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フジテレビやソニーなど、スマホゲーム事業を強化

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NIKKEI STYLE

国内市場規模が1兆円近くと言われるスマートフォンゲーム市場を狙って、大手企業が続々と新会社を設立している。

フジテレビは4月1日に新ゲーム事業会社「フジゲームス」を設立した。これまでフジ・メディア・ホールディングス(以下、FMH)のゲーム事業は、FMHのコーポレートベンチャーキャピタル事業であるフジ・スタートアップ・ベンチャーズと、スマートフォンゲーム会社gumiとの合弁会社のFuji&gumiGames(以下、FgG)が担ってきた。5月にはフジゲームスがFMHの子会社に、そしてFgGはフジゲームスの子会社となる予定だ。フジゲームス設立の狙いはどこにあるのだろうか。

FgGはスマートフォン用ゲーム市場で『ファントム オブ キル』や『誰ガ為のアルケミスト』のヒット作を生み出してきた。FMHグループが主導するFgGが、ゲームの企画、プロモーション、資金調達を行い、gumiがゲーム開発を担うという、明確な役割分担がFgGの特徴だ。企画はテレビ局が立案し、制作プロダクションが実務を担当するテレビ番組作りの手法をゲーム作りに応用したといえる。フジゲームス社長の種田慶郎氏は「FgGの座組が一定の実績を上げたところで、フジテレビがgumi以外にもいろいろな業界のクリエーターと柔軟に手を組む可能性を広げるため」と新会社設立の理由を語る。

フジゲームスの主戦場は「スマートフォン用のオリジナルゲーム」(種田氏、以下同)。幅広い層に繰り返し訴求することがヒットにつながりやすいスマートフォン用ゲームとテレビは相性が良い。CM出稿や、番組と連動してのプロモーションも可能だ。『ファントム オブ キル』はゲームの配信タイミングに合わせて、アイドルグループでんぱ組.incを起用した番組を放映することで、ゲームプレーヤーの増加につなげた実績があり、今後開発するゲームでも同様の戦略を狙う。

ゲーム発でマルチに展開

 スマートフォンゲーム市場は『パズル&ドラゴンズ』や『モンスターストライク』など、ゼロから立ち上げた新しいブランドが急速に知名度を高める可能性がある。「既に原作のある作品をゲーム化するのではなく、ゲーム発のタイトルをアニメやドラマ化などマルチに展開していくことがフジゲームスの目標」

フジテレビだけではなく、ゲーム専用機市場をリードしてきた企業もスマートフォン市場へ力を入れている。プレイステーション4などを手がけるソニー・インタラクティブエンタテインメントは、4月1日にスマートデバイス市場に向けてプレイステーション専用タイトルなどの資産を提供する新会社フォワードワークスを設立した。カプコンは2ラインが並立していたモバイル事業を集約し、4月1日にモバイル事業統括を新設。『モンスターハンター』や『戦国BASARA』などのブランドを活用したモバイル戦略を推進していくという。

ゲーム業界の動向に詳しいSMBC日興証券のシニアアナリスト前田栄二氏は「スマートフォンゲーム市場は拡大を続ける可能性が高い。市場の成熟と共にユーザーの目は肥えてきており、アイデアだけが売りのベンチャー企業がヒットを生み出す可能性は低下している。今後は、十分な開発予算を投資できる体力を持つ大手企業が強みを発揮していくだろう」と市場の先行きを読む。明日の『パズル&ドラゴンズ』を目指し、大手企業のスマートフォンゲーム事業強化は今後も続きそうだ。

(日経エンタテインメント! 伊藤哲郎)

[日経エンタテインメント! 2016年6月号の記事を再構成]

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