平日別居の夫の日常が気になりすぎます
脚本家、中園ミホ
夫の仕事を尊重し平日別居を受け入れたものの、一緒にいたい思いにかられる。あなたが深く旦那さんを愛していらっしゃることが、よくわかります。あなたの心を離さない旦那さんも、魅力的な方なのでしょうね。
一緒のときもぎこちなくなるなんて、まるで初恋みたい。その様子を旦那さんもきっと喜んでいますよ。えっ、彼も所在なげ? だとしたら考えなくてはいけませんね。あなたは旦那さんを信じていますか。
私は以前、占師をしていたことがあり、人と人の関係は思いというか念のようなものが影響すると思っています。離ればなれの人の健康を心配しすぎると本当に病気になったり、浮気を心配すると本当にされたり。こんなことは珍しくないのです。
ポイントは当人同士がふれあった時にあります。電話で話したとき、一週間ぶりに会ったとき、どんなに隠しても、思いは親しい相手には伝わります。夫婦なら、なおのことです。
心配のしすぎは相手のストレスになる。あなたに信じられていないと感じ、体調や気持ちにも影響を与えます。そして心配が的中すれば一番後悔するのはあなた。やはりそうかと……。
源氏物語の六条御息所(ろくじょうのみやすどころ)をご存じでしょうか。恋仲の光源氏に素直に気持ちを示せず、間遠な関係になってしまった彼女は、光源氏の妻となった葵の上に嫉妬し、生霊となって苦しめるという役どころ。彼女は自分の念がもたらした結果におののき、後悔し、最終的に光源氏と関係を断つことを選びます。物語とはいえ、実際の人間関係に当てはまる部分があると感じます。
あなたは一時的に離ればなれに暮らすことを選びました。ならば旦那さんを信じる。そして、自分1人の時間を楽しみ安心させる。相手の負担にならないように努めるのが、一番の愛情でしょう。あなたはそのことも既にわかっていますよね。
この姿勢が最悪の事態への備えになることもお伝えしておきましょう。たとえ浮気をされても、信じ続ければ旦那さんは戻ってくる。占師としての経験からいえば、可能性は疑っている場合よりはるかに高いですよ。
それでも納得いかない場合は20年後を想像してみましょう。濡れ落ち葉っていうでしょう。仕事をリタイアした男性は家でなすことなく、妻に始終まとわりつくことがある。結構多いみたいじゃないですか。旦那さんがそうなったら、あなたは逃げたくなりませんか。
まずあなたが濡れ落ち葉にならず、模範を示す。その姿勢こそ、生涯のパートナーと幸せに過ごす秘訣かもしれませんよ。
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[日経プラスワン2016年7月2日付]
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