狙いは金融マン!? 転職で「人脈」をフル活用するワザエグゼクティブ専門の転職エージェント 森本千賀子

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転職を成功させるためには、より多くの情報を入手し、選択肢を増やすことも大切です。求人情報の収集手段としては求人サイトや転職エージェントなどがありますが、ぜひ「人脈」も活用してみてください。ただし、転職において人脈を使うことはメリットもあればデメリットもあります。効果的な活用法と注意点をお伝えします。

自分の仕事ぶりを知る「元上司・元同僚」は頼れる存在

ベテランのビジネスパーソンであれば、ビジネスでもプライベートでも人脈が築かれていることでしょう。その中でも信頼のおける人に声をかけ、転職を考えていることを相談してみてはいかがでしょうか。

転職先を探す際に人脈を使うメリットは、相手があなたの人となり、仕事に対する姿勢やこだわりなどを理解してくれている点にあります。

特に、「以前に一緒に働いたことがある人」に声をかけてみることをお勧めします。例えば、今は他の会社で働いている元上司・元同僚、あるいは複数企業の合同プロジェクトで協業した人など。仕事をしているあなたの姿を見ていた人であれば、「あの会社が人材を募集しているが、君なら合うんじゃないか」といったように、「相性」も考慮した上で情報を提供してくれる可能性があります。

相手企業に対してあなたの良さを伝えてくれれば、選考もスムーズに進みやすくなるでしょう。

あなたの強みを理解してくれているという点では、旧知の友人や親戚のつてをたどってみるのも有効です。「業界がまったく違うから」と声をかけずにいるのは、得策ではありません。あなたが知らないその人のネットワークの中に、あなたの業界に関連する人物がいることもあります。

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「ランニングサークルの仲間が○○社で人事をやってる」「取引先の会社が△△事業に乗り出すらしく、△△業界出身者を集めている」といったように、思いがけない情報が得られるケースは少なくないのです。

特に金融機関に勤務している友人がいれば、声をかけてみる価値があります。融資先企業の社長とお付き合いがあり、採用計画をつかんでいるケースが多いからです。IPO(株式新規公開)を目指している、伸び盛りの企業の情報が得られるかもしれません。

自分のビジョンを友人たちに発信しておき、情報を待つ

いずれにしても、キャリアチェンジを考えているのであれば、1人でじっとプランを練るよりも、積極的に発信しておくことをお勧めします。SNSに参加している人であれば、そうした場を利用する手もあるでしょう。

もちろん、ストレートに「転職」を宣言してしまっては、会社や取引先など秘密にしておきたい人たちにも伝わるおそれがありますので、そこはメッセージを工夫する必要があります。

「こんなテーマに興味を持っている」

「いつか、こんなプロジェクトに関わってみたい」

といったように、転職というキーワードは出さずに、目標や将来ビジョンを発信するのです。そのメッセージが読んだ人の頭の隅に残り、その人が関連する情報を入手したときに、「あいつが興味持ちそうだな。知らせてやろう」と情報を寄せてくれることも期待できます。

情報入手ルートを新たにつくる手も

今持っている人脈に期待できないようであれば、これからつくってはいかがでしょうか。

さまざまな業界の人が集まるビジネスセミナーや自己啓発セミナー、サークルなどに参加し、「波長の合う人」を見つけて親密になるのもいいでしょう。

また、意外と見過ごしがちなのが「子ども」を通じたネットワークです。パパ・ママが参加するイベントはあちこちで開かれているもの。これまで妻に任せっきりだった人も、そうした場に参加してみてはいかがでしょうか。

実際、私自身も、息子の友達のパパ・ママが集まるバーベキューパーティーで知り合った方と、ビジネスでのお付き合いに発展したことがあります。子どもという共通の話題があるため、通常より早く距離を縮められるのでお勧めです。

人脈を使った転職にひそむ「落とし穴」とは

転職活動で人脈を使う場合、注意すべき点もあります。よくある失敗ケースとしては、次の3つが挙げられます。

●断りにくくなる

紹介された会社が気に入らなかった場合も、断りにくい状況になることがあります。紹介者が先走って相手の会社に話を通してしまったりした場合です。その人の顔を立てるために、不本意ながら入社せざるを得なくなった、というケースは実際に見られます。

どのような順序で話を進めるか、事前に共有するようにしてください。

●口約束で話が進み、後でトラブルに

友人・知人を通すと、安心感から油断してしまうこともあります。給与や待遇など、条件面をしっかり確認せず、入社後で「話が違う」ともめるケースもあります。口約束ではなく、労働条件を文書にした通知書を受け取っておきましょう。

●紹介者から聞いた話と事実が異なる

「うちの会社に来れば。こんなにいいよ」と言われて入社したところ、誘ってくれた友人とは配属先が異なり、聞いていた話とはまったく違っていた、ということもあります。同じ会社でも、部署によって方針や環境が異なるケースも少なくないのです。

また、プライベートで知り合った社長から「うちに入って」と請われて入社したものの、社内では社長への抵抗勢力が強まっていて、既存社員たちから敵視された……ということも実際に起きています。ほか、役員を務める知人から声をかけられ、経営幹部として入社してみると、社長がクセの強い人物で苦労した、という体験談もあります。

紹介者の言葉をうのみにせず、自分で会社を調べ、他の社員とも話をさせてもらうなどの対策をとってください。

このほかにもう一つ、人脈を使うデメリットを挙げるとしたら、「可能性を狭めてしまう」という点があります。これは人脈のみに頼り、他の情報収集手段を併用しない場合のことです。自分の人脈の範囲内の情報しかとらなければ、それ以外のフィールドにより大きなチャンスがあったとしても、気付かずに逃してしまいます。

人脈はあくまで「手段の一つ」として活用し、情報収集はなるべく広く行うことをお勧めします。

次世代リーダーの転職学」は金曜更新です。次回は7月22日の予定です。
連載は3人が交代で担当します。
*黒田真行 ミドル世代専門転職コンサルタント
*森本千賀子 エグゼクティブ専門の転職エージェント
*波戸内啓介 リクルートエグゼクティブエージェント代表取締役社長
森本千賀子(もりもと・ちかこ)
株式会社リクルートエグゼクティブエージェント エグゼクティブコンサルタント
1970年生まれ。独協大学外国語学部英語学科卒業後、93年にリクルート人材センター(現リクルートキャリア)入社。大手からベンチャーまで幅広い企業に対する人材戦略コンサルティング、採用支援、転職支援を手がける。入社1年目にして営業成績1位、全社MVPを受賞以来、つねに高い業績を挙げ続けるスーパー営業ウーマン。現在は、主に経営幹部、管理職を対象とした採用支援、転職支援に取り組む。
2012年、NHK「プロフェッショナル~仕事の流儀~」に出演。『リクルートエージェントNO.1営業ウーマンが教える 社長が欲しい「人財」!』(大和書房)、『1000人の経営者に信頼される人の仕事の習慣(日本実業出版社)』、『後悔しない社会人1年目の働き方』(西東社)など著書多数。

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