud on my face now. I'm really sorry about that.
【対訳】
伊藤: 少しお時間よろしいですか? 失礼ですが、昨日あなたが僕の仕事のポジションに入れるために誰かをインタビューしているのを小耳にはさんでしまったんです。
社長: 何を言っているのか分からないよ! 今我々は誰も雇用はしないよ。
伊藤: 止めてくださいよ。 社長室のドアが開いていて、何もかも聞こえちゃったんですよ。
社長: 約束するよ、君が何を言っているのか分からない。
伊藤: もし、社長が僕をドアから追い出したいのであれば、真実を話してください。もし望まれない人間であれば、ここにはいたくありません。
社長: だから、君が何を言っているのか分からないよ。
伊藤: でも、僕はこの耳で聞いてしまったんですよ。あなたはその男に、雇うと言っていました。
社長: ああ、君は誤解しているよ。私はただおいっ子の仕事の面接の準備を手伝っていただけなんだよ。彼は練習していただけだよ。
伊藤: 何だ、私はとんだ恥さらしでしたね。 申し訳ありませんでした。

解説)

overhear: 聞く気がないのに、耳に入ってくる、小耳にはさむ

Come on.: 止めてください、 頼みますよ

*この場合は「冗談はよしてください」ということ。

I promise you.: 約束します。

I don't want to be here if I'm not wanted.: もし、自分が望まれないのなら、ここにはいたくありません。

nephew: おい (めい)niece

I have mud on my face now.: 自分の顔に泥がついている、すなわち「恥ずかしい、恥さらし」の意味。

セインのビズネスひと口メモ

You have my word. やI promise you. は「約束する」を表すフレーズですが、この場合は「誓い」や「契約」のニュアンスを含む「約束」になります。例えば、待ち合わせの時間に遅れる常習犯が「二度と遅刻しないと約束するよ」と言う場合は I promise you I won't be late again. となります。

しかし、「彼と3時に会う約束をしているんだ」という場合の「人と会う約束」は「予約」の意味になり、英語で言うなら I have an appointment with him at 3:00. となります。

また同じ「予約」 でも ホテルやレストランの「予約」はreservationとなります。レストランなどに行って「予約した加藤です」と言うのであればWe have reservations, Kato. と言えばよいでしょう。

appointment は「人と会う約束」またreservation は「ホテルやレストラン、席などの予約」となります。

この3つをしっかり使い分けしましょう。

Hang in there!

:Dセイン

デイビッド・セインの「ビジネス英語・今日の一場面」は木曜更新です。次回は6月23日の予定です。
デイビッド・セイン(David Thayne)
米国出身。累計売り上げ部数350万部の著作を刊行してきた英語本のベストセラー著者。英会話学校経営、翻訳、英語書籍・教材制作などを行うクリエーター集団「エートゥーゼット」(www.smartenglish.co.jp)の代表を務める。日本で26年以上の豊富な英語教授経験を持ち、これまでに教えた日本人は数万人にのぼる。日本人に合った日本人のための英語マスター術を多数開発している。
 東京・文京区のエートゥーゼット英語学校の校長を務めるとともに、英会話教育メソッド「デイビッド・セイン英語ジム」(http://www.david-thayne.com)の監修も行っている。主な著書に、「チームリーダーの英語表現」(日本経済新聞出版社)、「ネイティブが教える英語の語法とライティング」(研究社)などがある。

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