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第二のスタートは人的資本の棚卸しから 出世する人は人事評価を気にしない(6)

2015/1/27

PIXTA

第二のキャリアを設計する(上)

◆第二のスタートは人的資本の棚卸しから

40歳、第二のキャリアの出発点に立ったとき、自分自身の経験を棚卸しすることをお勧めする。そうすることで自分自身の強みがクローズアップされるとともに、強い自信を獲得できるようになる。それらはキャリアを設計するときの大きな武器になる。

自分自身の経験を棚卸しするとき、人的資本という概念に立脚するとわかりやすい。

人的資本という概念はずいぶん古い。

今では普通にどの経済学の教科書にも掲載されている考え方だが、要は自分が今まで経験してきたことや、受けてきた教育が自分自身の価値となっている、という考え方だ。

第二のキャリアを設計するにあたって、自分自身の人的資本を棚卸しすることをお勧めしたい。

これは、それほど難しいことではない。

まず、形式的な書き出しから始めてみよう。

縦軸に年齢を置き、人的資本に対する投資と、交友関係としてのつながりを記載していけばよい。サンプルとなる「人的資本棚卸しシート」を次ページに掲載するが、それぞれの項目には次のような内容を書く。

学生時代
投資
生まれた場所:出生地の特性を生かせるかもしれない
育った場所:複数あるのなら、それも併記しておく
義務教育を受けた学校:特別な学校でなければ、公立、程度の記載でもOK
高校:特別な学校でなければ、公立、程度の記載でもOK
大学:専攻や部活動、アルバイトなどを記載
大学院:専攻や執筆した論文を記載
その他専門学校など:どのような勉強をしたのかがわかるように書く
つながり
現在の交友関係:今も残る交友関係を書く
転機となった出会い:記憶に残る特別な出会いを書く

就職後は、投資の部分だけが変わる。

投資
勤務した企業:企業名
勤務した部署:部署名と所在地を書く
経験した業務:部署名からわかりづらい業務の内容を書く。プロジェクト型の場合には要約しても構わない。
得られた専門性:自分の理解で構わないので、専門性を書く
その他自己投資:社会人大学院や通信教育など、体系的学習の実績を書く

棚卸しが終わったら、強調したい部分を探す。

同一の専門性を積み重ねていれば、強調すべき部分はその専門性に特化できるだろう。

しかしそうでないのなら、棚卸し一覧からストーリーを探す。

ストーリーとは、あなたが経歴を積んできた意味をわかりやすく表すということだ。

◆自分を主人公として、ストーリーになる要素を洗い出してみる

例えば最初に営業企画に配属され、次に支店営業に配属されたとしよう。一時本社でIT部門に配属されたが、その後再び営業に戻り、複数の支店を渡り歩き、現在は生まれ育った地域の支店の営業課長というようなケースだ。

このような場合、専門性の軸は営業になる。ここにストーリーを加えるとすれば、一時配属されていたIT部門の経歴と、現在勤務している場所が生まれ育った地域ということだ。

ストーリーの基本は、違いをはっきりさせることにある。

営業だけを経験しているのではなく、あなたにはIT部門経験という違いがある。営業とIT部門とをセットにすれば、「ITを活用した営業効率化の検討ができる」ということが連想できる。生まれ育った土地で勤務しているということは、「地元の交友関係を営業活動に活かせる」ということが連想できる。

また、営業という業務から培われた専門性を考えてみよう。営業というと、「対人コミュニケーション」という専門性が考えられる。法人への新規営業であれば、「契約のクロージング」というものもあるだろう。あるいは業務スタイルによっては、「地域に密着した>マーケティング」というのもあるかもしれない。製造業勤務であれば、「顧客情報のフィードバック」も考えられる。

これらは、どんどん連想していけばよい。

自分を主人公として、過去を振り返って、ストーリーになる要素を思い出していく。今も残る交友関係は、あなたの人間性を深める要素になるだろう。小中学校時代の悪友たちと3カ月に一度飲むことがあるのなら、「地域との密接な関係性」といえるかもしれない。一時疎遠になったが、SNSを通じて再度復活している関係も書き記そう。

転機となった出会いは、あなたにどんな変化をもたらしただろうか。最初の転機は、現在の伴侶とのものかもしれない。あるいは学生時代の恩師がその後のあなたの進む道に大きな影響を与えただろうか。会社に入ったときの優秀な同期たちとの出会いが、あなたに大きなプライドを与えた結果、その後のハードワークに耐える気力を与えてくれたのかもしれない。

そうして自分の人的資本を棚卸ししてゆく。

経理の棚卸しと違い、人的資本の棚卸し作業に終わりはない。掘り起こす先があなたの記憶だからだ。今気づいていないことを、後から思い出すかもしれない。

だから完成させる、というよりは、まず棚卸しをして、書き出してみる。

そこにできたのは、あなたという人の強みの一覧だ。

もちろん、他の誰かと比べれば見劣りがする場合もあるだろう。しかしあなたの棚卸し結果を誰かのと見比べる必要はないのだ。この作業は、やってみるとわかるが、とても楽しい作業だ。そして一段落すると、あなたに大きな勇気を与えてくれる。

[日経Bizアカデミー2015年1月27日付]

日経Bizアカデミーのアーカイブ記事のうちの人気連載を再掲載しました。次回は7月2日(土)に公開します。平康氏の書き下ろしの新連載も合わせてご一読ください。

◇   ◇   ◇

平康 慶浩(ひらやす・よしひろ)
セレクションアンドバリエーション代表取締役、人事コンサルタント
1969年大阪生まれ。早稲田大学大学院ファイナンス研究科MBA取得。アクセンチュア、日本総合研究所をへて、2012年よりセレクションアンドバリエーション代表取締役就任。大企業から中小企業まで130社以上の人事評価制度改革に携わる。大阪市特別参与(人事)。著書に『7日で作る新・人事考課』『うっかり一生年収300万円の会社に入ってしまった君へ』がある。

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