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ももクロあーりん漆塗り挑戦「えー、できる気しない」

ももクロVS伝統工芸/佐々木彩夏、漆器作りに挑戦(2)

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NIKKEI STYLE

アイドルグループ『ももいろクローバーZ』が、日本の伝統工芸に挑戦する連載「ももいろトラディショナル」。今回は6月11日に20歳になったばかりの「ももクロのアイドル」、「あーりん」こと、佐々木彩夏さんが福井県鯖江市で越前漆器作りに挑戦しています。前回(「ももクロVS伝統工芸 佐々木彩夏、漆器作りに挑戦」)、同世代の嶋田希望(のぞみ)さんに漆器の魅力について教えてもらった佐々木さん。今回はいよいよ漆器作りの現場に潜入します。

漆器作りは複数の職人による分業制

観客数十人の路上ライブからスタートしてから、わずか6年で国立競技場を2日連続で満員にし、今年の8月には日産スタジアムで2日連続ライブを行うアイドル、ももいろクローバーZ。デビュー当時のコンセプトが実は「和をモチーフにしたアイドル」だった彼女たちが、日本の伝統工芸に挑戦する連載が「ももいろトラディショナル」です。彼女たちが伝統工芸作りの現場を訪れ、作る過程を勉強し、実際にもの作りを体験した上で、さらにその道を志した同世代の人たちと夢を語り合います。

第1回のテーマは「漆器」。外食産業に用いられる業務用漆器の8割を生産する越前漆器の産地、鯖江市河和田(かわだ)地区にある「漆琳堂(しつりんどう)」を訪れ、漆器作りを勉強しています。前回は、東京から移住し漆器作りの修行をしている、平成生まれの嶋田希望さんに、漆器の魅力、そして同世代として仕事への取り組み方などを尋ねた佐々木さん。いよいよ工房に入り、彼女のイメージカラーでもあるピンクの漆器作りを体験します。

最初に漆器ができるまでの工程を嶋田さんと内田徹専務に教えていただくことにしました。

嶋田 漆器は複数の職人が作業を手分けして作り上げます。木の器を作るのが「木地師」、その器に漆(うるし)を塗るのが「塗師」、そして漆の上に絵を描くのが「蒔絵師」です(それぞれの読み方、わかりますか? ※「今回のおまけ」参照)。

内田 漆琳堂は江戸時代から塗師として漆器に関わってきました。塗師は昔、漆器作りにおけるプロデューサー的な存在だったんです。塗師が「こんな器を作りたい」と木地師に注文を出し、さらに漆を塗った器にどんな絵を描くかを考えて蒔絵師に依頼するという具合で。

佐々木 じゃあ、私はきょう、塗師の仕事に挑戦するんですね。

嶋田 そうです。木の器の外側と内側にピンクの漆を塗っていただきます。

内田 ぜひ準備の段階から見てください。

今回、佐々木さんが学ぶのは以下の4項目です。

1 漆器を塗る器を用意する
2 ピンクの漆を準備する
3 漆を塗るはけを用意する
4 器に漆を塗る

木の器を作るのは半年間乾燥させてから

まず3人が訪れたのは漆を塗る前の木の器が置かれた部屋でした。

内田 ここは「下地場(したじば)」と呼ばれる部屋です。漆器は木の器でできていますが、木に直接漆を塗るわけではありません。漆が木に染みこまないように、粘土状のものをまわりにつけていくのです。これを「下地づけ」といいます。女性のお化粧のファンデーションのようなものですね。

佐々木 なるほど、「お肌のお手入れ」ですね(笑)。

嶋田 下地づけは3回繰り返します。ただ一度に全部につけられるわけではありません。内側、外側、それに器の底の部分などを、別々の日に作業するんです。

内田 そもそも原木を切っても、すぐには加工できないんです。切ったばかりの原木は湿っているので、乾燥させるためには半年くらいかかります。それから器を作り、下地づけを繰り返して、さらに下地の上に漆を薄く塗る「中塗り」という作業をしてから、最後に仕上げの上塗りをするんです。

佐々木 すごい手間がかかるんですね。

自然が作った漆は一滴でも無駄にできない

次に案内されたのは、下地場の隣にある部屋。壁の一面に設置された棚にはいくつもの器が並んでいます。それぞれ上にラップが張られていて、その上にはどんな色の漆が入っているのかを示すメモが載せられています。

内田 ここは漆を調合したり、こしたりする部屋です。漆が肌に付くとかぶれますから気をつけてくださいね。

佐々木 漆って調合するんですか?

嶋田 漆はもともと透ける色の漆に顔料をまぜて色を出します。この部屋にはすでに色のついた漆がいくつもあるので、別の色を作るときは、絵の具のように複数の漆をまぜるのです。ピンクは赤と白の漆をまぜて作ります。

今回はすでにできているピンクの漆を使用します。器に入ったピンクの漆を、フライパンのような浅い鉄鍋に入れてから、電熱線の上にのせました。

内田 これで漆を温めて軟らかくしてから、紙で漆をこします。

佐々木 「こす」って、ろ過すること?

内田 そうです。漆の中には空気中のホコリや固まった漆などが入っています。器をキレイに塗るには、そういったゴミを取り除かなくてはいけないのです。

内田さんは温めた漆をろ紙に流し込み、漆をこしていきます。

佐々木 こうやってきれいな漆を作るんだ。それにしても鍋に残っている漆をほとんど残らないようにギリギリまで使うんですね。

内田 漆は自然が作るものですからね。一滴でも無駄にはしたくありませんから。

こす作業の最後もしっかりとろ紙を絞って、無駄にならないようにします。

佐々木 あ、思っていたのよりも、すごいピンク。

内田 器に塗った直後より、使い込んだときの方が明るいピンクになります。そういう変化も漆器の面白さです。

嶋田 そういえば佐々木さん、普段からピンクを着ているんですか?(※ももクロはメンバーごとにイメージカラーが分かれており、佐々木さんはピンク。この日もジャージーの下にはピンクのTシャツを着ていました)

佐々木 もともとピンクは好きな色でした。メンバーで色を決めるときも「ピンクを着たい」って人が多かったんですよ。でも、今は私服だと違う色を着ることが多いかな。仕事の反動かもしれない(笑)。

漆用のはけは、女性の髪の毛でできている

作ったばかりのピンクの漆を持って、3人は隣の部屋に移動します。

内田 この部屋に入るときは、ホコリを立てないように、スリッパを脱いでください。

佐々木 ここは何をする部屋ですか?

内田 漆を塗り終わった漆器の最後の作業として、器の底についた高台(こうだい)を塗ります。それと漆を塗るときに使うはけの準備もします。漆は乾くと固くなるので、はけを使わないときは、乾かないように油を塗って保管しておくんです。使う前にはその油をとって、漆になじませます。

内田さんは木のヘラを使い、はけの先端にある毛を、ピンクの漆を使ってしごいていきます。

嶋田 保管していたはけの毛にもホコリが入っているので、さっきこしたきれいな漆でそのホコリを取っているのです。

佐々木 はけの毛先って短いんですね。

内田 工房によって長さは違うんですが、うちは9ミリです。

嶋田 実はこのはけ、柄の先まで毛があります。長い髪の毛をヒノキの板ではさみ、それを布でくるんで、最後にまわりを漆を塗っているんです。毛先がまるくなって使いづらくなったら、毛先を切り落とし柄の部分を削って、柄の中に隠れている毛を外に出します。だからはけの長さは使えば使うほどみじかくなるんです。

佐々木 漆といいはけといい、漆器作りってものを無駄にしないんですね。このはけの毛、何の毛でできているんですか?

内田 人間の髪の毛です。

佐々木 え~! どうして髪の毛なんですか?

内田 漆はとても粘りのある樹液なので、はけの毛にコシがないと塗れないんです。それに適しているのは、人の毛だと昔から伝えられているのです。

佐々木 男性の毛と女性の毛、どちらなんですか?

内田 女性の髪の毛です。

佐々木 じゃあ、あたしの髪の毛を寄付すればよかった。この間、長かった髪の毛を切ったんです。その毛を事務所に保管してあるんですが、使い道がなくてみんな困ってる(笑)。

内田 ただ染めていたり、キューティクルがあるのはダメ。洗髪していない、バサバサした髪の毛がいいみたいです。

佐々木 えー、洗髪していない髪の毛って(笑)

内田 今は海外から輸入しているそうです。

「漆器作りにこんなに手間がかかるなんて知りませんでした」

漆とはけの準備が終わると、佐々木さんと嶋田さん、内田さんは漆を塗る部屋にやってきました。部屋の一角がビニールのカーテンで仕切られています。これは作業中にホコリが入らないようにするクリーンルームです。

まず最初にお手本として嶋田さんが漆を塗ります。手に取ったのは、底に手で持つ木の棒がついた器です。底についた棒は「つく棒」と呼ばれ、器とロウで接着されています。

嶋田 器をろくろに押しつけて回転させます。

ろくろと言っても、陶芸で使われるものとは違い、回転する軸がドリルのように水平に伸びています。その軸に器を押しつけて、回転させ、そこにはけに塗った漆を塗っていくのです。嶋田さんが回転する器にはけを近づけると、見る見るうちに器がピンクに変わっていきます。

佐々木わあ、すごい。あっという間に塗れるんですね。

嶋田 つく棒を左手の人さし指、中指、親指ではさむのですが、あまりきつくはさみすぎると器が回転しません。でもゆるすぎると安定して回らないんです。そのバランスが難しいんです。

ちなみにMONO TRENDYの吾妻拓編集長が事前に挑戦したのですが、全然回せませんでした。

佐々木 だめじゃん、編集長(笑)。でも、回すところからできないんですね?

嶋田 確かにコツはいりますね。外を塗りおえたら、今度は内側を塗ります。これもはけの使い方が難しいんですよ。なかなか均等には塗れません。

佐々木 塗り終わったらどうするんですか?

嶋田 ムロ(漆器を乾燥させるところ)に入れて、湿気などの状況を見ながら、4~5日かけて乾燥させます。最後に、底にある高台を塗って、また4~5日間乾燥させて完成です。

佐々木 下地づけに漆の準備、塗ってからも乾燥に時間がかかるし、本当にすごい手間と時間がかかっているんですねえ。うちでもごはんに漆器を使っているけれど、そんなに手間がかかっているなんて考えたこともありませんでした。

できる気がしないんですけど……

嶋田 では、佐々木さん、挑戦してみてください。

内田 最初からうまくいったら、うちでスカウトしたいくらいですよ(笑)。

佐々木 プレッシャー、かけないでください。

嶋田 まずは木の粉と樹脂で作った器で練習をしましょう。それでうまく行ったら、木から切り出した器で本番です。

佐々木 えー、できる気がしないんですけど、全然……。

というわけで、次回はいよいよ佐々木さんが漆塗りに挑戦します。ピンクの漆器は無事、完成するのでしょうか。

【今回のおまけ】

今回、漆器作りを体験するにあたり、佐々木さんに「漆器に関するテスト」を受けてもらいました。下にその問題を紹介します。ぜひみなさんも挑戦してみてください。佐々木さんの回答、そして正解は次回、掲載します。【第3回はコチラ】

ももいろトラディショナル漆器テスト

問1 漆はどうやって作るのでしょうか? 次の中から選びなさい。
A ウルシという木の葉を煮込む
B ウルシという野菜の根をおろす
C ウルシという木の樹液を集める

問2 次のうち、英語で漆を意味するものはどれでしょうか?
A urushi
B japan
C china

問3 漆器作りの仕事には、主に次の職人が関わります。それぞれなんと読むでしょうか?
木地師(器を作る人)     (       )
塗師(器に漆を塗る人)    (       )
蒔絵師(漆の上に絵を描く人) (       )

問4 漆器は修理することができます。次のうち修理ができるのはどれでしょうか? 修理できるものをすべて選びなさい。
A 塗装が剥げてしまった
B 器の縁が欠けてしまい、破片をなくしてしまった
C 器が2つに割れてしまった

問5 次のうち、漆を長く使い続けるのにふさわしい手段はどれでしょうか? 正しいものを1つ選びなさい。
A できるだけ乾燥した、湿気のない場所で保管する
B きりの箱で保管して、できるだけ使わない
C 毎日使う

※次回は2016年6月18日公開予定です。

ももいろクローバーZ
百田夏菜子(ももた・かなこ)、玉井詩織(たまい・しおり)、高城れに(たかぎ・れに)、有安杏果(ありやす・ももか)、佐々木彩夏(ささき・あやか)で構成されるアイドルグループ。2008年5月に結成(当時のグループ名は「ももいろクローバー」)。観客数十人の路上ライブからスタートし、ワゴン車で全国のヤマダ電機を回るツアーなどを経て、10年5月『行くぜっ!怪盗少女』でメジャーデビュー。11年4月、メンバー1人の脱退により「ももいろクローバーZ」に改名。12年末、NHK紅白歌合戦初出場、14年3月には国立競技場での2日間のライブを成功させる。16年2月から4月にかけては名古屋、札幌、大阪、福岡、埼玉での五大ドームツアーを実現。大会場でのコンサートと並行して、小さな会場でのライブやユニークなイベントなども積極的に企画、ファンを驚かせ、楽しませている。松崎しげる45周年イベント『黒フェス』や加山雄三55周年イベント『ゴー!ゴー!若大将FESTIVAL』に参加、米ロックバンド「キッス」のコンサートへの出演(参考記事「ケレンと王道、互いの本質照らし合う 『KISS JAPAN TOUR 2015』 ももクロ特別出演」)など、ベテランアーティストとの共演も多数。
佐々木彩夏
1996年6月11日生まれ。神奈川県出身。2007年、小学生のときにスカウトされ、ももクロの所属事務所であるスターダストプロモーション入り。08年11月、「ももいろクローバー」(当時)に参加。キャッチフレーズは「ももクロのアイドル」。イメージカラーはピンク。愛称は「あーりん」。

(写真 山岸政仁、ヘアメイク 飛田卓司、文 大谷真幸=NIKKEI STYLE編集部)

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